やはり私は悪役令嬢
【あらすじ、誇りかい→誇り高い 崇拝したいる→崇拝している】「悪女マリカ・サーヒルン伯爵令嬢」
今日は、王立魔法学園の卒業パーティー。
パーティーは、王太子であるリベラート様と、その婚約者であるサーヒルン伯爵であるマリカのファーストダンスで始まるはずだった。
しかし、始まったのはダンスではなく、マリカの糾弾。
そして、私は悟った。今回も彼女を救うことができなかった事を。
「マリカ!君にはがっかりした。国中の令嬢のお手本にならなければならない君が、ルチアにあんなヒドイ嫌がらせをするとは……君にはひどくがっかりした。君を王太子妃にするわけにはいけない。婚約を破棄する。そして、ルチア・クラッソを新たに私の婚約者とする」
そして、毎回お馴染みの婚約破棄と婚約者発表。
「リベラート…」
王太子妃に指命された平民上がりの子爵令嬢、はうれしさのあまりに目に涙を浮かべている。
もう何回も見た映像。私は知っている。私だけが知っている。これから起こることを。
「きゃ、雷だわー!」
いきなり、雷鳴が会場に響き、会場を白く染める。
令嬢たちは、あたふたとしているが、私は人生を諦め、休憩ように置かれている一脚の椅子に腰かける。木が焼ける嫌な匂いが、鼻をくすぐる。
「火事だ!逃げろ」
1人の令息の言葉に、会場にいた人々は出口に殺到した。
「退きなさい、私はネロ侯爵令嬢よ!」
「退け、俺は王太子殿下の護衛だ!!退け」
「私が死んだらどうする!この国の損害だぞ!何に置いても、私を優先しろ!」
「きゃっ、誰よ私を押したのはお父様に言いつけてやる」
人々勝手なことばかり口走り、身の保身に走る。
「リベラート様、助けてください」
押され床に倒れたルチアは、助けを求めるように王太子の方に手を伸ばす。
「えぇぇぃ!うるさい。平民ごときが私に助けを求めるな」
「そ、そんな」
王太子は婚約者であるルチアを見捨て出口に向かい走り出した。ルチアは目に悲しみに満ちた涙を浮かべている。
「どうして開かない!!」
出口にたどり着いた王太子一向には出口を開けようと押したり引いたりするが、一向に扉が開く様子がない。
「うあぁぁあぁ」
「きゃーーーー」
その様子に恐怖の限界を突破した令息の1人が、身に付けていた剣で近くにいた令嬢の斬りかかった。
それを合図に、殺し合いが始まった。
ある令嬢は、髪飾りの簪で給仕係の目を刺し、ある令息は身に付けているスカーフで、自らの首を締める。
その様子はまさに地獄絵図。
そんな中ひとり凛としている令嬢がいる。彼女こそ王太子に婚約破棄されたマリカ・サーヒルンだ。
彼女はその場に両膝を浸き、手を組み祈りの体制をとる。
「あぁ、偉大なるルゥルゥ神よ。どうか、愚かな我らを許したまえ」
マリカは毎回ひとり神に許しを乞う。発狂した令息に刺されようとも、狂ったように笑い狂う令嬢に噛みつかれようと、体制を崩すことなく祈り続ける。
そして……
「良かろう。汝の願いを叶えよう」
彼女の祈りが通じ、神の声が会場に重く響く。
あるものは歓喜し、あるものは感謝を述べ、あるものは腰を抜かす。
「受けとるが良い」
神の声と共に炎の槍が現れた。そしてその槍はマリカめがけ飛んでゆく。
まいどお馴染みの光景。最初は涙を流し悲しんだ。しかし、四回目ともなると涙は枯れ果てた。
炎の槍は彼女の心臓を貫いた。マリカは静かに目を閉じその場に倒れ込む。すると、雷鳴は止まり壊れたパーティー会場の屋根からは青空が見えた。
皆歓喜した。
彼女が死んだのに。
王太子とルチアは抱き合った。
彼女が死んだのに。
彼女を魔女だと、誰かが罵った。
彼女のお陰で死なずにすんだのに。
ルチアのお陰だと誰かが嘯いた。
ルチアは何もしていないのに。
彼女は死んでしまったのに。
「この国難を解決したルチアに聖女の称号を与える」
王太子は見捨てた女性に聖女の称号を与えた。
与えられた女性も満更でもない表情を浮かべている。
ああ、なんて茶番劇何だろうか。
私は天を仰ぐ。
天は神々しく白く輝いている。
私はその光に手を伸ばす。
その光は世界を包んでいく。
世界がその光に包まれた瞬間。
世界は滅んだ。
目を覚ますと、やはり私の部屋の中だった。
ベッドから起き上がり、部家に置いてある鏡の前に立つ。
鏡に映るのは、軽くウェーブした腰まであるアッシュグレーの髪に、灰色の目をした12才の少女の姿だった。
私は絶望した。それと同時に使命感に燃えた。
今度こそ彼女を助けると。
「アイーダ、倒れたと聞いたけど、体の調子は大丈夫?」
控えめなノックと共に、部家に入ってきたのは母であるシルヴァーナ・ルイーニと私の侍女であるフローラだ。母の姿を見て、思わず涙ぐんでしまった。母は彼女と同じ薄紫の髪にアメジストの目をしているのだ。
私は転生者である。交通事故に遭い大好きな乙女ゲーム「暁に謳う」の世界に転生し、代々宰相を任されているルイーニ公爵家の娘『アイーダ・ルイーニ』とし生を受けた。私は他の転生者同様に死亡フラグの回収と悪役令嬢の改心を試みた。
しかし、彼女に欠点は何一つなく、清廉潔白であった。自分に厳しいだけあって、他人にも厳しいところもあるが、それは許容される範囲だった。そのため、私を死に追いやるフラグが何一つてして見当たらない。
それなのに……
無実な彼女は国を追放されてしまう。
無実な彼女は王太子に殺されてします。
無実な彼女はルチア嬢にうっかり殺されてしまう。
無実な彼女は己を顧みず国を救い、命を落としてしまう。
何回も
なんかいも
ナンカイモ
何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も何回も
私は、彼女の死を何回も見届け、そして何回も死んだ。
彼女はどの世界でも、『悪女』と『悪役令嬢』と呼ばれている。
しかし、私だけは知っている。彼女が本当は優しいことを。
「アイーダ、そんな悲しい顔して……明日のパーティー休んでも良いのよ?」
母は私の涙を拭いながら言った。
「いいえ、明日のマリカ様の誕生日パーティーに行きます」
明日は、初めて彼女に会える日だ。
この国、リュンヌ王国はルールー教を国教として崇めている。ルールー教と国は互いに助け合いこの国を発展へと導いていた。互いを尊敬している。その証に教会の紋章には月と狼が描かれ、王室の紋章には太陽と狼が描かれている。
多くの貴族が存在し、紋章が溢れているなかで、特別な存在な一族がいる。神殿と王家以外で唯一狼の図柄を使用ることを許されている『サーヒルン伯爵家』。
サーヒルン伯爵家は代々聖女を輩出する家系だ。
この国の聖女は処女・非処女問わず、次期聖女が生まれるまで聖女として力を振るうことができる。
私の母は先代の聖女。つまり、私と彼女は従姉妹どうし。だけど、私と彼女の間には交流はない。なぜなら、次期聖女は5歳の誕生日から12歳の誕生日の前日まで教会で聖女として修行を積む。
明日は、5回目の彼女との初対面だ。絶対に行かなければならない。
「そう?決して無理をしないでね。フローラ、後はよろしくね」
母はそう言うと、部家から出ていった。
「アイーダ様、明日に備えてマッサージをしましょう」
侍女のフローラに促され、私はフローラにマッサージをしてもらった。
だって彼女に可愛い姿で出逢いたいから。
「マリカ・サーヒルンです。よろしくお願いします」
王宮で行われた彼女の誕生日パーティー。
カーテシーを披露したマリカは幼いながら、美しかった。
藤のような薄紫色の髪に、アメジストより輝いている目。
死ぬ前に見た、マリカの姿そのままだった。
「こっちで、一緒にお話ししましょう」
マリカに手を引かれ、マリカの休憩室に入った。同い年の従姉妹のため興味のあることや、好きなことが同じなため盛り上がった。
話が盛り上がったのは当たり前だ。今まで経験した世界でマリカの趣味趣向を把握しているからだ。
暫く、話していると王太子の侍従がマリカを呼びに来た。
マリカは背を伸ばし侍従の後に続いて歩きだした。私はその姿に憂鬱になった。
今までの世界で、何度妨害しても、運命を変えようと努力しても変えられなかった事の一つがこれから起こる。
侍従に付いていくと、そこはパーティーのメイン会場。
パーティー会場のメインステージ。そこには、私の父である国王であるオルランド国王とリベラート王太子、私の父であるルイーニ宰相とマリカの父であるサーヒルン伯爵がいた。
マリカの誕生日パーティーに集まった貴族は皆、国王に注目している。
「サーヒルン伯爵令嬢、ここへ」
国王に名前を呼ばれ、ステージに上がるマリカ。
ステージの上がり、カーテシーを披露する。その様になっている姿に国王だけでなく、ステージに注目していた貴族達から感嘆の声が上がった。
「皆の者、今日は聖女マリカの記念の12の誕生日である。リュンヌ王国の国王として、聖女の誕生を祝おう。細やかながら、聖女にプレゼントを送ろう」
国王は回りにいる貴族達に聞こえるように言う。
「次期王妃の座を授けよう」
国王はリベラート王太子とマリカの婚約を声高らかに宣言した。
貴族たちは歓喜に沸いた。
私は、国王を睨み付けた。
どんなに頑張っても、マリカとリベラート王太子に婚約を阻止することはできなかった。逆に阻止しようと奮闘する度に、後々マリカの立場が悪くなる。
これは、愛の無い戦略結婚。
聖女の家系と宰相の家系が王家を裏切らないようにする楔。現に王妃は叔母である。
国一番慕われている聖女の家系、国一番の頭脳と言われている宰相の家系を手に入れ、有頂天になっている王家。それを当たり前だと思っている王太子。
ヘドが出る。
マリカはリベラート王太子を愛しているのに、リベラート王太子はマリカを民衆の人気取りの道具としてしか見ていない。
私は、そんなリベラート王太子が大っ嫌いだ。だけどね、マリカがリベラート王太子の事を好きだと言うのであれば、私は何があろうと応援しよう。
次の日から、私の計画は始まった。
少しでも一緒に居られるように、勉強を理由に公爵家へ招待した。
全てにおいて完璧なマリカを公爵家専属の家庭教師たちは誉めちぎっていた。
ふふ、当たり前よ。だってマリカなんだから。
私が落馬した時は、聖女の力で怪我を治してくれて、勉強でわからないことがあれば丁寧に教えてくれた。
もちろん、聖女としての仕事も従事している。もちろん、私はマリカの侍女として付いていったわ。最初は『ルイーニ公爵令嬢に侍女の役割をやらせるわけにはいけません』と言われたけど、『ルールー教の敬虔な信者として、マリカの従姉妹として、聖女を支えたい』と言うと、マリカも周りの修道士と修道女は感動した。
これにより、マリカに劣るものの、淑女として株をあげることができた。
最初はそんな私を押したの懐疑的に見ていた一部の修道士・修道女たちも、文句一つ言わず水仕事をする私を見て、私に好意的に接してくれるようになった。
1年間穏やか時間を過ごしたマリカと私。
しかし、遂に一通の手紙が私とマリカに届けられた。
『王立魔法学園の入学通知』
13歳になった貴族の子供は例外なく、王立魔法学園に入学することになっている。
この国の貴族は多かれ少なかれ魔力を持っており、貴族はその力を使い、国と国民を守護する義務がある。
学園では18歳になるまで、魔法に関すること、貴族社会について学ぶことになる。
もちろん、この国で一番魔力を持っているのは、聖女であるマリカであり、その次に魔力を持っているのはマリカの従姉妹である私のはずであった。
そう、私のはずであったのだ。
これも、何回努力しても回避出来なかったこと。
それは、ゲームの主人公である『ルチア』の入学である。
入学式の新入生代表の挨拶は、魔力が一番多い者が行うことになっている。しかし、ルチアは私より多くの魔力を持っており、何より珍しい『光の魔力』を持っていた。
そのため、新入生代表はマリカではなく、ルチアがすることになった。
悔しかった。
だから、過去何度もルチアをステージか突き落とした。
私の意識で行ったはずなのに、なぜかマリカに命令されて遣らされたことになってしまった。
この学園からルチアを排除しようとすると、必ず私とルチアが被害者で、マリカが加害者になってしまう。
たから、今回は……
「初めまして、クラッソ子爵令嬢。私、アイーダ・ルイーニと申します」
能力別のクラス分けになっているため、私・マリカ・ルチアは同じクラスになった。
子爵の庶子として肩身の狭い思いをしているルチアに話しかけた。
「クラッソ子爵令嬢、初対面で図々しいと思いますが、私とマリカのお友達になってくれませんか」
今回の世界では、ルチアを排除するのではなく、ルチアと友だちになることを選んだ。
この学園は全寮制。成績上位者である私たちは部屋が近い。友達という立ち位置は学校でも寮でも四六時中一緒に居られるように居られる。
そうすれば、リベラート王太子とルチアが出逢うことを妨害することができ、マリカがルチアに嫌がらせを行っている証拠を捏造される事を防げる。
「そ、そんな私のような元庶民が公爵令嬢様と聖女様と、友達になるなんて畏れ多い」
最初は、友達になることを拒否していたが、マリカが
「私、アイーダ以外に仲の良い友達いないの。だからお願い。私達の友達になって」
聖女であるマリカにお願いされ、ルチアは私達と友達になることを了承した。
ルチアと友達になってからはとても楽しかった。教会と貴族社会しか知らなかったマリカには、ルチアが住んでいた世界は新鮮に映った。
マリカは段々と、聖女らしい朗らかな笑顔だけではなく、子供らしい笑顔を浮かべるようになった。
今までの記憶をフル活用し、ルチアとリベラート王太子が出逢うイベントを全てマリカに置き換えた。そのお陰で、今回のマリカとリベラート王太子の仲は今までで一番よい。
しかし、全てが順調だった訳ではない。聖女と言ってもマリカは伯爵令嬢。マリカが王太子妃になることを快く思わない輩も多い。
そんな身の程知らず共を私は、公爵家権限で学園から追い出した。そして、その家を潰した。
しかし、潰しても潰しても蛆虫の如く沸く。
そして、遂にマリカがルチアをいじめている偽の証拠が出てきた。
私は激怒した。
手足のように使っている下級貴族の令嬢に酷く当たった。
公爵家の力だけでなく、王室、教会などあらゆる手段を使って犯人を探した。
卒業式前日。
遂に犯人を見つけ出した。
犯人の名前を聞いて私は嗤った。
お腹が捻れるくらい嗤った。
卒業式当日。
「悪女ルチア・クラッソ子爵令嬢」
ルチアは王宮の衛兵たちに拘束され、マリカとリベラート王太子の前に無様に転がされている。
「ルチア!君にはがっかりした。光の魔力を持つものとして聖女であり私の婚約者であるマリカを支えなければならないのに、こんな偽の証拠をつかい貶め入れようとするとは」
前回とは異なり、糾弾されているのはルチア・クラッソ。
そうです。マリカがルチアをいじめたという偽の証拠を作ったのは、ルチア本人です。
「しかも、罪なき令嬢達を無実の罪で学園から追放し……」
「違います、違います。確かに私は偽の証拠を作りました。しかし、全てリベラート王太子のため……。
いえ、この国のために行ったことです。それに、私は、誰ひとりとして、この学園から追放して来ません。」
ルチアはストロベリープラチナの髪を乱しなごら、顔を涙でぐちゃぐちゃにしながらリベラートに訴える。
偽の証拠に怒った私は、私が行った悪事を全てルチアに擦り付けました。
「こんな悪女を生かしては置けない。よって、悪女ルチアを処刑する」
周りのいた貴族達は熱狂し、ルチアは泣き崩れた。
「連れていけ!!」
リベラート王太子の一声で、ルチアは広場にあるギロチン台に連れていかれた。
広場に集まった市民はルチアを罵倒する。珍しい光の魔力を持っているとはいえ、しょせん市民。それに市民に人気な聖女を陥れたのです。
ルチアはギロチン台に拘束されてもなお
「マリカは聖女じゃない!!魔王なんだ」
とか
「彼女は史上最悪な魔女だ。国が滅んでしまう」
など狂言を言います。
「やれ…」
リベラート王太子が上から下へ腕を下ろすと、ギロチンがルチアの首めがけて落ちました。
その瞬間、広場中が歓喜にわきました。
そんな中、マリカは1人ルチアのために祈ります。
自分を貶めようとしていた、女性のためには祈るなんて、さすが聖女マリカ。
ルチアが処刑されてから数日後、私は名実ともに王太子妃となったマリカに、王家の別荘に招待されました。
招待された別荘からはうみが見えました。波が激しいため、泳げませんがこの激しい波のお陰で美味しい魚が食べられます。
私は今、マリカに誘われて、夕日が良く見える崖に来ています。さすが王室管理の崖、安全のために柵が設置されています。
「アイーダ、今までありがとう。」
柵に身を預けながら夕日を見ていた私を、マリカは後ろから抱き締めました。
「アイーダ。貴女だから正直に言うとね、私は、バカみたいに太陽と月を追いかけるバカな狼が嫌いだったの?」
「マリカ?」
衝撃的な告白に、名前を呼ぶことしかできませんでした。
マリカが、言っていることは、この国と教会を侮辱することだからです。
「だから、私は真実の愛を貫くために、女神ルゥルゥ様を信仰したの」
女神ルゥルゥ。
そう言えば、前回の世界で確かにマリカはルゥルゥ様と言った。
あの時は、聞き間違えだと思い入れ気にも止めていませんでした。
「ルゥルゥ教では、すぐに願いが叶わなくてもね、その思いは何層にもなって大きくなっていくの。まるで真珠のように」
マリカの声が今まで聞いたことのないように甲高くなっていく。
「アイーダ!貴女のお陰で、あの邪魔な光の魔力を持った少女を排除することができたの!四回目も世界を滅ぼしたかいがあったわ!!」
狂気に満ちたマリカの声に体が震える。逃げたいのに逃げられない。
「貴女のお陰でリベラート王太子の心を手に入れることができたの。だから、女神ルゥルゥ様にこの国を捧げるの」
マリカの言葉に、ルチアが最後に残した言葉を思い出した。
「アイーダ、貴女には本当に感謝しているの。
だから私の手で殺してあげる」
その言葉とともに、腹部に痛みが走った。腹部に目をやるとナイフの先端が見えた。
「さようなら、アイーダ」
マリカはそう言うと、私を崖の下に突き落とした。
その時、私はもっとルチアの話を聞いていれば、表面的な友達ではなく、きちんと向き合って心からの友達になれば良かったと思った。そうしたら、もう少しましな未来になっていたかもしれない。
そう思いながら、意識を失った。
固有名詞や人物名には、イタリア語・アラビア語・フランス語を使用しています。また、少しですがとある神話がモチーフになったいるところがあります。
それらがわかると、2倍話が楽しめると思います(多分)




