生と死の理 〜甘い花の香〜
少女はただひたすらに俺を慕う。好きだ好きだという言葉は鳥の囀りのようで、心地良かった。無垢に、純粋に、偶像を想うように、慕っているものだと思っていたのだ。
けれど少女は全てを崩壊させて、俺の前に現れた。甘い花の香りを連れて。
少女と初めて会った時、俺は生まれたばかりの神だった。現象界に召喚されたものの、上の世界はつまらなくて、下界に降りてきていたのだ。…はじめ、俺を教育してくれた神によると、「神」という存在は現象界で人を統べている必要があるらしい。しかし神として誕生する以前、人に触れ合っているのが当たり前だった俺には、言っていることが全く理解できなかった。その上、現象界では多くの規則で雁字搦めにされ息が詰まった。だから逃げるように下界に降りた。
♢
お兄さん?ここら辺は初めてかい。もしよければ一緒にお茶でもしないか。オレ、暇で暇でよ。ほら、べっこう飴もあるよ。
薄ぼけた灰色の上着をまとい、編笠で顔を隠した男は俺にそうささやいた。当時甘いものは特別高価で、簡単に食べれるものではなかったことを知っていた俺は、ついついその誘いに乗りかけていた。
「ついていくだけで、本当にその菓子をくれるのか?」
「あぁ、もちろんだ。べっこう飴はおいしいよぉ。」
飴を見せつけるように男は指をひらひらと動かす。甘ったるくべたついた声は、今思い出しても身の毛がよだつ。どうしてこいつに騙されそうになったのか、自分でも不思議でならない。
そこに突然、まだ6歳7歳に見える幼い少女が現れた。彼女が「俺の少女」だ。勾引かされそうになっていた俺を見て、助けに来たのだろう少女は、勇敢にも自分より遥かに大きな男に食ってかかった。
「この人攫い!」
「お兄さん?その人、人買いだよ。ついてっちゃダメだ」
「ほら逃げよう」
少女はこちらに手を差し伸べる。彼女の目はとても真摯で、嘘をついているようには見えなかったから、俺は伸ばされた手をつかんだ。その手は小さくて荒れていて、やせ細った手だった。
「お、おい、くそガキ。何を言って………。っまてやこら」
人買いが追いかけてくる前に、少女は俺の手を引いて走りだした。遅れて、人買いが後ろからやってくる。
俺は何が何だかよくわかっていなかったが、鬼ごっこのように走り回るのは楽しくて、遊んでいる気分だった。
「はぁはぁ」
「ここまでくれば大丈夫でしょ」
少女は複雑な裏路地を抜け、後ろにいた人買いを完全に撒いた。痩せ細った身によく、これほどの体力があるものだ。俺は不思議だった。
「お兄さん大変なことになりそうだったね。あいつ、この頃ここら辺を荒らしまわってるんだ。普通子供を狙うんだけどね。」
「ふふふ。まぁお兄さん、きれいだもん。初めて見たよ、そんな髪と瞳」
まぶしそうに言って少女は微笑む。それはとてもかわいらしい笑みだった。
「あたしはね、さきっていうの。よろしく」
歳に反して聡明な少女は、そういって、また手を差し伸べる。俺もまた迷わずにその手を握りかえした。
……少女は街をそのまま案内してくれ、知らないことや見た事のないものをたくさん見せてくれた。この思い出は神となってはじめての良いものになった。
このようにして、痩せぎすな少女はその優しさで俺を救った。神の権能は誓約によって現象界でのみ保証され、下界に降りれば無力な人と変わらない。捕まってしまえば、死ぬことはなくとも逃げることはできず、ろくな目には合わなかったはずだ。
ちなみにそのあと、俺が下界に降りたことに気づいた監督役の神に見つかり、俺は連れ帰られた。…ものすごく怒られた、でも反省はしていない。
たった一度の出会いではあったが、現象界に戻った俺はその後の少女の行く末が気になってしょうがなかった。
そのため、俺はよい人生であってほしいとそう願いながら下界を覗き込んだ。もちろん、こんなこと許されてはいないので細心の注意を払って。しかし、期待は裏切られた。
…人の生は、神にとっては一瞬。そうではあるものの少女はあまりにも若くして死んでしまったのだ。親に口減らしとして売られ、若い少女を好む好事家に買われた末の自殺。少女をその好事家に売った人間は、俺をさらおうとしたあいつだった。好事家になぶられる日々に、少女はやつれていき、世を儚み首を吊った。
下界に干渉するすべを持たなかった俺は、ただただ無力だった。俺にできたのは人買いの罪をさらに重くして、来世で少女と同じような人生を送らせてやることだけ。
神であるがために、少女が死ぬのを見ていることしかできなかった。初めてそこで、俺は神であることを恨んだ。
けれど、神であったことの利点も存在はした。少女を救うことができたからだ。
少女は人生を儚み、自分で死を選んだ。つまり自殺だ。現象界で自殺は大きな罪である。運命に逆らった上での自殺は、世界への不適合と見做され、魂そのものが処分されてしまう。その点、神である俺なら死神に落とされるくらいで済むため、現象界で世話になっている神に頼んで、俺はその罪の肩代わりをさせてもらった。その神には止められたが、少女の魂に光と救いの機会を与えてやりたかったのだ。
そして、俺は死神になった。死神業はとても気楽で、俺の性に合った。死神が普段いる場所は上の世界と下の世界の中間に位置するので、どちらにも行くことができたし、上ほど規則に縛られない。仕事さえしっかりしていれば、自由に遊んでいても文句は言われなかったのだ。
なんて落差だ。死神になってよかった。現代の言葉で言うならマジで超楽。今はもっぱら、ゲーセンに通うのにハマってる。まあ、こんなことはどうでもいいか。
***
俺と彼女の二度目の出会いは、死神となってからだった。
この世には業がある。悪業、善業、どちらにせよそれを基準に輪廻転生の宿命は定まる。寿命、環境、才能。それらを現象界が輪廻の輪によって管理しているのだ。神にはそれぞれ役職があるが、その1番下っ端が死神。セコセコと魂を拾ってくるのが仕事。一度魂を回収したらずっとその魂の担当となる。
俺は、何の因果か少女の担当となり(上司が気を利かせたのかも)、また少女と会うことになった。少女も何故か俺のことを覚えていた。神だといっても大して驚いた様子は見せず、髪色や瞳の色が変わったことを気にしていた。
あとなぜか俺に惚れたといって、突然告白された。…人間はよくわからない、不思議だ。たった一日出会っただけの俺に惚れるか?…そう思った。
まあそんなことはともかく、今度こそ少女の来世が幸せになることを祈りながら、俺は少女を天に送り届けた。
…そこまでの少女の人生は、輪廻は、普通だったのだ。
他の魂と同じように、少女は生を繰り返している。
俺といえば死神になりたてで、あまり担当する仕事もなく暇だったから、また少女の人生を覗き込むことにした。すると、覗き込んだ彼女の人生は信じられないものだった。生まれから育ちから、どうしてここまでひどい目にあわされているのかと思うほどに残酷で無慈悲。俺には少女はただひたすらに自分の人生を歩んでいただけに見えた。一つの人生で補いきれないほどの業を背負うような何かがあるとは思えなかった。
…言うなれば、少女の周りにいた人間がよくなかったとは感じた。初めはまともそうに見えても、彼女が死んだあとその異常性が垣間見える。例えば、戦争を引き起こした人物、大量殺人鬼、サイコパス、非人道な科学者、狂人、一国を滅ぼした王、あげ連ねればきりがない。異常な環境が異常者を、彼女の近くに呼び込んでいたのだろう。
そのような人生を繰り返す少女を、俺は毎回迎えに行く。俺が彼女の担当死神だからだ。
再会するたびに、俺には耐えられないことがあった。
…少女が俺に愛を囁くのだ。壮絶な人生を歩んできた様子など、かけらも見せずに。だが神である俺は決して受け入れてはいけない。
好き。大好き。愛している。
偽りのない言の葉は、再会を繰り返すごとに俺の中に少しずつ染み込んでいく。微かな雪がゆっくりと降り積り、山を成すように。俺の中にも彼女の愛が積み重なる。
彼女の人生の苦しみを思うと、拒否なんてどうやったらできるというのだ。できる者がいると言うなら、今すぐ変わって欲しかった。
やがて俺は彼女の熱意に負け、抱きしめてくるその手を拒否することができないくらい、少女を受け入れ愛し始めた。
あいしてしまったのだ。
けしてむすばれることなどありえないのに。
また、おれはすこし自分が神であることを恨んだ。
♢
………繰り返す彼女との逢瀬のいつであったろうか。
俺は初めて自分で行動した。「京弥」という現世で使っている名を告げ、初めに会った時に知った「さき」という名前を読んだ。
そうすると少女は、「さき」は、とてもうれしそうに笑った。花がほころぶようにうれしそうに笑ったのだ。
ああ、こんなことでいいのか。
俺は確かにそれでなにかに満足してしまった。…いびつに歪んでしまった、その現実を見つめることのないまま。あの時間が来るまで俺は何にも気づかず、そのままだった。愚かにも程がある。
***
そしてあの時間がやって来た。
短い人生を繰り返し劣化し続ける少女の魂。それは深い深い業によるもの。このように異常なほどの業があることはおかしいということで、その理由を検証するため試験的に転生を早めることになった。
俺は結構な昔から、少女について上に対処するように申請しており、この間やっと通ったのだ!これで彼女の人生はよくなるかもしれないといい気分で、魂を回収しまわっていた時だった。
急に
どん!
と世界が揺らぐ感覚がした。
次いで、くわんと歪む。
空間が俺の意思に背き、乖離した。神である俺が支配している空間なのにだ。俺はそれに驚き、はっと身構えた。…なにかくる。
ぴきぴきと割れるように空間が、引き裂かれ誰かがやってきた。それは俺の少女だった。
少女は蝶のように軽やかに。甘い花のような香りを纏って、俺の手の中に現れた。
……彼女は言う。
「京弥さん!私、やっと神様になれました!」
その姿に俺は驚愕した。
少女の魂が様変わりしていたからだ。劣化していたはずの魂は傷一つなくなっていたが。
美しかったその魂の色は、濁り混ざって。
白と黒の渦、白濁した。
異常に甘ったるい香りが宙に舞う。頭が酩酊する。
…こ、れは…。
「お前、悪神になったのか?」
少女は困ったように顔を斜めに傾けた。
「…気づいちゃいました?」
「なんか、お世話になった人の眷族神?にしてもらいました」
「人間のままじゃ京弥さんと一緒にいられないじゃないですか。でも、今の環境だと人間の魂が神になり替わることはできないって、私を助けてくれた人が言ってたんです」
「だから、今この世界を支配している規則もルールも壊してきました」
「私、頑張りましたよ。ばぁさまに生まれ変わっても記憶が残るようにしてもらって。業という業が一気に収束して、集まるようにしたんです。その業は善業でもよかったんですけど、やっぱり積み重ねやすいのは悪業で…。だから、私は悪神になりました」
「えっと…業って、なんか電池みたいなもので。魂と業が集まりすぎると、輪廻の輪は壊れてしまうらしいんです。それを利用しました。水面下で仲間を集めて、250年ほどかかってやっと、壊すことができたんです。輪廻の輪が壊れて神様たちの世界は、一気に混乱に陥りました。で、私たちの同志が、その隙を狙って今の神様たちのトップ?の統治神?を封印して、世界の仕組みを解放したんです!」
少女は誇らしげに語っている。…語っている言葉が俺には理解できない。
「だから、京弥さんも自由なんですよ!死神じゃなくて、ただの神様に戻りました。魂の価値とか、神の格差とかないんです。ただ、私達は存在しているだけなんです!」
これは狂気なのだろう。純粋ゆえの愛ゆえの狂気。
…これは俺の罪か。
「ねぇ、京弥さん!」
「大好きです!」
「やっと一緒にいられますね」
いつものように飛びついてくる少女が、犬のようで可愛らしい。けれど、彼女が犯してしまった罪がとても恐ろしかった。
人の身で世界の法則を壊してしまった少女。
神となった今、どれほどの力を彼女は持っているのか。
俺で御しきれるのか?
「…さき。聞きたいことがある」
「え、なんでしょうか?」
********
俺は少女を元に戻すため、少女が助けてもらったと言った人物の元へ向かった。その当人である老女は占い師で、小さな店を現象界で経営しているらしい。楽園であることを定められた現象界にそんなものが存在するのかと信じがたかったが、確かにあった。それも現象界のあるようなあらぬような場所の、さらにさらに辺境の、道のど真ん中に。
なんて怪しげな店だ。黒い壁塗りでこじんまりとしているのに、異様な雰囲気を醸し出す。周辺には曼珠沙華が咲き誇っている。
その店の前には白と黒がグルグルとうずまいたような印が飾られていた。…現象界にいた時に学んだことがある。これは…。
中に入ってみると、いかにも怪しげな婆さんが水晶玉の前に腰かけている。
「もう店じまいだよ」
婆さんはこちらをちらっとみた。次いでじっとこちらを凝視すると面白そうに口角をあげた。
「…おやおや」
相手は俺を見て誰だか一瞬で分かったようだった。少女から俺の特徴を聞かされていたんだろう。
「お前が占いのばぁさまとか言うやつか」
「……へぇ。そう言うあんたは、年若い娘の人生を狂わせた悪い男ってところかね?」
…………人聞きの悪いことを言う婆だ。
「…陰陽が渦を巻き、統制は歪み、規律は滅びる…だったか。門の前にあったあの紋様。「混沌」を意味するものだな?遠い昔に規制されたあの紋様をどうしてお前が使っている」
あの紋様は現象界では禁忌扱いされている。俺が見た時も忘れるように言われたほどだ。
あの紋様を店に飾ることが許され、ただの少女を神にまで伸し上げる。普通の神にできることではない。そもそも、運命が交差する現象界で占いを行なっていることもおかしい。なら、考えられる神は……。
「『渾沌』だな、お前」
「お前が裏で手を引いてたんだな。ただの人間の魂がここまでのことを行えるわけがない」
「ひょっひょっひょっ。何を言っているのかねぇ。アタシには分からないよ。ただあの子が困っていたようだったから、助言をしてあげただけサ」
「……………」
「おや?不満があるようだね」
俺は無言で、その老婆の皮をかぶった化け物を見つめ続ける。近くにいるだけで押されるような気がする。なんて威圧感だ。
「…しつこいやつだねぇ。うーん、そうさね。そういえば、昔「渾沌」と呼ばれていたこともあったかもねぇ」
気楽に呟く老婆。それが一体どう言うことだか、本当にわかっているのか?
「…お前のせいで現象界は、規律を失い崩壊した」
その言葉が老婆の琴線に触れたのか、反応が変わった。
「ハァ?」
「……アハハ!崩壊?まだここにあるじゃないか」
おかしそうに笑い、ふと真顔になる。
「…でも、これで良かっただろう?」
「……………」
「選民思想を持つ神なんて、神じゃないのサ。世界は混沌であるべきだ。森羅万象全ては混ざり混ざって移ってゆく。……予想できるものなんて、まっっっったく面白くない!自由に、無限に、あるがままに、あるべきなのサ」
いつのまにか、古ぼけた布を纏い腰を曲げ、ひしゃげたような声で話していた老女は、見たこともないような美しい赤髪の女に変化していた。声も鈴のように美しく、伸びやかに。喋り方だけが変わらない。店も跡形もなくなっている。
「あぁ、素晴らしきかな。この世は波乱万丈。生きとし生けるものはもう自由だ!!!!」
その女は、両手を広げ、クルクルと自由になったことを示すかのように回る。廻る回る。先先代の統治神とその力量を争ったと呼ばれる悪神。今ではそれを示す紋章ですら禁忌扱いされている危険人物。先先代が亡くなった時に姿を消したと言われていたが、こんなところにいたとは。
俺は渾沌に疑問をぶつける。
「規則に縛られることがない世界など、舵を取ることのできなくなった船と同じじゃないのか?泥舟でしかない。」
その発言を聞いた女は、ピタッと動きを止めこちらを見た。
「……本当にそう思うかい?」
目がギョロっとこちらを向いている。
白と黒の渦に白濁。「さき」の魂の色と同じ。けれどそれより深くて濃密な気配。甘い甘いどろどろとしたもの。
「原始には規則などなかったんだ。それで成立していた。私達が統治しなくても、世界は廻っていく。力能があるからと言って、全てを管理することなどしなくて良かったんだよ。意思のある私たちが完全に何かを統制することなんて、どうせ無理なんだからサ。」
「…だから、あいつは愚かだった」
女はそう小さく呟いて嘆息する。
「まあいいサ。あんたが何を後悔しようと変わっちまったもんは元には戻せない。世界は解放されたまま。あんたの愛しい子もアタシの眷属になったまんま。楽しいねぇ」
急につかつかと俺に近寄ってきて、愉快そうに俺を斜めに下から覗き込んできた。こいつのどこがいいのかねぇ。心底疑問そうに呟いている。そんなこと大きなお世話だ、そう呟こうとしたが俺は動けなかった。力能に差がありすぎ、近づかれるだけで身体がすくんだ。
「…あぁ、そうだ。無謀にも直接アタシのもとに来たから、ご褒美に教えておいてやる。…渾沌の神は気ままだけど、扱いは簡単だよ。自分の望むものをずっと手の中に入れておいてやればいい。…それだけでいいのサ。それだけがわれらの願いだから」
世の中の全てを蕩かすような甘い甘い糖蜜の女は、最後に捕捉するようにそう言って消えていった。…言い逃げだ、あの婆。
…混沌の名に恥じぬような、気の狂った神だったな。最初関係ないといっていたくせに次には矛盾したことを話す。
…俺はどうするべきなのだろうか。
***
俺は渾沌のもとから、少女のもとに戻った。
さきはちょこんと何もない空間にしゃがみこんで、おとなしく待っている。しおらしく、とても従順である。
あの婆と会って良かったのは、俺がいればこいつは狂うことはないことが確約されたことだ。それだけが救いだった。
少女は、うれしそうに立ち上がってこちらに向かってくる。
「京弥さん?大丈夫ですか?」
心配そうにこちらを見つめる。
……こいつの心根は変わってなんかいない。ただ、比重が俺にすべて偏っているだけで。
「あぁ、大丈夫だ。こっちに来い」
♢
俺は特に大したことのない神だ。
固有の名は持たないし、そもそも俺ははじめから神だったわけでもない。
はじめの俺は、野に咲く花の一輪の化身。人に愛でられ、薬草として重宝され、人と共にあった花であった。人の思いが結晶となり「神」になった。
神という存在が生まれる理由はわからない。消える理由も、亡くなる理由も。それにそんなもの考えてどうするって言うんだ。原理はわかっても、その理由なんてわかるはずがない。何もかもを目的論で考えるのは馬鹿げてるだろ。ただ、俺らは生まれたからには好きに生きていくんだ。
なら、人間も生物も。俺たちが管理しなくても、好きに生きていっていいのかもしれない。
魂は行き場を失い、世界は混沌と化すだろう。けれど、終わることはないのだと俺は確信していた。俺たちが生きていこうとする限り、日々は続く。
……甘い花の香りが、あたり一面を覆い尽くしている。
END
少女に神の名が与えられるとしたら「堕落」でしょうね。
不出来な作品ではありますが、読んでくださった方々に感謝申し上げます。ありがとうございました。




