表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界は猫(?)と共に(仮)  作者: 藤間ココロ
第二章 勇者
9/40

7話 異世界の町

 迷宮核の浄化後、迷宮を出たあたしたちはとりあえず町に向かった。最初に行こうとしていたグラッド王国オステンドルフ。

 日が暮れる間際に着いた町は20mほどありそうな高い石の壁に囲まれていた。東の森の端という町だから、魔物の襲撃から守るための壁。

 壁の切れ間に門があり、門番が2人立っていた。一行の情報は門番にも伝わっていたらしく、すぐに門が開けられ町の中に入れた。そこで伝令に向かった護衛2人と合流した。

 姫たちの宿泊先の宿に首都との連絡手段用の魔法道具があったようで、再度状況を伝えたところ、とにかく一度首都に戻るようにとのことだ。あたしとニャオトも一緒に。


「は~、疲れた。」

 急遽用意してもらった姫たちとは違う宿屋のベッドの上にニャオトが頭から倒れこむ。これ肉体的な疲れというよりは精神的な疲れだろうにゃ。

 夕食を是非にということで姫たち一行が宿泊している宿の食堂で一緒に食べたんだけど、やけに姫がニャオトにべったりだったし、良く世話をしていた。恐縮していたニャオトはガチガチだった。

 首都までの旅の準備に明日一日を費やし、明後日には旅立つ予定。首都までは5日ぐらいかかるみたいだ。

「王様に会うことになるにゃ?」

「みたいだね、姫のお父さん・・・」

「まあ、命を助けたわけだし当たり前だよね。」

「気が重い・・・」

 横になっているニャオトの顔に肉球でペチペチ。

「にゃんでそんなに嫌なの?」

「ん~、大人と話すの苦手、なんだ・・・」

「ふ~ん、姫は?そんなに変わらないよね?」

「え・・・だってお姫様だし・・・」

「そうなんだ。」

「うん。」

「よくわかんない。」

「だよね・・・僕もわかんない・・・」

 ぷにぷに。

「肉球、気持ちいい」


「そういえば、迷宮の戦いでのあたしの賢者すごかったにゃ。」

 ふとつぶやく。

「そうだ、それそれ!!」

 ニャオトががばっと起き上がる。

「鑑定で見たときになかった魔法とか浄化のスキルとか使ってたよね??それに作戦。あれなかったらやばかったはず。とっても万能だよ賢者さん。僕の剣帝もあんな感じになるのかな~?魔法吸収はミスリルソードの付与効果だし、まだ出番来てないって感じがするな~。これからもいろんなスキルが勝手に増えるのかな?あまりにもチートな・・・」ぶつぶつぶつぶつ・・・

 はじまっちゃたにゃ、ニャオトのぶつぶつ。

 しばらくほっとこう。あたしは寝る。寝る子の猫。

「そうだ、鑑定しようよ。」

「え~、寝るにゃ。」

「ちょっとだけだから、ね。ほらお願いマロン様」

 しかたないにゃ

 ―鑑定シマスー

 名前:ナオト 種族:人間 年齢:16歳 性別:男 ジョブ:「剣士」

 レベル32

 所持スキル:「幸運」MAX「斬攻撃」レベル15 「物理強化」レベル10 「集中」レベル12

 所持スペシャルスキル:「剣帝」レベル5


 名前:マロン 種族:猫? 年齢:3歳 性別:女 ジョブ:「獣」「魔法使い」

 レベル32

 所持スキル:「MP自動回復」レベル10「火魔法」レベル20「水魔法」レベル10「土魔法」レベル12「風魔法」レベル15「雷魔法」レベル5「闇魔法」レベル10「回復魔法」レベル5「獣攻撃」レベル1「空間収納」レベル8「浄化」レベル20

 所持スペシャルスキル:「賢者」レベル5


「やっぱりマロンにスキル増えてる。浄化も姫よりレベル高いし。ますます賢者の謎が深まるな。今のところ見たことのあるスキルを使用可能にするみたいだけど・・・・」

 ぶつぶつ


 やっぱりこれには付き合ってられない。寝ます。


 翌朝、護衛さんが迎えに来て、一行と一緒の朝食。何を興奮しているのか朝から姫の顔が赤い。町の中ということもあり、護衛たちもシンプルな私服を着ている。姫は、これなんて言うの?ドレス?白いヒラヒラな服でニャオトの隣だ。あたしたちも武器や防具は収納している。

「ナオト、このおかずも美味しいのよ。食べてね。それにこの紅茶、私が王宮から持ってきたもので、」

 うるさいにゃ。ニャオトもゆっくり食べてる暇はなさそう。

「あ、ありがとうございます。美味しいです・・・」

 パン、サラダ、スープ、卵の焼いたの、魚の焼いたの。前の世界とそんなに食べるもの変わらないにゃ。あたしも猫用に魚となんかをもらって食べてる。

「俺たちは明日の準備があるから、ナオトたちはのんびりしていてくれ。」イザークが声をかける。

「あ、は、はい」

「そうだ、ナオトはこの町初めてなのよね?わたしもあまり来たことがないので少し町の中を見て回らない?」赤い顔をさらに赤くして姫が提案する。

「それがいいかもな。ついでにドロップアイテムを売ってくればいいんじゃないか?」

 イザークによると魔物からのドロップアイテムはその種類によって様々な店で売ることが出来るらしい。棍棒は武器屋、魔石なら魔法道具屋などなど。この町は東の森の入り口にあることもあり、ドロップアイテムを他の町に売ることによって潤っているらしい。

「マ、マロンはどう思う?」

 そこであたし?まあ、いいけど。飽きたら寝るにゃ。

「マロンもいいみたいなんで、そうしてみます」

「じゃあ、そうしましょう。」

 姫の顔がさらに赤くなる。



 朝食を終えてニャオトとあたしと姫で町に繰り出すことに。

 町をぐるっと囲む石壁の中は、特に高い建物もなく、泊まっていた宿屋もそうだが木造の建物がほとんどだ。

「ドロップアイテムを売るなら、最初は武器屋がいいわよ。え~と、あっちだわ。」

 姫の先導で歩いていくと看板に剣と盾の絵が描かれた店が見つかる。姫が扉を開けて中に入る。

「いらっしゃい!!あ、姫様、こ、こんな汚い店に姫様が・・・」武器屋の店主、大柄であごにひげを蓄えた人間のオスが姫の登場に恐縮して後ずさりしている。なかなかに有名人なんだにゃ、この姫は。

「な、なんの御用でしょうか?こんな店に。姫様のお役に立てそうなものは置いていないのですが・・・」

「いえ、今日はこのナオトがドロップアイテムの買取を希望してるの。」

「あ、買取ですか、それなら。」

「と、突然すみません。」

「あ、いや、お気になさらず・・・ナオト、様でしたか、その、ドロップアイテムはどこに?」

「マロン、お願い。」

 武器屋に売れるもの、出ておいで~

 店主の目の前に山盛りの武器が現れる。内訳は、

 ゴブリンの棍棒×35

 ホブゴブリンの棍棒×20

 ゴブリンファイターの剣

 ゴブリンメイジの杖

 ゴブリンロードの棍棒


「ど、どっから現れた??こ、こんなに!!」

「あ、く、空間収納ってスキルで・・・」

「空間収納、ですか・・・は、初めて見ましたよこんなの」

「すみません・・・」

「いえ、いいんですがね。ちょっと見ますよ。これはゴブリン、こっちがホブゴブリン、で、なんだこのバカでかい棍棒は??」

「そ、それはゴブリンロードの棍棒です。あとゴブリンファイターの剣とゴブリンメイジの杖があります。すみません。」

「ご、ゴブリンロード???姫様、さ、さすがにそれらの買取はこの町では無理です、申し訳ございませんが。」

「そうなの?ナオト大丈夫?」

「あ、はい。マロン、しまっておいて」

 にゃ

 3つの武器が空間収納に吸収される。

「本当は買い取りたいところですが、資金が足りないので申し訳ございません。王都の武器屋なら問題ないと思いますのでそちらでお願いします。」

「わかりました。」

「残りの武器の買取価格の計算をしますので少々お待ちください。」

 棍棒を1本ずつ確認しながら店主が計算を始めたので、店の中を見て時間をつぶす。

 それほど広いわけでもない店内には所かまわず武器や防具が並べられている。棍棒のほかにも剣、槍、弓、斧、杖や色々な大きさの盾、鎧やローブ。あたしは興味ないにゃ。でも、ニャオトのテンションが上がっている・・・

「うわ~、これぞ剣と魔法の世界!剣一つとってもいろんなのがある。これはやばい!」

「・・・ナオトは武器屋は初めて?」

「あ、あ~、はい。」

「そうなんだ。ナオトはどこの出身?あの装備品はどこで手に入れたものなの?」

「あ、え~と、それは・・・」

「それに魔法を使えるマロンもいるし。どこの国にこんな猫がいるんだろ?」

「いや、その、え~と・・・」

 やばい、姫の興味がこっちに来た。

 と、

「ふい~、やっと終わった~!姫様、出来ました~!」

「ありがと。ナオトいこ」

 何事もなかったような顔をして姫が店主の元に歩き出す。

「ゴブリンの棍棒35本、ホブゴブリンの棍棒20本、状態に問題がないので全部買い取らせていただきます。ゴブリンの棍棒が1本50ゴールド、ホブゴブリンの棍棒が200ゴールドなので、合わせて5,750ゴールドのお支払いです。よろしいですか?」

「問題ないわね、ね、ナオト?」

「え~と、はい。大丈夫です。」

 あたしにはお金のことは良くわかんないから、こっち見ないでね。

「何かご購入されるものはありますか?」

「あ、いや、え~と、今のところないです・・・」

「そうですか、残念ですね。5000ゴールドもあればうちの店でもかなりのものが買えるんですがね。次はぜひお願いします!」

「あ、は、はい」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ