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異世界は猫(?)と共に(仮)  作者: 藤間ココロ
第五章 魔王城
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31話 勇者の剣

「みんな、ありがとうございます」


「ここから、なんだろ?」

 イザークが思いつめるような表情のニャオトに答える。


「ええ、やります」


「ふっ、数だけ増えても無駄だ」

 言いざま魔王の闇魔法が飛んでくる。


 カキン!


 硬質な音でその魔法がはじかれる。


「なに?」


「こほん、あたしの作った結界魔法をなめないでほしいにゃ」

 あたしの近くにいることで、魔法の効果が増している。


 全員の胸についたネックレスの結界魔法が輝いてる。


「行くぞ!」


 ニャオトとイザーク、フリッツが魔王に飛び込んでいく。

 後ろからは精霊フェンリルの魔法、あたしも多種類の魔法を打ち込む。


 ―魔王ノ攻撃ヲ解析中―

 賢者様がずっと魔王攻略の解析を進めている。


 魔王がどこから出したのか黒い剣でニャオトたちの攻撃を捌いている。周囲に浮かぶ黒い靄が魔法攻撃をうけとめている。


 ―解析終了、勇者ノ攻撃ガ最大効果ヲ生ミマスー

 やっぱりそれしかないか。


「みんな聞いて!」

 賢者の解析した最良の作戦をみんなの頭の中に送る。


「なんだこれ?」

「イザークさん、マロンからです。たぶんこれしかない!」


「そ、そうか、わかった!フリッツ、エレミア、やるしかないぞ!」

「ええ」

「わかったわ」



「まずはわたしからね。フェンリル、大吹雪!!」


 氷の精霊フェンリルの氷魔法は目も開けられないほどの猛吹雪を生み出す。

 魔王の周りが白に覆われる。

 そこへフリッツの槍の突撃。

 魔王はかわす。

 横方向に移動していたイザークが剣で切りつける。それは黒剣に防がれる。


「連携はいいがな、当たらねば意味はないだろ?」


 それはどうかな。


「闇魔法、闇分身!!」

 浄化反転から抜け出したときに、闇魔法のレベルが上がり、覚えたのが闇分身。

 自分と同じスキルを使用できる分身を生み出せる。

 ってこれなんでもありにゃん。


 闇分身で生まれたのは黒いあたし。


「「重力魔法、ダブル!!!」」


 重力魔法の重ね掛けはさすがの魔王も体を動かせない。


 そこにニャオトが突撃。

「聖光剣!!!」

 ニャオトの剣が魔王を袈裟懸けに切り裂く。


「やったか!?」


 効いた、と思いたいけど・・・。


 魔王の周りにある靄が切り裂かれた箇所に集まり、修復されていく。


「少し浅かったか・・・」


「さすがに今のはやばかったな、その猫の仕業だな」

「ふん」


 でも、今の攻撃でも復活するとなると、どうしたもんか。


 ―今ノ攻撃デモ消耗ハシテイマス。更ナル上乗セヲー


 効いてはいるんだにゃ。よし、もう一回いくにゃ。


「「精霊魔法」」

 闇分身と2人で精霊を召喚する。

 エレミアの氷精霊に加えて、火、水、風、土の上位精霊、そして、

「「いでよ、ボルト!!」」

 雷の精霊ボルトを召喚。体の周りに雷がビカビカしている精霊。


「ニャオト!!」


 あたしの呼びかけに即座に理解を示して、ニャオトが剣を構える。


「聖光魔法!!」

 剣に力が集まる。


 剣にさらに、精霊たちの力が集まる。


「こ、これは」


 イザークたちは精霊たちのとんでもない力をすべて吸収したニャオトの剣が放つ七色の光に目を奪われている。


「行くぞ、シャイニングマキシマム!!!」


「やらせるかーーー!!」


 ぶつかり合う七色と黒。


 均衡したかに見えたが、徐々に黒は七色に浸食され、魔王の身体に突き刺さる。


「これで、終わりだーーーーー!!!!!!!」


 刺さった場所からさらに七色が爆発して、魔王の身体が上半身と下半身に分かれる。



「結局俺を倒すのはお前だったんだな、菊太郎・・・」

 上半身だけでしゃべっている。


「隊長・・・」


「本当に良かったのか?」


「はい、覚悟はできています」


「なら言うことはないか、今度こそ本当のさよなら、だな」


 魔王の身体が少しずつ薄くなっていく。黒の粒子が蒸発するみたいに魔王の身体を薄くしていく。

 そして、何もなくなった・・・。




「魔王を、倒したぞーー!!」

 イザークが拳を突き上げる。


 エレミアは膝をつき、涙を流している。


「マロン、ありがとう」

「良かったにゃ」


 え?


 ニャオトとあたしを突然光が包む。


 これ、もしかして・・・


「みんな今までありがとうございました」


「おい、なんだこれは?」

「ナオトさん?」


「魔王を倒すと勇者も消滅する。この世界の理なんでしょうね」


「おい、まさか、本当なのか?」


「はい。イザークさん今までありがとうございました」


 光が徐々に強くなる。


「これで、お別れなんですか?」

「フリッツさん、国王様や、王女、そのほかの人にもよろしくお伝えください」


「いやよ、こんなの」

「エレミア、ここまでついてきてくれてありがとう。エルフのみんなにも礼を」


 強い光にあたしたちの身体が透明になっていく。


「マロン、一緒だから、いいよね」

「もちろんよ、楽しかったにゃ」



「「みんな、さよなら」」


 二人は消えてしまった・・・





 光の世界?



「結局僕は運が良くなったのかな?」


 そりゃあもちろんあたしと一緒ってだけでも十分でしょ。


「そうか。この世界を救えたことにはなるのかな?」


 そうだといいにゃ。



 そうだ。あたしの名前、やっと思い出した。


 さくら。


 この肉球のピンクが桜に似てるってつけてもらったんだ。その前は『おはな』だったから、花に縁があるのかな。


「僕はマロンも好きだけど、さくら、良い名前だね。でも、僕はマロンでもさくらでもおはなでも、どれでも君だから、好きなんだ・・・」


 知ってる?桜の花言葉は『純潔』にゃ。


「へー」


 男の子ってそういうの気にしないもんね。


 ちなみに、栗の花言葉は、『公平』とか『贅沢』よ。あたしには贅沢な時間だったにゃ。



 暗転


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