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異世界は猫(?)と共に(仮)  作者: 藤間ココロ
第五章 魔王城
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27話 四天王その2、3

4月忙しさに怠けて更新できずすみませんでした。


 結果的にイザークさんはあっさりワータイガーを倒してしまった。


「なんと情けないことだ、ワータイガーよ!」

 あたりが少し暗くなって、扉の奥から何者かが現れた。

「人間ごときに負けるなど、とても四天王とは言えん!」


「誰だ?!」

「我は魔王四天王の一人、不死の王、リッチ!」


 黒いローブを羽織っている小柄の魔物は、ローブから見える顔や手が、骸骨だ。


「リッチだと!?アンデッドの中でも最強の魔物だ」

「その通り、我は虎なんぞと違って強いぞ」


「ここはわたしに行かせてくれ!」

 エレミアが前に出る。


「大丈夫ですか?」

「このマロン殿からもらったレイピアがある限り、わたしが負けることはない!!と思う・・・」


「・・・いざとなったら助けにはいりますよ・・・」

「くっ、すまぬ」


「我をなめるのもいい加減にしろ!全員でかかってこい!!」

 骸骨の顔が興奮しているようにみえるのは気のせいか。


「いくぞ、風の王、ジン!!」

 エレミアが精霊魔法を使う。呼び出すのは、風の上位精霊ジン。周囲に風を巻き起こしながら現れたジン。

 ジンの突風がリッチを切り裂く。

 ローブがずたずたに切り裂かれるが、中身は無事っぽいな。


「不死の我に風の魔法など効かぬ!!いでよ我が僕たち!!!」

 地面が揺れると、ぼこぼこと異形の者が這い出してきた。スケルトンやゾンビたち。


「エレミアはリッチを!!」

 声をかけるとリッチの眷属たちを剣で倒していく。


「任せろ!!ジン、竜巻だ!」

 再びリッチを風魔法が襲う。

「効かぬと言っている!」


「ふっ。いでよ、炎の王、イフリート!!」

 現れるのは火の上位精霊イフリート。


「な、2体同時召喚だと??!!」


「炎の竜巻!!!焼き尽くせー!!!!」

 火と風の上位精霊の攻撃はリッチを取り囲む炎の壁となり、周囲もすべて焼き尽くす。


 ちょ、ちょっとやりすぎ、かな・・・。


 炎の竜巻が静まるとあたり一面焼け焦げた地面になり、城門もぼろぼろになっている。


「おいおい、すげえな、エルフの精霊魔法ってやつは」

 イザークさんがため息まじりでつぶやく。

 エレミアは得意そうな顔でこっちを向いている。


「さ、さすがエレミアだね」

「マロン殿は4体同時に召喚してなんともなかったからな。このぐらいではまだまだだ」


「では進みましょうか」

 冷静なフリッツさん。


 城の中は薄暗く、天井が高い一本の通路があり、奥に扉が見える。

 通路に魔物の気配はない。


「で、あの扉の向こうに次の四天王がいるってことだよな」

「でしょうね。次は自分の番ですからね」

 フリッツさんの言葉に反応したように扉が開く。


「あら、リッチも口ほどにないわね。一人も減ってないじゃない」

 現れたのは体にぴったりとしたボンテージのような服を着た女型の魔物。頭に角が二本生えていて、背中に翼が生えているのが見える。


「ようこそ勇者御一行様。わらわは魔王四天王、夢の王、サキュパス。素敵な夢を見せてあげるわ」

 瞬間に翼が広がると同時に黒い霧があたりに広がる。

「これはまずい。風の王ジン!」

 エレミアが召喚した精霊が霧を吹き飛ばそうとする。


「あら残念。それは難しいわね」


 霧は風の影響を受けずに広がり続け、こちらを飲み込んでいく。


「ほーっほっほー!勇者といえどもわらわの攻撃にはひとたまりもないわ!この霧で夢を見せて、あとで精力を吸い取ってあげるわ。さぞ美味しいことでしょう」


「その前に魔王様の前に連れて行かないといけないかしら。でも、ちょっとだけ、ちょっとだけ吸うだけなら許してくださるわね。あ~楽しみ、早く眠りなさい!」


 サキュパスの霧は対象を包み込んでいくはずだった。が、

「これはなめられたもんですね」

「なに?!」


「雷槍!!」

 霧の中から超速で飛び出してきたフリッツの槍がサキュパスの腹部に突き刺さる。


「ぐふっ、な、人間がこの霧の中で大丈夫なわけがない・・・」

「この『結界』のネックレスの力ですね。まさか状態異常まで防げるとは思いませんでしたが」


「マロン殿に守られているのだな」


「マロン・・・」


「まだだ、わらわはまだ負けぬ!」

 無理やり槍から体を引き抜き、サキュパスは後方に飛び退った。


「それはすごい。でもこの雷槍もまだですよ」

 フリッツさんの風魔法と、槍に込められた雷魔法の相性はすごい。どちらも「速度」に影響を与える。

 フリッツさんの動く速度、魔法発動の速度。そして、速度は「力」だ。


「唸れ、雷槍!!駆逐する!!!!」

 一瞬で姿が消えたかと思うとフリッツさんと一体になった雷槍がサキュパスにぶつかる。雷魔法の衝撃音とともにサキュパスは消滅した。


「こ、これはやばいやつだ・・・。人間がこんな・・・」

 エレミアが呆然とみる。


 でも、この衝撃は普通なら放ったフリッツさんにも反動が大きすぎる。またも『結界』が守っているのだろう。


「ちょっと、これは普段は使えない技でしたね・・・」

 本人が一番わかっている。


「まあ、魔王倒すためにはこのぐらいしなければいけないんでしょうけどね」


 サキュパスを倒したことで晴れた霧。扉の先が見えた。大きな空間だ。まるで謁見の間のような。


「え?」


 広間の先に大きく長い階段が見え、その頂上に一つの椅子がある。そして、そこに座るのは、


「良く来たな、勇者よ」


「お前が、魔王かーーーー!!!!」


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