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異世界は猫(?)と共に(仮)  作者: 藤間ココロ
第五章 魔王城
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26話 四天王、その1

 天馬馬車に乗った僕とエルフの姫エレミア、近衛隊のイザーク隊長とフリッツさんの4人は諜報部隊から聞いた「魔王城」へ向けて空を飛んでいた。


「初めて乗りましたが、早いですね」

 フリッツさんからは緊張感があまり見えない。


「お前はほんと大物だよ・・・」

 イザークさんは緊張しているのが丸わかりだ。


「そんなことはないですよ。ナオトさんが落ち着いているのにはびっくりしていますけど」


「焦ってますよ、正直。でも必ずマロンを助けるって決めているので。今騒いでも仕方ないと」

「それはそうだが・・・」



「そろそろ報告のあった場所に近づいている」

 エレミアの言葉に外を見ると、土だらけの荒野の先に黒い建造物が見えてきた。

「たぶんあれだろう」


「魔王城・・・」


 幾重にも連なる城壁の先に大きな城。


「このまま空から行けるとは思わん。手前に降りるぞ」

 ゆっくりと降下を始める天馬馬車。


 一番手前の城壁の前に止まる。

 目の前にはそそりたつ城壁と、その唯一と思われる城門。


「さて、ここから中心部までは大変だろうな」

「そうですね」

「ナオト、もちろん最大戦力はお前だ。マロンを助けるためには魔王を倒さないといけないかもしれない」

「もちろん、その覚悟です」

「露払いは俺たちに任せてもらおう。少しでも奥までお前の体力を温存させる」


「・・・わかりました。でも、無理なら手を出しますよ」

「ああ、それまで高みの見物でもしていてくれ、な、フリッツ」


「ええ、しばらく出番はないですからね」

「お願いします」



「それにしても馬車も見えていただろうに静かだな」

 エレミアが言ったとたん、ゆっくり城門が開き始める。

 そこに佇んでいるのは一匹の人型の魔物。


「やーやー、我こそは魔王四天王の一人、獣の王ワータイガーである!!」

 虎の頭の魔物だ。


「魔王四天王ですか」

「そうだ、我は強いぞ。ここは通さぬ!」


「ここは俺がやる!」

「隊長、別に一人でやる必要は・・・」

「まあ、小手調べだ。無理そうなら頼むぞフリッツ」

「そういうことなら、わかりました」

 イザークさんが剣を抜いて前に出る。


「お前は?」

「グラッド王国騎士団近衛隊隊長、イザーク!」

「来いっ!!」


 走りながら剣に魔力を通すとイザークさんの剣が赤く光り、炎が吹き上がる。

「火炎剣!!」

 前に見た時より炎が強くなっている。

 ワータイガーは最小限の動きで躱すと、イザークさんに向けて拳を繰り出す。

 ガキンッ!!

 間一髪『結界』が間に合った。


「ほお、なかなかの防御魔法だ」

「ありがたいことにな、もらいもんだ」


「ならば、遠慮なくいかせてもらう!」

 叫ぶとワータイガーの体が大きくなる。服がはじけて体毛が伸びる。口からは牙が伸びて、四つん這いに。

 大きな虎に変貌する。

 虎の体がぶれ始めると、1体だったのが、2体、3体、4体に増える。


「分身?」


 その1体ずつがそれぞれイザークに攻撃を始める。剣を振って牽制するが体をすり抜ける。

「なにっ?!」

 一瞬のスキに背後からの攻撃がきたが、『結界』に阻まれる。

「厄介だな」

「どっちがだよ!」

 イザークの剣が虎をとらえるが、またすり抜ける。


「では、こうするか」

 4体が同時に襲い掛かってくる。

 ガキンンンッ、バリッ!!!

『結界』の一部にひびが入る。

「なにっ!?」

「やはりな、魔力量によってどちらにせよ限界があるのだな、それは。ならば続けるのみ」

 そこから虎の怒涛の攻撃が始まる。

 イザークさんも剣で応戦するが、実体をつかめない。


「ふはっはーっ!死ね!!」


「イザークさん、右のやつだ!!」

 僕の声に反応したイザークさんが右端の虎に切りつけると、血が飛ぶ!


「な、なんだと!?」

 分身していた虎が1体にまとまる。腕から血が流れている。


「火炎剣!!!」

 最大火力の火炎剣を振り下ろす。縦に真っ二つに斬られた虎が声もなく絶命する。



「な、ナオト殿、なぜわかったのだ?」

「・・・勘、かな」

「・・・へ?」

「ほら、僕、幸運MAXだから」

「くっ、答えになってない・・・」



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 暇だにゃ~

 闇魔法への抵抗は賢者様に任せてるし、体は動かないし、暇だ。

 魔王の部下にずっと見られてるし。


 ん~、早くニャオト助けにこないかにゃ。


 一人で来るかな?

 あのエルフに特製レイピア渡したから一緒に来るかにゃ?


 姫はさすがに来ないだろうけど、フリッツとかは一緒かにゃ?


 せっかくだから助けてもらった時のことでも考えよう。

 きゃ~、ニャオト助けてくれてありがとう~ハート。

 人間のメスに変化して、裸で抱き着くのもありか。


 ん~、違うか・・・。


 ―抵抗シテイマスガ、残リ1日程度デ敵ノ術ガ完成シテシマイマスー

 えーーー??

 くだらないこと考えてたけど、こりゃピンチかも・・・


 闇の猫・・・

 それも格好いいかもにゃ。


 いか~ん、そんな姿でニャオトに会うわけにはいかない。

 頑張れ賢者様!!

 早くこいこいニャオトー!!


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