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異世界は猫(?)と共に(仮)  作者: 藤間ココロ
第五章 魔王城
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25話 奪還作戦

 天馬馬車はさすがに速かった。あっという間に王都に着いた。

 馬車を降りて城まで急ぐ。

 城門にたどり着いたところで門兵に王への謁見を申し出ると、エレミアと一緒に中に通される。


 謁見の間。

「何があった?」


「迷宮は無事に浄化されました。しかし、その直後マロンが攫われました」

「・・・魔王の罠、か」

「はい」


「発言をしてもいいでしょうか?」

 エレミアが王に話しかける。


「エルフの姫だな?よかろう」


「はっ。この度は我々エルフのために勇者ナオト殿を派遣して頂きありがとうございます。本来であればエルフ王が感謝を述べに参らなければならないところ、緊急事態につき申し訳ございません。迷宮の浄化に尽力いただいたマロン殿を助けるべく、私も尽力するつもりです」


「なるほど・・・。やはり助けに行くのか、ナオト?」

「もちろんです」


「そうか。残念だが我らの守りも完璧とはいかぬ。今のところ多数の兵を出せぬが、それでも行くか?」

「もとより、マロンを守れなかったのは僕のせいです。一人でも行くつもりです」

「わかった」


「お父様!!」

 ユリア姫が謁見の間に入ってきた。

「わたしも行きます!」

「ならぬ。たださえ貴重な『浄化』スキルを持つお前を行かせるわけにはいかない。北方領でのこと忘れたか?」

「でも・・・」


「姫、お気持ちだけで十分です。マロンは僕が救います。それが勇者の努めですので」

 姫にお礼を言う。

 納得していない顔ではあるが、ここでこれ以上は騒げないのだろう。


「魔王の居場所について諜報部隊が動いている。出発はもう少し延ばしてくれ。必ず情報を提供する」

「・・・わかりました」

 今すぐ出発したい気持ちを抑えて返事をする。


 謁見室を出て、居室に向かう。エレミアも一緒に来るが、別の部屋を割り当てたと途中でメイドさんが来て連れて行ってくれた。正直ありがたかった。

 気持ちが焦る。マロンはどうなっているのか。


 コンコン。ノックの音。

「どうぞ」

「失礼する」

 入ってきたのは、イザークさんだ。


「話は聞いた。大丈夫か?」


「そうですね、そう簡単に大丈夫、とは言えない感じでしょうか」

「そうか。まあ焦ってやみくもに探しても時間がかかるだけだ。少し落ち着いた方がいい」

「わかっています・・・」

「諜報部もずいぶん前から動いている。良い情報が来るよ」

「はい」


「でだ、その~・・・」

 イザークさんが言いにくそうにしている。

 と、扉が開いてフリッツさんが入ってきた。


「自分も行きますよ!」

 笑顔で宣言する。

「え?」

「だから、自分もナオトさんについていきます」

「え、いや・・・」


「俺もな」

「イザークさんまで?」


「当然じゃないですか。この世界の脅威は魔王です。それを倒せるのは勇者のみ。これ一番大事なところです。勇者を魔王の前まで連れて行かないと」

「それに、あのマロンにはずいぶん助けられたからな。せめてその助けにならないと男が廃る」


「でも、そんなの許可が出ないでしょう?」

「いや、案外あっさり出ましたよ?」

 どうやら姫が後押ししたらしい。自分がいけない分、せめて仲の良いこの二人をと。


「あまり役には立たないかもしれないが、ここで待っているなんて選択肢は俺達にはない」


「あ、ありがとうございます」


「そうだ、宮廷魔術師様からナオトさんに会いたいって伝言です。これからいかがですか?」

「わかりました、行きます」

「あ、エルフの姫も一緒にって言われていたので声をかけますね」


 フリッツがエレミアを呼びに行き、4人で宮廷魔術師のヨアヒム様のところへ行く。


「ナオトく~~ん、マロン君が攫われたんだって~~~??なんてことだ!!!」

 いきなりテンションが高い。


「すみません、僕がいながら」

「起きたものはしかたない。ぼくはこれからマロン君を助けに行く君たちに、マロン君とぼくの共同成果を渡さないといけないと思ってね。それがこれだ」


 ヨアヒムさんが出してきたのはネックレスだ。先に魔法石がついている。


「これがマロンとの?どんな効果があるのですか?」


「先日の出発前に『結界魔法』を教えてもらってね。広域防衛用にも使うつもりなんだが、これは個人用だ」


「結界、ですか」

「首にかけて少し魔力を流してみるといい」


「じゃあ自分が」

 フリッツがネックレスを首にかけて、魔法石を握りながら魔力を流す。

 フリッツさんの周囲に『結界』ができているのがわかる。

 イザークさんが少し叩いてみるが、もちろんびくともしない。


「もっとやっても大丈夫だよ」

 イザークさんが剣を抜いて叩きつけるが、はじかれる。

「これはすごい」


「この個人用は体の周囲に結界を作るように調整している。魔力を強く流せば強度が増す。ナオト君の全力でも何度かはもつと思うよ」


「ナオトの全力を?それはまた。なんてものを残してくれたんだ」



「イザークとフリッツの剣と槍、防具もさらに強化した。なんとか使いこなしてくれ。頼む、これでマロン君を助けてくれ」

「はい!」

 ヨアヒム様は本当にいい人だ・・・。


「で、エルフの姫が持ってるレイピアをマロン君が作ったらしいじゃないかーーーーーー!!!!!!見せてくれ、見せてくれーーーーー!!!!!!」


 こ、これがなければね。あ、エレミアがめちゃくちゃ引いて、逃げだしたから、ヨアヒム様に追いかけられてる・・・。


「お願いだーーーーーー!!!11」

「見せる、見せるから、お願いだから来ないでーーーーーーーーー!!!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 次の日、王から呼び出されて諜報部隊の報告を聞く。

 魔王の居場所が判明した。『魔王城』と呼ぶことにしたそこがマロンのいる場所。


 いよいよ魔王との戦いだ、よし、行くぞ。必ず助けるからね、マロン!


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