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異世界は猫(?)と共に(仮)  作者: 藤間ココロ
第一章 そこは異世界
3/40

2話 姫と迷宮

とりあえず3連投です。あとはのんびり

 森を抜けるとは言っても、今いる草地から東西に道が続いている。それを頼りに進んでいく。

 先にさっきより少しレベルが高いゴブリンが木の陰に隠れて2匹いる。こちらをうかがっているみたいにゃ

 ―ゴブリン2体-

 種族:ゴブリン 性別:男 ジョブ:なし

 レベル5

 所持スキル:「棍棒攻撃」レベル5


「マロンの魔法は今回はなしで、僕だけ行ってみるね。物理強化!」

 物理強化は見た目にはなにもかわらないようだが、ニャオトのダッシュは早くなっている。

 ゴブリン2匹に一瞬で近づき、剣を振る。ゴブリンの迎撃態勢は間に合わず、瞬殺。

「力も速度も上がるな。物理強化もなかなか。即死効果がきいてるかどうかは・・・」ブツブツ

 ―収納シマシター

 アイテム:ゴブリンの角×2 ゴブリンの棍棒×2

 落ちてたアイテムも無事収納。コロコロ転がしてみたくなる気持ちがふつふつと沸いてくるけど自動で吸い込まれたから無理にゃ。

 火の玉でゴブリンを燃やしてっと。

 道をさらに進む。道幅はなかなか広いし車輪のあとのようなものもあるが、新しい跡がないから最近は人が通っていないのだろう。道の両脇には大きな木が連なっていてその奥の森は暗く見通しが悪い。

「大きな木だよね、樹齢何百年とか。確か王国歴638年とかだったから、建国当初かそれより前から生えてるのかもね。」森を見ながらニャオトが言う。前住んでいた場所にこんな大きな木はにゃかった。

 魔物が出ないならこんないい散歩道もないにゃ。

 ―魔物ヲ感知シマシター

「いるにゃ、でもにゃんか変」

 道の先に分かれ道が見え、その先に魔物がたくさん感知できる。そして魔物とは違う反応。

「人間かにゃ?襲われてるかも」

「行こう!」と同時にニャオトがあたしを抱えて走り出した。物理強化速いから。抱えたままだと走りにくそうだから肩に乗り移って掴まる。鎧に爪がささらにゃいけど、ひっかけて。

 分かれ道を曲がると、見えた。馬車があって、それを守るようにニャオトと同じように鎧をつけた人間が5人。その周りにたくさんのゴブリンの輪が囲っている。

「あの人たちを傷つけないように魔法で何とかできる?」

 傷つけないようにするには、と

 ―壁ヲ作リマス。土魔法―

 ―ドウゾ―

「かべ~!!」

 馬車と人間を守るように地面から土の壁が急速に立ち上がる。その勢いに何匹かゴブリンが飛ぶ。そのまま走っていたニャオトが切り掛かる。ゴブリンたちが混乱している中確実に1匹ずつ倒していく。

 ―攻撃シマス、火魔法―

 火の玉がどんどん大きくなる。

 ―ドウゾー

「にゃ~!!」

 複数のゴブリンを目掛けて火の玉が進んでいく。

 ―連携シマス、風魔法―

「いけっ!」

 火の玉を追いかけて竜巻状の風が飛んでいき、火の玉を巻き込んで暴風と化す。標的は火に焼かれ、竜巻に切り裂かれ消滅していく。ニャオトもすべてのゴブリンを倒したみたいだ。

「相性のいい魔法同士の連携だとすごい威力だね。となると、他にもいろいろな組み合わせが・・・」ぶつぶつ。

 ぶつぶつ状態のニャオトは無視して、ドロップアイテム回収と、ゴブリンを燃やす。


「どうなっているのだ?!誰かいるのか??!!おいっ!!」

 土の壁の中から騒ぐ声がする。いきなり土の壁に囲まれたのだからそうにゃるよね。

「解除にゃ」土の壁が地面に消えていく。

 そこには馬車と5人の人間がいた。

「お前ら、誰っ・・・助けてくれたのか?」5人の中で一番強そうなオスがゴブリンの死体が燃えているのを見て問いかける。

「す、すみません、そういうことになってしまいました。」ニャオトはなぜか謝る。

「ちょっと見たところゴブリンに襲われて大変そうだと思いまして、あ、その、余計なことをしてしまいましたか?」話しながら体が小さくなっていくようにゃ・・・卑屈だ。

「いや・・・ありがとう。突然の出来事に少々驚いてな。まずいことになっていたのはこっちだ。本当にありがとう。」

「イザーク、どうなったの?」馬車の中から人間のメスの声がする。

「は、どうやら助けていただいたみたいで」

 ガチャッ。馬車のドアが開いて人間のメスが降りた。ニャオトと同じ歳ぐらいのメス。

「姫、なにも降りずとも。」

「イザーク、何言ってるの?助けてもらったんだからお礼ぐらいするわよ、わたしはっ。」

 その身なりは元の世界では見たことのないようなヒラヒラのフワフワの服で。金色の髪もふわふわとして背中まで伸びていて、目が青。青い目は猫仲間にもいたにゃ。

「助けてくれてありがとう。わたしはグラッド王国王女ユリア・グラッドよ。」とナオトに向かって胸を張る。王女って、偉い人なのかにゃ。5人の人間オスは頭を下げている。

「われらは姫の護衛で、俺が隊長のイザークだ」

「あ、あの、僕はナオト、です。すみません。本当にすみません。」胸を張るメスに頭を下げて泣きそうになりながら謝っているニャオト。だから卑屈すぎるってば。

「なかなか強いのね、あなた。あら、猫と一緒なの?」ニャオトの卑屈が目に入っていないように人間のメスはあたしの方を向いた。

「あたしの名前は・・・マ、じゃなくて、マ、じゃないの、マロ・・・」なんで本当の名前が出てこないにゃ。もういらいらする。

「なんか言ってる?この猫?」

 聞こえてない?

「この子はマロンと言います。すみません。」

 なぜ謝る?あと、あたしの名前は、マ・・・もういいや・・・ほかの人間にはあたしの言葉は理解できないみたい。それが普通なんだけど、なんか悔しい。ニャオトの卑屈さもイライラするし、こんなときは、ガブッ。

「痛っ!足、噛まないでね・・・」ガブガブ。

「仲良し、なのね。」

「す、すみません。」

 今のが仲良し?まあいいけど。

「さ、触ってもいいかしら?」

 にゃ~。頭を撫でられるのは好きにゃ。人間のメスに頭を撫でられる。ごろにゃん。

 あたしを撫でる手は、偉そうにしてるけど優しい手だ。

「それにしてもさっきの土の壁はすごかったな~。一瞬で現れたから何が何だかわからなかったよ。」イザークと呼ばれた人間のオスが語りかける。そんな褒めないでよ、照れるにゃ。

「すみません、あの、とにかく困っていたみたいなので、マロンにお願いしたんですけど。」

「マロンってその猫だよな?もしかしてこの猫がやったなんて言うんじゃないよな?冗談もほどほどにしてくれよ。お前の魔法だろ?」

「それが、その・・・」

 イラッ

「にゃっ(土魔法)!」

 少し離れた地面から土の棘が出現する。そこに誰かがいれば間違いなく串刺しになるだろう。

「え?つか、え?」

 イザークが驚いている。

「猫が・・・なんてことだ・・・」

 他の人間のオスも驚き騒いでいる。ただ、現実としてあたしの魔法を見たわけで、納得せざるをえないことはわかっているみたいだけど。

「魔物ということはなさそうだが。」

 鑑定結果は「猫?」だけど。

「まあ、規格外の猫だってことはわかったとして、そもそもあなたたちはなぜここにいるの?」人間のメスが問いかける。

「あ、いや、その、旅の途中でして・・・すみません。」

「どこへ?目的は?」

「え~と、とりあえずこの先の町へと。目的と言われても・・・え~と」

「ま、いいわ。話したくない事もあるわよね。とりあえずこの先のオステンドルフに行くなら、わたしたちも昨日までいたから『迷宮』討伐後に褒美を渡すわ。少しの間待ってなさい。」

 迷宮討伐?

「迷宮?」ニャオトも疑問形にゃ。


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