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異世界は猫(?)と共に(仮)  作者: 藤間ココロ
第三章 野望
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15話 北方領への旅

 翌朝、城門前に用意された馬車の中には、

「よろしく!」

「ナオトさんと一緒なんて楽しそうだな~」

「頼むわよ、ナオト」


 姫、イザーク、フリッツの3人。知り合いばかりが乗っているのであった。


「ひ、姫も一緒に行くんですか?」

「なんで?邪魔?」

「いや、邪魔とかそういうことではなく・・・姫が行くなら僕が行く意味なくないですか?」

「やっぱり邪魔なんだ・・・。最近フリッツと仲良いからわたしのことなんてもういらないのね~~!!」

「ちょ、ちょっと待ってください、どういう論理ですか・・・」

「じゃあいいわね、ほらいくわよ、乗って」


 イザークとフリッツは何も言わない。触らぬ姫に祟りなしにゃ。


 馬車は進む。


 落ち着いてからイザークが言うには、姫は今回、王の代理としていくことになったそうだ。北方領公爵とは王族でも敬意を払う存在だと。そしてイザークとフリッツの2人は姫の護衛として来た。護衛の数が2人しかいないのはいたずらに公爵を刺激しないことと、そもそもニャオトとあたしがいればそんなに困ったことも起こらないだろうということだったが。

 怠慢にゃ。丸投げにゃ。


「でも、十分でしょ。ここから北方領まで3週間、頼むわよナオト!」

「は、はい・・・」


 王都から北方領までは主要道ということもあり大きな街道が整備されている。馬車の往来も多い。

 街道の宿場町の間では魔物が出ることもあるが、往来が多いということは魔物退治も適度に行われているために大きな問題にはなっていない。


「それにしても、これはすごいですよ、マロンさん」

 イケメンがキラキラした笑顔であたしに話しかけてくる。

「この槍とイザークさんの剣、そして鎧、これが軍に支給され始めたら、魔王軍に対抗できます、間違いなく」


 イケメンが何を言ってるかというと、変態おじさんことヨアヒム宮廷魔術師様と筋肉ドワーフおじさんこと鍛冶師ヴィダルゴンと一緒に研究した新しい武器と防具をお試しでイザークとフリッツに提供されたのにゃ。あたしは知らなかったけど。

 フリッツには雷属性などが付与された槍、イザークには火属性などが付与された剣、二人の鎧は軽量化や耐性強化などが付与された鎧が渡されていた。

 材料は鉄と銀を混ぜたの。銀は強度はないが魔力を通すのによかったからという理由。


 ま、なかなかの出来栄えにゃ。


 道中3人は休憩中に模擬戦を行いながら使い方を試している。


「ほんと、男って戦いばかりね、マロン」

 にゃ~

「わたしが入り込む隙間ないじゃない」

 え?

 姫はため息と共につぶやいた。入り込む、隙間?




 そして3週間はあっという間に過ぎ、


「さあ、もうすぐ着くわよ」

 見えてきたのは北方領都ノルデンファング

 王都ほどではないが、大きな、しかし武骨な城壁に囲まれた要塞のような都市。ここより北は魔物の生息地で、ここを突破されるということは大量の魔物が王都まで襲来する可能性もある最前線の都。王国にとって重要な場所であることは間違いない。


 季節は夏だが、ここまで北に来ると涼しく、避暑地として別荘を置く貴族もいるという。もちろん自分たちを守れるだけの力がある貴族だけだが。


「そこの馬車止まれ!」

 門の前で馬車を停止する。

 イザークが馬車を降りて門番に話しかける。

「王都よりの使者ユリア王女である。公爵にお伝え願う!」

「しばし待たれよ!」


 ざわざわと門の中が騒がしくなっている。


 しばらくすると、

「開門~~!!」

 大きな門が開く。と、中から一人の人間のオスが歩いて出てくる。


「姫、公爵自ら出迎えにいらっしゃいました」

 イザークの声にみんなが馬車を降りる。イザークとフリッツは膝をついて頭を下げる。

 ニャオトも同じようにしようとすると、

「ナオトはそのままで。勇者がへりくだる必要はないわ」

「は、はい」


 人間のオスが立ち止まる。短い銀髪に、口髭。体つきはスリムだが敏捷な感じ。強いにゃ。


 ―鑑定シマスー

 名前:オスカー・ローレンツ 種族:人間 年齢:36歳 性別:男 ジョブ:?????

 ステータス レベル50

 所持スキル:「斬攻撃」レベル45 「身体強化」レベル40「?????」レベル?????

 所持スペシャルスキル:「?????」レベル?????


 にゃんだ?鑑定にハテナが並んでるにゃ。今までこんなことなかったにゃ。



「ご機嫌うるわしゅうございます、公爵」

「お~、王女もずいぶん大人になった。王女がいらしたと聞いて急ぎ来てしまった。よくおいでになられた。さあ、わが屋敷までどうぞ。ん?そちらは?」

 立ったままのニャオトを見てオスが言う。


「勇者様、でございます」

「ほ~、これが勇者殿か。なるほど、確かに雰囲気はあるな」

「そして勇者の相棒でもあるマロン様です」

「ん?その猫が?」

「はい」

 にゃ~


「それはそれは」

 一瞬キラっと瞳が輝いたような気がしたが。にゃんだろ?謎か?ハテナおじさん。


「とにかく一緒に屋敷まで参ろう」


 公爵の屋敷は都市の中心にあり、役所の仕事も行っているとても大きな建物だった。


「長旅お疲れでしょう。今日はゆっくり休んでいただいて、明日歓迎の宴を行います。姫もそれでよろしいか?」

「わかりました」

「そうだ、勇者、ナオトよ。明日ぜひ手合わせを願いたい。この辺境では強きものと戦う、それが一番の娯楽でしてな。いかがか?」

「僕でよければ」

「良かった。それではゆっくりと過ごしてくれ」



「ふう~~」

 部屋に入ると溜息。相変わらずにゃ。でも前よりだいぶ堂々とできるようになったにゃ。

「そうかな~、疲れるのは相変わらずだよ・・・」

 それよりも鑑定のはてなが気になるにゃ。

「こういう時は鑑定を阻害『隠蔽』みたいなスキルがかかってるんだろうね。貴族の嗜み?って感じかな?」

 それならいいけどにゃ。気をつけて明日もやるにゃ。

「うん」



 イザークとフリッツの部屋では、

「隊長?」

「ん?」

「自分よりも公爵は強いですかね?」

「ん~、強そうに思えるけどな」

「まだまだ、なんですね」

「なにがだ?」

「世界最強!!」

「・・・お前、そんな奴だったか?」

「いつか公爵もナオトさんも倒して、魔王を倒して。自分が最強、です」

「そうだな、そうなるといいな。夜は姫の部屋の護衛につくからな、休んでおけ」

「はい、最強目指して」


 呆れた顔でベッドに倒れこむイザークだった・・・。


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