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異世界は猫(?)と共に(仮)  作者: 藤間ココロ
第二章 勇者
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10話 付与魔法、イケメン

 次の朝。


「ナオト様、何か見たいものはありますか?」

「・・・えっと、この間イザークさんに魔法石を見せてもらいまして。付与魔法が出来るのはこの国では宮廷魔術師ぐらいしかいないと。その人に会うことって出来ますか?」

「宮廷魔術師、ヨアヒム様ですね。実はヨアヒム様からもぜひお会いしたいと言われておりますので問題ありません。」

「え?」

「はい。宮廷魔術師のヨアヒム様はとても探求心旺盛なお方でして。ナオト様とマロン様のお話を陛下からお聞きになってすぐに面談要請がありました。色々お聞きしたいと。」

「そ、そうですか・・・。」

「驚かないでくださいね、変わった方ですので」

「は、はい」


 メイドに案内されて広い城の中でも階段を下りて地下のほうに連れていかれる。宮廷魔術師のヨアヒムというのは多くの時間を地下の研究室で過ごすという。

 古いが頑丈そうな扉をノックすると、扉が開く。が、誰もいない。自動扉。3人が中に入ると自動で閉まる。

 部屋の奥、乱雑に書類が乗っている机に男が一人座っていた。

「ちょっと待って、今終わるから。」

 なにやら唸りながら書き物をしている。

「あ~~、終わった!!ほんとにみんな人使いが荒いんだから。」

「ヨアヒム様、ナオト様とマロン様をお連れしました。」

 机から立ち上がると人間のオスはニャオトに手を差し出す。恐る恐るニャオトが手を差し出すと握ってぶんぶん振り回す。

「ほんと、よく来てくれた。会いたかったよナオト君。それと君もね、マロン君。」

「僕も、魔法石のことを聞いてから宮廷魔術師様に会いたくて。」

「そうか~、それは嬉しいな~。」


 なんとなく波長があってるのかにゃ、この2人?そこから怒涛の質問責めになる。

 オスのほうからは異世界から来た経緯や今の能力などに関わることを。これはニャオトもどこまで言ったらいいのか悩み、前の世界のことは少し曖昧に説明していた。オスが一番食いついたのは迷宮の中での戦いのことで、特にあたしの賢者のこと。

「見ただけの魔法を使える??姫の浄化まで??」

「は、はい。」

「古い勇者の文献にもそういうのは載ってないな~。これはすごいことだよ。」

「そ、そうなんですか。」

「スペシャルスキルは過去にも現在にも様々な種類のものが確認されていてね。賢者も過去に存在しているはずだ。でも魔法をマネできるみたいなのはたぶん初めてだよ。これは研究し甲斐があるな~。」


 う、にゃんか視線が気持ち悪い。


「え~と、マロンが気味悪がってます。」

「え~~、仲良くしてよ~~。」

「ヨアヒム様。その感じが気持ち悪いのでは?」

「エリーゼ・・・そんなはっきり・・・」


「ふ、付与魔法について少し教えていただけませんか?」

「そうだね、隠すことでもないからいいよ。」

「宮廷魔術師様しか使えないと。」

「ん~付与魔術はちょっとコツが必要だからね、僕も伝え聞いていたものを自分なりにいろいろ試行錯誤してできたものだからね。まだまだ奥が深いよ。」


 オスは机の上に石を置いた。

「使うのは魔物から出る魔石。これに付与したい属性の魔法の力を籠めるのだけど。」

 両手を魔石にかざすと、オスの手から魔力が魔石に移っていくみたい。魔石がキラキラ輝いて魔力を吸収すると、輝きが小さくなっていく。

「この部屋の明かりにも使っている魔法石を作ってみた。光れ」

 オスの言葉に魔法石が輝きをまた増す。

「これが付与魔法・・・」

「まだ付与できる属性が少なくて。ほかの国でも似たようなものだろう。僕より天才はそんなに多くないからね。武器や防具に使えそうな付与属性がうまくいかないんだ・・・」

「武器?」

「伝説級の聖武具なんかにはね、軽くなったり切れ味が鋭くなるような属性が付与されていてね。その再現がうまくいかない。」

「昔は出来ていたんですか?」

「そこも不明でね、そういう武具があるからには誰かができたと思うが、もしかしたら神の御業で人間には再現不可能なのかもしれない。」


 にゃんか簡単にできそうだけどそうでもないのか。魔石まだ売ってないのあったにゃ。それを一つ出して、え~と、軽くなれ~~


「ちょ、マロン」

 にゃ?

「その浮いてる石なに?」

 いや、軽くなれ~って


「え~~~~~!!!???」


「付与魔法もできるようになったの?」


 ん~、たぶん。


 ―付与魔法ヲ取得シマシター

 あ、やっぱり。



「いやはや、噂以上ですね、マロン君は。」

「す、すみません。」

「でも、これは本当にすごいことだよ。マロン君の力があれば武器や防具の力が飛躍的に上昇するはずだ。これは魔王との戦いに非常に有益だ。」


「ヨアヒム様。お二人はまだ戦うとは・・・」

「あ、そうだったね・・・」

「その、すみません・・・」

「あ、いや、僕が先走ってしまったね。すまない。年甲斐もなく興奮してしまったよ。僕の悲願が目の前に見えたものだから。」

「悲願?」

「・・・この国は600年前から次の魔王出現に備えて国力と軍事力を強化してきた。いつ現れるかわからない魔王のためにね。でもそれだけの恐怖が前回の魔王出現で植え付けられたのさ。」


 未知の恐怖へ向けて、戦略、戦闘技術に加えて武器の強化など様々な試行錯誤が重ねられてきた。

「僕も研究者として、ね。さて、ほかにも見て回るところあるんだろ?また来ておくれ。」


 メイドがさっとあたしたちを連れて部屋を出ていく。

 にゃんか悪いことしたみたい。

「マロンは悪くないよ。」

 でも、にゃんかな~


「さて、次はどこをご覧になりますか。」

 階段を上がりながら進んでいると、遠くから掛け声みたいなものが聞こえてきた。

「あれは?」

「騎士団の練習の声でしょう。ご覧になりますか?」

「そうですね、見てみたいです。」


 城の建物の側面の敷地が王国騎士団の練習場になっていると。

 王国騎士団は、現在、司令部の下に第一から第四の大隊があり、さらに王様の護衛を主にする近衛隊、諜報部などがあるそうだ。


「今日は近衛隊が練習しているみたいですね。」

 練習場に出ていくとたくさんの人間がいくつかの集団に分かれて戦いの訓練をしている。ちょっとよくわからない。


「お、ナオトじゃないか」

「イザークさん!」

 練習用の木剣を持って汗を拭きながらイザークが近寄ってきた。

「イザークさんは近衛隊所属なんですね?」

「ああ、主に姫の護衛につく部隊にな。」


「イザークさん、そちらが?」

 イザークに声をかけて近寄ってくる人間のオス。

「ああ、お前会いたがってたもんな。紹介しよう。これがナオトだ。」

「初めまして、ナオトさん。自分はフリッツ。フリッツ・クラウフマンです。近衛隊に所属しています。」

 握手を求めてニャオトに手を差し出す。

 イケメン登場だ・・・。


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