7, こんにちは、"お父様"
輝く太陽! あふれる自然! 可愛らしい動物たち! そして………!
「……ぅぁ……ぁぁぁぁぁぁあアア!!」
「……ぉ……おお」
ゴスッ! ゴスッ! と地面に頭が突き刺さった二人の少年たち。
「……む……んぐぅ………………ぷはぁァァァァっ!
死ぬかと思ったぁ!」
「ペッペッ、土を食べてしまった」
…………ん? とここで仲良く土に埋もれたお互いを見合わす少年二人。
お互いがお互いを見合うと、
「あっ! 九条神戦慄!」
そう言ってまず口を開いたのは女子のように髪を束ねた少年。
「なんでここに!」
「なんのことだ?」
戦慄は土を払い落としながら首を傾げる。
「な、なんで君が僕と同じ場所に転移してるんだよ!」
「当然だ。あんたと同じで試験を受けに来たからだ」
当たり前のことを疑問に思う少年に「分からないか?」と戦慄はやれやれと首を振る。無表情で。
「いや、そうじゃなくて!
君と僕が同時に同じ場所に転移されるなん
てありえないって言ってんだよ!」
「それはさっきも言ったがオレもここの受験を………」
「いや何言ってんのさ!
ここがもう試験会場なんだよ!」
「そうだろうな。
そうなるように転移したんじゃないのか?」
「いやっ、だーかーらぁ!
ここはフィールドなんだ!」
「だから?」
「もう試験が始まってるんだよ!
受験者説明会行った!?」
「なんだそれは?」
再び首を傾げる戦慄に「マジっかぁぁ」と少年は頭を抱えその場で絶望を始める。
「説明会? という存在すら知らなかった。
悪いが詳しく教えてくれ」
「ちょっと待って! 今心の整理をつけてるから!」
少年は深く深呼吸したあとに言葉を続ける。
「九条神が説明会に行ってないのは分かった。
でもなんで行かなかった!?
受験するなら知らせがきてるはずだろ!?」
「知らせや外部の情報の管理はオレの担当じゃない」
「はぁ!? じゃぁ誰がすんの!?」
「シアンだ」
「しあん? それって……ロボ?」
「そうだ」
「え、ちょちょちょ、もしかして九条神って
金持ち、なの……か?」
「金持ち?」
戦慄は絶賛居候中である。
「だって、ほら。ロボがいるなんて金持ちく
らいしか考えられない」
「ロボとはそんなに高価なのか?」
「そりゃぁ、高いに決まってる。
もう人型とかになればセレブとか貴族やら
しかお目にかかれない。それだけ優秀ってこと」
「優秀か。シアンは………」
暴力を振るう。暴言を吐く。泣き虫。