死神の風舞うこの世界で　〜紅紫の瞳〜

　「平和とは、簡単に壊れるものだ」

４０００年前おきた謎の『ソニックバーン現象』が原因で始まった超人社会。
ソニックバーン現象の発源とされる銀色（ネオ）の雪は、地面や人に当たった途端、光の粒子となって空気にとけ呼吸を通して人体に取り込まれた。
光の粒子は人間のDNAと細胞レベルで結合し、体の奥底で身を潜めた。
光の粒子の力は親から子へ、子が親になり、再び親から子へと受け継がれ、時間にしておよそ２０００年、身を潜め、蓄積され続けた光の粒子が凡人たちを超人へと変貌させた。
頭脳、身体能力、自己治癒力などなど、"全世界の住人"が人間の限界を遥かに超越した力を手に入れたのだった。
社会は発展してゆき、人々の暮らしはより豊かに。より安全、安心になった。

そんな平和な社会の裏で、人間の妬み、怒り、悲しみや欲望（エゴ）を実体化させた脅威的存在
『人形（ドール）』の魔の手が迫ってきていた。
猛威を振るうドールに対抗するべく日本の離島に創設された国際対人形応戦学院、通称『ＷＤＳ』で本格的な戦闘訓練が開始され、人々を脅かすドールと戦うヒーロー、『諫死屋（かんしや）』が育成され始めた。


透き通るような長い白髪に高貴さを見せつけるかのような金色の瞳。
六条（ろくじょう）美香（みか）はある日、裏路地に倒れ伏していた一人の少年を拾う。
身よりもおらず住む場所もない謎多き少年はＷＤＳの合格枠３人という馬鹿げた倍率の中で転入試験に挑むことに。
記述試験は勿論、格闘技（型）、戦闘能力、回避力などで満点の８割が必要とされた。
試験開始の一ヶ月前から訓練を開始した少年の結果は………


出会いと別れが交差し、歪み始める世界。
その時、世界に抗う、世界を変えようとする者たちは………。

これは『死神たち』が創る、あなた達の、これからの未来の物語である。