君が着るまで告白するのをやめない
やはり、贈り物をするのであれば、時期にあったものでなければならないと反省した。
「というわけでこんなものを用意してみたんだが、どうだ?」
そう言って、用意してきた物を御崎に渡した。
「何ですかこれ? ああ、Tシャツですか」
「広げて、表のプリントを見てくれ」
御崎は俺に言われたとおりにTシャツを広げた。表のプリントを見た途端に、彼女の顔が引き攣った
「……うわあ」
「ちょっと声に出して読み上げてみてくれないか?」
「断固拒否します」
彼女に渡したTシャツ。その胸の部分には、横書きで「I♡先輩」とプリントされていた。
「こんなもの、よく見つけましたね……」
「いや、業者に依頼して作ってもらった」
「オーダーメイドですかこれ?!」
「ああ。だからこんなものまで用意してもらった」
そう言って俺はシャツを1枚脱いだ。その下には、彼女に渡したものと同じTシャツがあった。しかし、彼女の分のものとは違い、胸の部分には「I♡御崎」とプリントされていた。
「うわあ……」
「御崎! 君が好きだ! 俺とペアルックを着てくれ!」
「お断りします。あと、そんなもの外で着られたら私が恥ずかしいので、先輩の分も回収させてください」
「そんなこと言っておきながら、本当は俺が着ているTシャツが欲しいだけだろう?」
「いえ、先輩が着ていたものは後で処分します」
「……なるほど、ペアルックが恥ずかしいから、俺のTシャツを処分して自分の分を着るんだな?」
「いえ、はっきり言って先輩が作ったTシャツはダサ過ぎて着れないです」
その日、上裸で泣きながら走る不審者がいるという事案が発生した。
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後日
あ、お母さん。来てくれたんだ。
何、どうしたの、そんな急ににやにやして。え、Tシャツ?
……あ、いや、ちがっ、これ違うの。今日ちょっと肌寒くて、他に着るもの無くて、だから仕方なくこれ着てるだけで。別に意味なんてないから。
ちょっ、ほんとに違うから! 勘違いしないでってば。先輩の事なんてなんとも思ってないから! ねえ聞いてる?!
分かった分かったってそれ分かってないでしょ! 〜〜もうっ! 知らない!