俺の事情を聞いてもらいたいんだが
なんか中途半端な終わり方だけど許して。
――チリリリリ、と目覚まし時計が鳴る。
俺はそのうるさく鳴り響く目覚ましい時計に、右手を振り上げ、上から叩く。その直後、目覚ましい時計が「ドシャン」という、なにかしてはいけない音をたてながら落ちたが、気にせずに重い体を起こす。
重く持ち上がりそうにない瞼を、俺はこすりながら無理やりこじ開ける。
今何時だ?というその疑問を満たすため、俺は周りを見渡すが、さらなる疑問に襲われる。
・・・どこだここ?
・・・時間なんてどうでもいい。先ずは今の俺の置かれている状況を把握することが先決だ。
俺はそんなことを心の中で唱え、柔らかなベットの上で今もまだ寝ぼけている思考をフル回転させた。
・・さらわれたのか?にしては、たいそうな振る舞いだよな。こんなフカフカなベット。そうやって俺を騙そうとしているのか?いや、俺はたいして強くもないし、俺を仲間にしようとは考えてないだろう。
だとすると、俺がここにいるのは人質にされ身代金を家族に要求してる、という理由が一番納得できるな。
俺、宮嶋愛理の祖先は、明治まであった≪貴族≫の公爵家という偉い家で、曽祖父まで続いていたらしい。そして、うちの公爵家は火の属性にたけていた。
だから、その血を受け継ぐものは皆、強い火を操っていた。なので俺も多少火属性が使える、と思っていたのだが、何故か俺はその能力を受け継いではいなかった。その代わり、と言わんがばかリに妹の宮嶋楓が強い火の能力を扱えた。
うちの家は婿養子で父は水を操るのが得意なので、それで消えたと叔父はいっていたが、俺はそうとは思わない。なぜなら、その逆の水と火を使える、という人がいるという事は聞いたことはあるが、打ち消され能力自体が消えるとは聞いたことがなかったからだ。それと、父を尊敬しているのもあるが。
・・・かなり話がずれてしまったが、つまりは公爵家の血を継いでる俺の家を金持ちと思ったのだろう。
だが、うちはいたって平凡な家庭で、そこまで金持ちではないし、それと元公爵家だと知る者も極めて少ないと聞いた。
となるとこの線も少し怪しいな――
そこで俺の考えを遮断するように、室内にドアをノックする音が響いた。