第四章 バカ・デストロイ・ホーム -2-
「改めまして、前世では賢者でした、和泉真帆です。高校一年生です」
「よろしくね、真帆ちゃん。僕は聖騎士の志貴誠也だ。高二だね」
「私は武闘家の武藤愛花よ。同じ高校一年よ。――ってか、あんたも同じ学校だったのね」
「かつての記憶があると事がスムーズに運ぶのう」
うんうんと、女神様たち四人が頷いている。
「――じゃねぇよ! まずは魔族諸共まっ黒に焼いた俺に対して誠意ある謝罪をすべきじゃありませんかね!?」
ぷすぷすと煤まみれになった俺が全力で抗議する。もし勇者でなければ死んでいたかもしれない。いや、勇者の力で何とかした覚えもないが。
「え、あ! すみません、勇者様」
「へん。ゴメンで済んだら警察はいらねぇんだよ。誠意を見せてもらおうか!」
「もう口ぶりはただの外道よね……」
人を直火でこんがりローストしてゴメンで済む方が間違っていると思う。
「あ、あの。具体的に、誠意って……?」
「ふはははははは! そんなもん、身体に決まっておろうが! その豊満なおっぱい――でぃらく!?」
「すっ込んでろ、クズ勇者!!」
聖拳・メリケンサックをはめた愛花が、俺の顎に全力でアッパーを叩きこむ。砕けてはいけない骨が砕けた音がした。
「ったく……。――って、あれ? 勇太?」
何か愛花が呼んでいる声がするが、遠い。
何だろう。さっきまで道端で立ち話をしていたはずなのに、俺の目の前にはお花畑が広がっている。あぁ、綺麗な川だなぁ……。
「……息してないね。メリケンサックはやり過ぎだったんじゃ――」
「勇太ぁぁあああ!?」
愛花の絶叫と共に、川に足を踏み入れかけた俺の後頭部に、鈍器を殴りつけたような衝撃が走った。そのまま、深い川底へ沈んでいく。
「三途の川でまで追い打ちをかけるとか、さすが武闘家じゃな……」
「気付けで殴ったつもりがまさか追い打ちに!?」
「まさかじゃねぇだろうがぁぁあああ!!」
殴る前に気付けよ、バカ野郎!!
「あぁ、無事に戻ってきたみたいで何より。そう、ここまで私の想定通りよ」
「ふざけんな、筋力バカ! 料理だけじゃなくて物理的に人を殺すんじゃね――」
そこまで叫んで、ようやく俺は目の前の光景に気付いた。
顔。
志貴誠也の顔だ。
「何してんですか、誠也先輩……」
「何って、息をしていなかったようだから人工呼吸をしようかと」
「もう目覚めてんだからさっさと離れて!?」
何で起きている俺に更に迫ろうとしているの、このイケメン!? 怖いよ!
「何だか、楽しそうなパーティだね」
そんな俺たちを見て、くすくすと賢者の真帆が笑う。
見た目はどこにでもいる高校生だ。ただ、制服でなければ中学生と間違えそうなくらい小さく童顔で、胸が異様に大きい。たぶんFは超えてGはあるんじゃなかろうか。
そんな彼女が――
「ふ、普通のリアクション、だと……っ」
「何に感動してるのよ、あんた……」
歓喜のあまり涙を流しかけている俺に、愛花が冷ややかな声を浴びせる。
「ばか、だって、この面子だぞ!? 女神様は『普通だ』って言ってたけど、やっぱりサイコレズかヤンデレくらいのパンチのあるキャラが来るかもって身構えるだろ!?」
「まずあんたが私たちをどう思っていたのか、小一時間くらい問い詰めたいんだけど」
「……そのセリフは三角絞めを極めながら言うものじゃないと思うよ?」
あぁ、冷静な誠也先輩のツッコミがすごく遠のいていく――……
「まぁ良いではないか。これで無事にパーティが揃ったんじゃ。今のうちに力を蓄え、魔王軍が動き出すより先にこちら側から仕掛ければ――」
「そ、それは駄目です!」
すると、女神様の言葉に真帆が噛みついた。
「何故じゃ?」
「それは――明後日から、テストだからです!!」
「な、なんだって――ッ!?」




