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第四話 『聖剣』

 人類の最も偉大な発明といえば?答えは当然、風呂である。お湯に浸かると体の疲れが取れるということを発見した人間は天才に違いない。

 俺とフィーコは、倒れてきた家財道具諸々のせいでホコリまみれになるという事態に巻き込まれてしまってから、ちょこちょこと落ちていた金目の物を盗んでさっさと現場からずらかった。

 騒ぎに乗じて逃げる作戦は成功だった。

 その後、ダスキリアに戻って俺たちがまず向かったのは銭湯だ。体を流したかったし。

 地震騒ぎで営業してるか不安だったが、幸い開いていた。しかも客がいつもより少なかった。

 どうやらダスキリアでは被害が意外に小さかったようだ。この町こそいつ崩壊してもおかしくないような建物ばかりなのに。クレイスが震源に近かっただけで、マグニチュードは言うほどでもなかったのだろうか。気象庁が発表してくれるわけもないので分からないが。


「ふんふん〜……」


 脱衣所で服をキャストオフし、鼻歌を歌いながら浴場のドアを開ける。

 どうしたってテンションが高くなる瞬間だ。そう、俺は銭湯のドアを開けた瞬間の景色が好きだ。

 今日もいつも通りの光景。湯気で霞んだ視界の中に、日本の一般的な銭湯と比べても遜色のない大きさの湯船。

 ムッとした熱気にあてられて一瞬意識が朦朧とする。この感覚がたまらない。分かる人には分かるだろう。本当はサウナも欲しいんだよ。


 最高。ビバ、銭湯。


「……は?」


 と思えていたのも、1秒だけだった。


 客は一人。たった一人のジジイ。

 別に俺はそんなことどうでもいい。貸切じゃなくて少し残念な程度の話……なはずだった。


 ……そのジジイが全裸で仕切りによじ登り、女湯を覗いていなければ、そうなるはずだっただろう。


 汚いケツが目に入る。これも十二分に最低最悪だ。既に俺は今世界不幸な人間ランキングでトップに躍り出た。

 しかし、不幸指数は留まることを知らない。

 壁登り全裸ジジイは振り返る。目が合う。彫りが深く、格好良く歳をとったという印象を受ける顔だ。口元に蓄えられた白髭もそのイメージに一役買っている。毛根に衰えは見られず、白髪をオールバックにした髪型も良い。正直に言って、俺はこういうジジイの顔が嫌いではない。男に格好良く見えるイケメン、というやつかもしれない。

 しかし、俺は不快感しか抱かなかった。理由は、正に俺と合った目にある。

 濁った目だ。いや濁りきった目だ。そこから放たれるのは「待て、落ち着け、話せば分かる」。そういうアイコンタクト。更に口が音を出さずに開く。何を言い出すかと思えば……『お・ぬ・し・も』……?

『の・ぞ・く・か』?


 ……。

 …………。


 ガラッ。


「待てい!通報しに行くでない!」


「はっ、速いなジジイ!!」


 ドアを閉じて番台に向かおうとした次の瞬間にはジジイに肩を掴まれていた。

 速すぎる。火事場の馬鹿力だ。火事場というか、風呂場だが。むしろ犯行現場だが。


「考えてもみろ。貸切じゃったんじゃぞ?お主もワシと同じ状況になったら必ず覗くじゃろ?」


「覗かねぇよ」


 俺は珍しく、本当に珍しく正論を吐いてしまった。


 別に覗きが犯罪だとか、女の子が可哀想だとか、そういう理由で言ったわけでは全くない。

 女のカラダなんぞ男に見られるためだけに存在する玩具なのだから、裸の女がいたら見てしまうことに何の問題もないだろう。

 しかし俺は風呂が好きである。マジで好きだ。

 銭湯で不埒な行為を働く人間は許せない。ここは神聖な場所なのだ。神が創りたもうた地上唯一のユートピアなのだ。

 例えるならば、自分の好きな食べ物で遊んでる奴を見ると腹が立つのと同じように、風呂を愚弄することは断じてNO。

 体を湯に浸すその瞬間、人は自由でなければならない。

 風呂でヤるみたいな話も俺は許せない。それは違うのだ。

 身も心も休まるこの場所で何をするか。俺が許せないので、許さない。


「悪いが通報させてもらう。まぁこんな程度で司法局は来ないかもしれないが、番台にチクれば出禁くらいにはなるだろう。覗きを俺は許さない」


 俺は大マジで言った。

 するとジジイは視線を下に……俺の下半身に移動させ。


「……ま、その程度の男ならそうかの」


 とのたまった。のたまいくさった。


 ……いーい度胸だ、ジジイ。


「番台さーん!覗きですー!」


「待て待て待て!アレじゃろ?お主の連れがおるんじゃろ?だから怒っておるんじゃろ?安心せい、お主が来る前十五分ほどは新しい客が来とらん。つまりお主の女の裸は見とらんというわけじゃ」


「そういう問題じゃねぇよ」


 ていうか十五分新しい客が来てないって、一体お前は何分張り付いてたんだよ。

 スパ◯ダーマンかよ。いや、スパイ◯ーマンに失礼だけど。


「強がるな。自分の女の裸を他人に見せたくない気持ちは分かるわい。ワシもばぁさんの裸は……見たくないの。むしろワシも見たくない。あ、若者にあの汚い体見せてトラウマ植え付けたりしたら面白そうじゃね?ヤバいのよ、ババアの体ってのは。マジで汚いからの。シミとか」


「お前、俺が言うのも何だが本当にどうしようもない人間だな……」


 ヤバい、ダスキリアでも稀に見るレベルのクズと出会ってしまった。

 何というか、コイツはもう『崩せる』気がしない。こういう風に生きてきて、こういう風に死ぬつもりなのが分かってしまう。

 まして初対面の俺相手にこのヘラヘラとした態度が壊れることはないだろう。


 つーか、ジジイ……。


「しかしお主のは……大きくないの」


 ジロジロ人の局部を見てんじゃねぇよ!


「うるせぇよ成長過程なんだよ!あと何?膨張率?それが高い。能ある鷹は爪を隠すって言うだろ?」


「皮に?」


「か・く・れ・て・ねぇよ!」


 俺は左手で皮を剥いた。

 どうして自分が今、ジジイの前で局部の皮を剥いているのか、全く状況が分からない。

 いや、こんな悲惨な状況に陥った人間が有史以来いるのか?

 勿論俺はジジイ専のホモではない。ノーマルである。

 助けてくれ、誰か。


「む……そっちがその気なら」


 そんな俺に対して、ジジイは。


「ほれ」


 何故か腰を突き出して対抗するように局部を見せつけてきた!


「やめてくれぇ!」


 素で俺は叫んでしまった。

 ここまで本気で人に懇願したのは多分生まれて初めてだった。いや、どこぞのオカマとホモに襲われた時以来二度目だった。

 助けてくれ、誰か!!


「しかもおま、お前……おっ立ててんじゃねぇよ!」


「仕方なかろ。今の今まで女子おなごの裸を見ておったんじゃ。別にお主で興奮しているわけではないわ。勘違いしないでよね」


「当たり前だろうが!」


 いや、女湯を覗いている時点で当たり前でも何でもない。

 ていうかクソ、コイツ……デカいんだけど。ジジイのくせに。クソが!

 なんだ?

 もう人間性としてはこの俺をしてこのジジイよりは100対0で圧勝してると思うんだけど、なんだこの劣等感は?

 いや、こういうのはアレだろう。女の子のキャラが寝取られるとか、そういうので初めて抱く感情だろ。

 なんで風呂でジジイのアレを見て一人こんな気持ちにならなきゃならないんだ。


 と思ってる間にも、ジジイはぷらぷらとアレを揺らしながら言う。


「ワシの『聖剣』が気になるか?若い頃はこれで色んな女子を鳴かせてきた。剣聖の異名を取ったこともあるわい」


「謝れ。『聖剣』っていうカッコいい名前に謝れ。お前に聖なる部分はおよそ一つもない」


「ふん、本当じゃからの。三人の女子から同時に『私たちの誰が好きなの!?』と言われたこともあるわい」


「修羅場だな。なんて答えたんだ」


「ワシも男じゃからの。ハッキリと言ってやったわ……『特に誰のことも好きじゃない。全員暇つぶしだ』とな」


「お前、クズもいい加減にしろ!」


 またこの……俺がツッコミに回される感じ。カマホモズに通ずるものがある。最悪に苦手なタイプだ。


「全く煩い奴よ。まぁ良い。ほれ、一緒に湯船に浸かるぞ。裸で喋っておっては体が冷えるわい」


「あぁ、そうだな……って、なんか嫌な表現すんじゃねぇよ」


 なんで俺はジジイから風呂デートの誘いを受けてんだよ……。

 第一、お前は少なくとも15分以上壁に素っ裸で張り付いてたんじゃねぇのかよ。

 もういい。疲れた。これ以上コイツの相手はやめよう。

 湯船だ。浴槽だ。

 今の俺は癒やしを求めています。

 ……が、待て。

 銭湯ではまず体を洗うのがマナー。

 俺はルールは守らないが、マナーは守る男だ。

 いきなり湯に浸かるような愚は犯さない。当然、向かうは桶の元。

 あ、流石にシャワーは存在してないので、桶で湯を汲んできて体を流すのがこの世界のスタンダードだ。


「ほほう、お主、常連じゃな?」


「まぁ、覗き野郎よりは銭湯のことを愛している自負がある」


「舐めるな。ワシとてこの銭湯に何年通ってると思ってるんじゃ。上達したのは覗きの技術だけではないわ」


「世の中を全て舐めてるのはお前だ、ジジイ」


「ふん、ワシが舐めるのは女子おなごの左乳首だけじゃ」


「右は!」


「手で転がす」


「分かってるじゃねぇか、畜生!」


 ……また叫びツッコミを入れてしまった。本当にペースを乱される。


「あー、ケツが痒い」


 ボリボリ。


 もう今度こそやめだやめ。

「裸でそんなことされると気持ち悪いんだよ!」とは言ったりしない。

 ……無心だ。無心になれ。無心になって無視しろ。


「前も痒い」


 スルーしろ。


「お痒いところはございませんか?」


「やめろ俺まで掻くんじゃねぇ!美容師か!」


 出来なかった。だって、手をワキワキさせながら頭を洗う俺の所に寄ってくるんだから。


「だってぇ~、無視されたくないんじゃもん」


「じゃもん、じゃねぇよ。お前、本当に殺すぞ」


 無心になれ、俺。頭をかけ湯で流して雑念を振り払う。

 お湯に浸かろう。湯船だ。浴槽は俺を暖かく包み込んでくれる。


「あぁ~、気持ちいいのお」


「さらっとついてきやがってよ……」


 まぁいい。全てを許そう。風呂は平等なり。

 俺は菩薩の如き寛容な心を手に入れていた。

 暖かい。母親の腕の中のように。いや、俺は母親の腕なんて知らんが、まぁ多分こんな感じなのだろう。

 末端神経がマッサージされていく。ピリピリとした刺激。最初は痛いくらいなのだ。しかし、徐々にそれが柔らかくなっていく。これがたまらない。今の俺はもう、何事にも動じな……。


「うむ。これで壁に富士山が描いてあれば完璧じゃったな」


「確かにな。古き良き銭湯ってやつか。悪くない」


 ま、俺は温泉の露天風呂とかの方が好きだがな。風情もあるし、湯の効能というのは大きい。本当に良い温泉に浸かれば、身体が芯から温まるというちゃちな謳い文句が純然たる事実だということを理解することが出来る。俺が今までで入った最高の温泉は、草津や別府ではなく、湯河原にあるボロボロの素泊まり宿で入った日帰りの………………。


「はぁっ!?」


 今、なんつったこのジジイ!!


「どうした?動揺しとるの。ワシは人が動揺するのを見るのが大好きじゃから、もっとしてくれて構わんがの」


「いや、待て待て待て!富士山だと!?」


「日本一高い山じゃな。二番目は知っとるか?」


「北岳。ちなみに三位は奥穂高岳……」


「おう、やるのぉ。中々教養があるな」


「だろ?……ってそんなことはどうでもいい!!」


 いつもなら得意気に語る雑学もから回る。それどころではない。


「お前、日本人か!?」


「分かりきった質問をされても面白くないの。もう少し捻れんかったのか?」


「……あーゆーじゃぱにーず?」


「お主、今信じられん程につまらぬことを言っていると理解できているか?」


「……はい」


 マジ反省。俺らしくもない。超絶三流ギャグだった。


「大体、敵国の言語など使うでない」


「おいおい……アンタ、いつの人間だよ」


「平成生まれじゃが」


「嘘つくな!」


 それで敵国とか言い出してたら結構アレじゃねぇか。


「や、これマジで。というより、これは『こっち』で年食ったんじゃぜ?」


「……あぁ?」


「ふむ、その反応……やはりの」


 得心した様子で頷くジジイ。一瞬何を言っているのかと思ったが、少し考えてみれば答えに辿り着いた。


「ジジイ、お前は『転生』したのか」


「ほう、頭の回転が速い」


「冷静になりゃ、俺の顔は日本人だが、お前の顔は日本人じゃない」


 向こうがいきなりこんな話を振ってきたのも、俺の顔が原因だろう。単純な話だ。

 逆に俺が気付けなかったのは、ジジイの顔が東洋人に見えないからだ。それでも尚日本のことを知っているというのであれば、それは『生まれ直した』と考えるのが妥当である。

 それに、あの神は言っていた。『既に何人か送り込んでる』とか何とか。俺以外の転生者がいること自体は予想してたのだ。

 カレオだってその一人だったのだろうし。奴も顔は西洋人風だった。


「そういうお主はそのままの身体で来たのか?そっちの方が異端なんじゃがの」


「……他にも転生者を知ってんのか?」


「まぁの。今残ってるのはわずかじゃが」


 わずか、か。何人いるのやら。


「魔王に挑んで敗れたって訳か。で、お前は何で生きてる?」


「死に損ねたんじゃ。そうとしか言いようがない」


「ふぅん……」


 まぁいい。次の質問だ。


「俺が異端ってことは、他の奴らはこの世界で産まれたのか?」


「ワシが知る限りは、全員」


「あの神に送り込まれたって?」


「多分それは違うの。お主の神とワシの神は別人じゃ。各人ごとに別の神がワシらを送り出しとる」


「何?」


「神様一人……いや、神の数え方は一柱じゃったか?まぁとにかく各神につき一人しか異世界転生させらんのではないかの?多分じゃが」


「ふぅん」


 ていうか、なんで俺はこの世界の舞台設定を知るという重要イベントを、裸のジジイから聞いているんだろう。頭がおかしくなりそうだ。絶対違うだろ。もっとこう、いい感じの雰囲気があって然るべきだろう。これだからこの世界げんじつは嫌なんだ。


「もういいかの、質問は終いで。ワシはそろそろ覗きに戻る」


「あぁ…………って、戻るな!仕事か何かみたいに言うな!」


「あ、ちなみに平成生まれってのは嘘じゃ」


「今更そこはどうでもいい!会話の流れが支離滅裂すぎるんだよ!」


 ん?どうでもよくはないか。

 このジジイが平成生まれだとすると、時間軸にすら隔たりがあるということになる。とすると、もし日本に帰れたとして浦島太郎になるとか、そういう問題が発生しかねない。まぁそもそも帰る気はないのだが。


「ま、焦ることはない。知は有毒じゃ。消化できるところで止めておくのが体のためじゃよ」


 そう言ってジジイは湯船から上がり、女湯のある壁……ではなく、素直にドアの方に歩いて行く。


「はぁ?何の話だよ」


「何の話かも分からないところで止めておくべきだ、という話じゃ。お主ならそのうち知ることになると思うがの」


「焦らしてんじゃねぇ。殺すぞ」


 俺は後ろからジジイの首根っこを掴んだ。勿論、瞬間移動のような速度で背後を取ってから、だ。


「ぬぅっ?」


 俺が後ろにいると気付いた時には、既に首を押さえられていたのだろう。ワンテンポ遅れて驚いているのが滑稽だ。


「俺は訳知り顔で周りに見下されるのが嫌いなんだよ。分かるな?」


「そりゃ誰だってそうじゃろ……はぁ、油断したの」


「油断してなければ躱せたみたいな言い方はよせ」


「そう言っとるんじゃよ、若造」


 ……成程。この状況でそれだけ強く出れるのは大した肝の座り方だと言わざるをえない。それなりの実力者であることは認めよう。だが当然、俺には勝てない。


「吠えるのは結構だがな。とりあえず知っていることは洗いざらい吐け」


「そんなに元の世界に帰りたいのか?」


「逆だ」


「ほう?」


「何か余計なことをして、帰されたら困る」


 俺の言葉に、一瞬ジジイはぽかんとして。


「ワハハハハハハハ!!これは愉快!!」


 呵々大笑した。


「何がおかしいんだよ!」


「いやいや、お主は本当に面白い。分かった。ヒントだけはやろう」


「いや、答えをだな……」


「ギルフォード・レイル・フォン・ヴァレルシュタイン。あ奴に聞け。そもそも、ワシは大してこの世界のことを知っているわけではないからの」


「……またその名前か。どこでも出てきやがる。主人公め」


 もう聞き飽きた。俺が主人公になろうという気など全くないが、モブというのはこんな気持ちなんだろうか。

 しかも……『レイル』と来たか。まぁそこはどうでもいいのだが。


「……ほっ!」


「んぁ?」


 ビリっと手首に痺れを感じたと思った。それだけだ。

 人体の反射として、電気を受ければ筋力が緩む。そこを突かれたのだと気付いた時にはもう遅い。

 あまりにも鮮やかな脱出劇。俺は幕が下りてからそれに気づく愚かな観客だった。


「じゃ、そういうことで」


「なっ、クソ!このジジイ……!油断した!」


「油断?仕方ないの。ままあることじゃ。次からは気をつけい」


 やり返された。完璧に。

 腹が立つというより、いや腹も立ったのだが、どちらかと言えば……。

 ……面白い。


「……ジジイ、名前は?」


「どっちの?」


「通りのいい方を」


「ライガン。ファミリネームは……まぁいいじゃろ。最早有って無いようなものじゃ」


「覚えたぞ、クソジジイ」


 ……覚えとらんじゃないか。と最後に小さく呟いて、ジジイは脱衣所のドアを閉める。

 俺は黙って湯船に戻る。ここまでの台詞を吐いてしまった以上、同じ空間でお着替えはしたくなさすぎた。

 どうせまたそのうち会うことになる。焦って追うこともないだろう。


「……疲れた」


 俺はブクブクと湯船に沈む。マナー違反だった。


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