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幕間六 『月が嗤えば夜は泣く』

 認めない。それが彼に出来た唯一の抵抗だった。


「魔王様が敗北するなど……あり得ない。きっと何か手を打ってあるはずだ」


 かつての魔王軍に存在した、魔族の筆頭四人。その称号を四天王と言う。

 彼――ジェクトはまさにその四天王が内の一人。魔王軍随一の膨大な魔力を持つ、龍族と死霊族のハーフ。非常に特殊な出自を持つ彼は、魔王軍の中でも特に智謀に長けており、魔王から最も信頼された部下であった。


「私は信じておりますよ、魔王様」


 が、しかし。誰かを信じることと自らが行動を起こすことは別の問題である。


「……許すまじ」


 決意を世界に顕す為、彼は独りごちる。

 暦の上ではその日は満月のはずであったが、ジェクトが見上げた月は欠けていた。まるで、嗤うかのように。


「必ず殺してやるぞ、勇者よ……」


 どす黒く夜に濁った目から、更に暗い色の涙が溢れる。それは彼が、その魔術を発動させた証。


「まずは引き摺り出してやる。クク、まぁ死んでくれても構わんが……」


 認めない。それが彼に出来た唯一の抵抗だった。

 ――先刻までは。


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