靴
靴を買いに来た。
とはいっても、どんな靴が欲しいかと言われたら悩む。
ただ、歩きやすく、自分にあっている靴が欲しい。
そう言って、探してくれるものなのだろうか。
一抹の不安とともに、近所にあるスーパーの靴売り場に来ていた。
「ふむ……」
悩んでいると、なにやら誰かが近づく気配がする。
「何かお探しですか?」
「ええ、靴を探しています」
店員へ自分はそのまま話す。
「どのような靴ですか」
すぐに食いついてくる。
「歩きやすくて、似合っている靴を探しているんです」
「歩きやすいということでしたら、ウォーキングシューズはどうでしょうか」
「ウォーキングシューズ?」
「ええ、普段使いでもちゃんと使えますよ」
そして、そのコーナーへ案内されると、その種類に圧倒された。
「こちらはいかがでしょうか」
差し出されたものは、青色のラインが入った、白色のメッシュ生地の靴だ。
ひと目で気に入った。
「サイズが合えばいいんですけどね……」
「サイズ、お測りしましょうか」
そう言って、店員は板を持ってきた。
かかとをあてがう場所と、メモリが付いたものだ。
「これに足をおいていただけますか」
そう言われ、今履いている靴を脱いでから、その装置に足をあてがう。
「26.0ですね、だいたいメモリ0.5か1ぐらい大きいのがちょうどいいサイズになるので、26.5か27.0てところですね」
同じ靴の26.5と27.0は、展示台の下に山のように積まれている箱のなかから見つかった。
それぞれでている1つずつでラストらしい。
一度履いてみて、それから俺は.5の方を買った。
「ありがとうございました」
結局、思っていたような値段帯の靴を買うことはなかったが、それでも満足できた。