難しそうで、案外簡単?
『人を好きになるっていうのは、言葉にすると難しいかもしれないけど、実際は案外簡単な事なんだよ♪』
いつだったか、名も知らない男がそう言っていた。
「簡単?」
意味がわからなくて、私はその男に聞いた。
すると男はふわりと微笑んだ。
『そう、簡単…というより、そうだなぁ~…いつのまにかって言った方がいいかな♪』
「…?」
意味がわからず首を傾げた私に、男は『う~ん』と苦笑いを浮かべ考えだした。
『…何て言ったら良いのかな…』
私でもわかる様に説明しようと真剣に考え出した男を見ていたら、何だか笑えて来た。
それから数秒後、男は何を思ったのか不意に空を眺めだした。とても優しい目で。
「…どうしたの?」
『あ、いや、ゴメンゴメン。…ちょっと思い出しちゃってね♪』
「何を?」
『昔の僕♪』
「…昔の?」
『…聞きたい?』
「うん」
何となく気になったので頷いた。男は少し躊躇ったあと話し出した。
『昔、僕にはね仲の良い…いや、仲良かったのかな…?。ま、まぁそれなりに仲の良い子が居てね、大抵その子と一緒に居たんだ』
「ふーん」
『その子と居るのは楽しかったよ♪僕の知らない事や知らない世界を知っていて。…いつしかその子と一緒に居る事が当たり前になっちゃってね♪…ずっとそんな毎日が続くと当たり前のように思ってた』
「……」
『あの日も一緒に居たなぁ。いつもと何も変わらなくて楽しい時間だった。……だけどね、
……その子、次の日、事故に…』
「え…っ!?」
『僕との待ち合わせ場所に来る途中に、トラックに跳ねられてね…』
「…あ、の…」
『驚いた、というか怖かったなぁ。その子を失うんじゃないかって…。それから食事もろくに喉を通らなくなって、その子のことばかり考えていたなぁ…』
「……」
『…その子の黒くて綺麗な長い髪、病弱なほど白い肌、僕をつけはなす様な態度とるくせに、時々優しかったり、その子の声や仕草、頭の中はその子の事でいっぱいだった』
『そんな時、ふと思ったんだ。あぁ、僕はこんなにもあの子の事が好きだったんだって、何で今まで気付かなかったんだろう、ってね♪』
「…あ、の…その人って…死んじゃったん、ですか?」
『ううん、生きてるよ♪』
「え!?」
男はけろっとした顔で言った。何なんだよ、心配して損した。途中から聞いちゃまずかったって思ってたのに!!、という不満を言い出そうとした時、誰かが男を呼んでいた。
「?」
『ん?あぁ、あの子だよさっき話したのは。事故で重症おってね、生死のはざまさ迷ってたんだよ。まぁ今は後遺症もなく元気なんだけどね~。でも僕的にはもうちょっと弱ってて僕を頼ってくれてもいいんだけ、ゴフッ!』
「!!!!」
男のみぞおちに拳がクリティカルヒット!!!
男は腹を抱えその場にうずくまってしまった。驚いてクリティカルヒットをかました相手を見るとさっき男を呼んでいた人だった。背が高くてスラッとしてて長い黒髪がとても綺麗で思わず見とれてしまった。
『ひ、酷いなぁ~。的確に急所狙うなんて…』
腹を抱えたまま苦笑いを浮かべふらふらと男が立ち上がった。確かに今のはかなり痛いだろう。
「生憎弱ってもあんたには頼りたくないよ」
『相変わらず地獄耳だなぁ~』
「…もう一発くらいたいの」
『い、いやぁ~』
何だか漫才みたいな光景に思わず笑ってしまうと、黒髪の人が私に気付いたらしく(ってか今頃?)少し私を見つめた。
「誰?この子?…まさか誘拐?」
『まさか、そんな事するわけないだろぉ』
「ごめんね、こんな変人の相手嫌だったでしょ」
「い、いえ、そんなことないです」
「そう、なら良かった」
黒髪の人はそう言うと表情を変えて男を睨んだ。
「誘拐犯じゃなかったのはいいとして、待ち合わせの時間に遅れるとは…。それに今回さそったのはアンタだろ」
「そ、その件は謝るよ。だ、だからそんな殺気全開で睨まないでよ~」
「やっぱりもう一発…」
「いやいや、あ、それより時間時間!!!もう始まっちゃうし行こう行こう♪」
「あ、ホントだ」
何とか殴られずにすんだ男は会話についていけずどうしたらいいかわからない私にふと耳打ちした
。
『とりあえず僕なりの結論だけど、好きだって気付くのは突然でふと気付くものなんだよ。だから気付いたらあまり難しく考えないでちゃんと思いを伝えた方がいいよ♪』
「は、はぁ…」
『まぁ、今はまだわからないかもしれないけど君もいつか恋をしたらわかるよ♪』
と、おまけのウインク♪
をすると男は黒髪の人と何処かへ行ってしまった。
何か風のように去って行ったなぁー。
いつか、私も誰かを好きになって恋をしたら、あの男の言葉の意味がわかるのかな?
そう遠くない未来を夢みてちょっとワクワクし゛ら私は帰路についた。
好きなCPの小説読んで書いたんですが、途中から自分でもよくわかんなくなってしまいやしたw
ツッコミ所多いけど何も言わないでくだせぇw