魔法使いと魔法レンタル店
まあそんなこんなで5年経ち、その間に私は住む場所の他に一軒家を買った。それは王都の商業地区にあるこじんまりとした赤い屋根の可愛らしい家。それを店に改装して今私はここで開業している。
「邪魔をする」
「いらっしゃい。あ、アスカムさんおはようございます」
ドアに付けた呼び鈴を鳴らして入ってきたのはユーファリア王国騎士のクロード・アスカムさんだった。明るい茶色の髪に、それよりも少し濃い瞳を持つとてもかっこいい人だ。少し眼つきが鋭い人なので、今のように私が椅子に座ったりしていると、元々ある身長差がもっと開いて慣れない人からすれば私が怒られているように見えていると思う。
「・・・昨日はちゃんと家に帰ったのか」
「あ、はい。・・・3日ぶりに」
「女性が仕事場に寝泊まりするのは感心しない。ましてや君はこの国有数の魔法使いだ。休息は取れるうちに取る方が仕事の効率も上がるだろう」
「あー・・・。仰る通りです」
言葉はきついが、私の事を心配してくれているのがわかるのでこの人には初めて会った時から頭が上がらないのだ。
「べ、別に怒っているつもりはない!ただ、君に何かあったら」
「そうですよね。異世界人は私しかいないんだし」
「そういう意味ではないのだが……。まぁいい、これを。仕事の依頼だ」
何やら微妙な表情なアスカムさんは仕切り直しとばかりに咳払いをして、カウンター越しにいる私に見えるようにメモ用紙を置いた。
「星を詠む魔法から海を越える魔法まで…料金次第でどんな魔法でもお貸しいたします。…本日はどのような魔法をご所望ですか?」
私、マドカ・カツラが経営する店。
それは、ユーファリア王国唯一の魔法レンタル店である。




