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魔法使いと過去
「他に好きな人が出来たんだ…」
「ふーん、そう。別れようか」
高校入学と共に始まったお付き合いは、高校卒業と同時に呆気なく終了した。3年間。それなりに好きだったし、楽しい事もたくさんあった。他に好きな人が出来たのは仕方ない、上手くいくといいと思う。
「え…ちょっと待ってまどか。それだけ!?ふーん、そう。って!え!?」
「だって、好きな人が出来たんでしょう?残念だけど仕方ないよね。楽しかった。好きな子と上手くいくといいね」
ニコリと、表情を変えるのが億劫な私に出来る精一杯の笑顔を作る。別れ際が無表情だと優しい彼が罪悪感を持ってしまうかもしれない。せっかくなら円満に終わる方が彼もいいだろうし。
「じゃあね。元気で」
振り返らずに彼のもとを去った私は、顔を真っ青にしながら膝から崩れ落ちる彼を見ることはなかった。そして、実は彼が私の気持ちを試すために嘘をついたことを知ることも、永遠に無かった。
私の名前は桂まどか(かつら まどか)。18歳の春から短大生。
これは、私がこの世界からいなくなる2日前の出来事。




