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逢魔ヶ時の赤マント〜穢れし花の貴公子の物語〜  作者: 語り部ファウスト


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第五幕

やあ、君。

逢魔ヶ時の太陽がきた。

血のように大地を染め上げる日光。

白き潔白の着物は、

やがて異界の色へと変貌する。

そうして怪異のごとき存在へ堕ちる。

繰り返し。

繰り返し。

赤い光に照らされて

ーー僕は”赤マント”だ。

本名なんて意味はないーー。


第四幕では、

田舎から来た女を吉原へと案内した。

お金も身寄りもないのなら、そこへ連れていくのは慈悲のようなものだ。


だが吉原の女将の目は、失望の色があった。

「若旦那。そんな女を連れてきても困りますよ。」

「お座敷にすぐあげる事はできませんからね。こちらにも仕込みというものがありますから」

「ーーそんなもんかい」と僕は顔をしかめた。

「おい、お前。いくつなんだ?」と僕は女に聞いた。

「17だ」

「田舎にいたら、お前は力仕事でもやれたろ。なんで来たんだーー」と女将は女に向かって言った。

「オラァ、キレイな着物さ着たかった。都会に行きゃぁ、オラァ、ゼニさたくさん得られると聞いた」

「夢の見過ぎだよ。人が集まれば、それだけーーまあいいさ。

若旦那。いちおうは、引き取らせていただきます。」と女将は僕に頭を下げた。

「まあ、良くしてあげてくれ。」と僕は言った。


僕と女将の会話は終わった。

女は僕を見つめていた。

「旦那さまーーいや、若旦那。

・・・・・・オラ、頑張る。

綺麗な着物、いつか着てみせる。

財布さ、すられた時はどうなるかと思ったけど、若旦那のおかげで助かった。また会いに来てけろな。」

女はお辞儀をしてみせた。

薄汚れた顔の下から、輝くような笑顔は、目新しさを感じた。


僕は正直に言うと、

この女のことはなんとも思わなかった。

その代わり、あの心中しちまった女のことを思い出していたからだ。

女の名前は、(おぼろ)と言った。

彼女が話した過去。

田舎から出て、

吉原で世話になり、

雑用として過ごして座敷に上がった。

この女の過去と重なるのかもしれない。

僕の暗い想いは、こう囁いていた。


ねえ、君。

今度こそ僕を置いていかないでくれ。

僕が君の形を、

再び作り出せば、

こんな間違えた想いから、

おさらば

おさらば

できるのだからーー。


女は、僕を見つめていた。

女というものは、

なぜこんなにも摩訶不思議なのだろう。

肌を合わせることで、

生きる狂おしい寂しさを、

一時的に忘れさせてくれる。

それにしても寂しさを紛らわせたい者の多いこと。

何を目指せば、

この寂しさから逃れられるのか。


女から目を逸らした。


こうして、物語は一旦幕を閉じる。


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