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五議題目 好意は誰に貰っても嬉しいものか?

 今日は土曜日。土曜日に登校するというのは大してイカれてるように思えないのは、きっと中学時代に土曜授業という概念があったからに過ぎず、部活にただ登校するだけ、というのもさして悪いことのように思えないのはもはや常識がねじ曲がってる可能性があるだけだった。

「やぁ、ミオくん。いい日だね」

「休日だということを除けばとてもいい日ですが」

 嫌味ったらしくそう言えば、薫さんは目を細めた。

「やだねぇ、キミは。そんなこと言ったって来てるという事実にはなにも変わらないんだよ?」

「……最悪です、はっきり言って」

「はいはい。では、そんなキミに魔法の言葉を授けよう」

 もったいぶって人差し指を立てられる。一体何を言われるのかと、少しだけドキドキしながら待てば、薫さんは意味ありげに口を開いた。

「……『好きだよ』ミオくん」

「……は? …………は? ………………はぁ!?」

 三段階活用された『は?』という言葉が出てくる。先から順に何を言われたか理解できないの『は?』、好きだと半ば告白のような言葉を掛けられたことに関する『は?』、最後が、それの何が魔法なのか、という呆れの感情を含んだ『は?』だ。

「ふふふ。やはり成功だね」

「…………何が」

 睨むようにそう問いかければ薫さんは微笑んで言った。

「人は好意を伝えると困惑するんじゃないか、という仮説を立てていたんだよ。恋愛マンガじゃ好意を伝えられれば赤面したり、意識したりということが一般的になっている。でもね、それじゃあつまらないだろ?」

「……人を、実験体にしたと……?」

 恨みを込めてそう呟けば、薫さんはカラカラと笑った。どうも反省の色は見えやしない。

「実験体とは人聞きが悪いよ、ミオくん。ワタシはあくまで仮説を立証できるかを試しただけだ」

「それを実験体と言うんでしょうが……」

 これじゃあ議論にもなりやしない。一方的に搾取されたと言っても過言じゃないような気がしてくる。

「キミは? 人から好意を伝えられたら人はどんな反応をすると思う?」

「……人に、よります」

 かと言って、いざ僕の意見を問われてもそんな陳腐な答えしか返せなかった。

「……それは、どっちの?」

「…………好意を伝えた人の事をどう思ってるか……みたいな」

 しどろもどろになって答えてしまうのは、きっと恋愛の話をしてるから。好きな人と話してるわけでもないのに、なんだか緊張してきた。

「なるほどね。好きな人に言われたら嬉しい、そうじゃなかったらどうでもいいorドン引きといったところか。…………おや、可愛い乙女のように顔がなっているよ?」

 どうやら緊張だけでなく赤面までしてしまったらしく、唇を噛みながら『なんでもないです』とうわ言のように呟いた。

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