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「そうか、君の家族も被害にあっていたのか。」

「桃太郎さん、桃太郎さん。お腰に付けたきびだんごをくれたら、お共いたしましょう。」



昔話で語られる部分。本当はもっと細かい話があって、鬼ヶ島までは相当の距離があったはず。



「本当かい?雉さんは以前はどのような経験を?そして、お供になる動機は?」



「長男ですので外敵から家族を守る役目をしていましたので、戦闘経験があります。動機としましては、私たちの村も鬼達には悩まされていまして、どうしても自分達だけでは勝ち目が無かったのですが、人間である桃太郎さんのような偉丈夫となら、お互いの能力を生かして鬼達を懲らしめることが出来るのではないかと思ったのです。」



「そうか、君たちの家族も鬼達には迷惑をこうむっていたんだね。で、一緒に行くにあたって、このきびだんごで一緒に行ってくれるのかい?」



「私の身体は小さく、そのきびだんご一つあれば鬼ヶ島へ到着し、戦うだけの栄養はまかなえます。その後は鬼達の持つ宝を人々へ返還する代わりに、その中から手間賃を分けてもらえるのなら危険を顧みない価値はあると考えました。」



「それは頼もしい。僕もおじいさんとおばあさんに育てられた恩をお返しするために出来ることは鬼退治しかないと思ったんだよ。恥ずかしながら、僕が人より優れた部分は腕力しかなく、それを活かすためにも戦略を練ったり補佐をしてくれる人材というのが欲しかったんだよ。僕が何とか鬼達を退治して、皆の平和を取り戻すことを誓うから、一緒に戦ってほしい。」



「やりましょう!雉なりの戦い方をお見せしましょう。」



何てやり取りがあったに違いないと思うのです。



きびだんごのやり取りは、言ってみれば給料のことだけ。お金だけの契約です。そうなると、仕事というのはどうしても必要最小限の事しかやらない組織になってしまうでしょう。



表面的で、綺麗事のように思えるかもしれませんが、そこには何故その仕事を選んだのかという動機をお互いに共有することと、事業の骨子、方向性をリーダーがしっかりと宣言して、フォロワーがリーダーの目指す方向性を理解することが大切なのだと思います。それがお金の契約と同じくらい大切な、心の契約なのだと思います。



そして、犬、猿という性質も性格も違う仲間を増やしていくために、リーダーである桃太郎は雉と同様、他の仲間ともマンツーマンでお金と心の契約をするために、それぞれのバックグラウンドや思いと言うものを共有し、その後、チーム全員が、それぞれの気持ちを共有したほうが良いと思います。



昨今、プライベートと仕事は別で、お互いの事には踏み込まないことが言われていますが、その人の性質や能力はお互いに理解しなければなりませんし、そこが理解するくらいのコミュニケーションをとったのならば、友人や家族以上に信頼や友情と言うものが生まれるでしょう。だって、もしかしたら家族や友人以上に一緒に過ごす時間が長い人が、仕事だけの関係で済むはずないですし、その程度の関係性で終わるならば、仕事内容もその程度の仕事でしかないと言えるでしょう。



毎日顔を会わせる営業担当者、配送担当者、訪れるお客さん、近隣の他業種の人など、同じ会社の人以外にも沢山関係する人は居て、沢山顔を合わせたり、交渉や対応するというコミュニケーションの中で、その人となりを知ったり、自分の人間性を出したりというのは、仕事の役割の話の中からでも染み出ますし、その中から自分にとって素晴らしい出会いのきっかけになることも珍しくありません。もしかしたら、退治した後の鬼達と心が通うことだってあるはずです。



自分の役職だからやるといった、無機質な肩書だけで人はついてこないし、心強い仲間とも思えないのではないでしょうか?



「おじいさんもおばあさんも、良く食べる僕のために老体に鞭を打って養ってくれたんだよ。だから、僕が頑張って鬼を退治して名を上げたいんだ。一緒に頑張ってくれるか?」



「私も同じ思いです。ついていきましょう!」



きびだんごの魅力だけではなく、そんな同じ気持ちの盛り上がりがあったに違いないと感じます。

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