1.紅色
今日もいつもどうり、薬を飲んで眠くなるまでみんな寝ているなか、意味のない水を垂らしながら寝落ちするまでスマホで気を紛らわせる。
今日はいつもより早く眠くなってきた。
「いい夢が見れますように。」
まぶたを閉じる。
40分程眠れてたような気がしたのに。
どうやら私の体内時計はかなり歪んでいるようだカーテンから強い光が差し込む。
外を見ると、小学生が列をつくって下校している。今日は午前2時頃に眠気が来てくれたのに、またお昼過ぎまで寝過ごしてしまったようだ。
重い体を起こして緩々とした動きで自室から出て、転ばないように階段を下りていつものようにリビングにつながる扉を開く。
いつもと違う紅色に染まって汚れたカーペット。その上に同じく胸のあたりが紅色に染まっている母が横になって、とても静かに眠ている。テレビ台の前には、見覚えのない父よりも少し小柄な男がすでに人間の形を保てていないが人だったと思われる物体に、狂気じみた雰囲気で刃物を何度も刺している。
状況から察するに刺されているのは、私の父だろう。刺してるいるのは17ぐらいの男や青年というべきだろうか?どちらにせよ性別は男であるのは間違いなさそうだ…。父の教え子だったのだろうか?それともただの無差別殺人犯だろうか?…
熟思黙想しているうちに4分が過ぎていた。相変わらず青年は父を刺すのに夢中で私に気づく気配はない。
あっ!そうだこういうときは110番しないといけないんだった。
やっと常識を思い出し、心のなかで呟く。
扉を開けたままにして青年を正気に戻さないようにゆっくりと自室まで行き、110をスマホのキーパッドに打ち込み電話をかけた。2秒ほどで若い女声が出た。
「はい、こちら石川県警察署です。事故ですか事件ですか。」
「事件です。」
「どうされましたか。」
「現在自宅で人が殺されています。あっ間違えた。殺されてました。今犯人らしき青年は、まだ死体をミンチにしています。」
「えっ…あなたの名前を教えてくれますか。」
「風宮蛍です」
「事件現場はあなたの自宅ですか。」
「はい」
「では住所を教えてください。」
「■■■■■■■■■■■■■■■です」
「わかりました。今警察と救急車を向かわせます。」
「はい。お願いします。」
これでよしっと。
ゲームでもしよっかな〜
お腹すいたなー
あれこれ考えてるうちにいつの間にか青年が鋭利な刃物を持って蛍の部屋の扉を開けた。
「あっ」
部屋に殺人犯が入って来たとは思えない様子で青年を見て再びスマホの画面を見る。青年の動きは先程までと違い小心翼々な動きで錯乱しているような顔で蛍に近づいた。
「どちら様ですか?」
蛍は青年が1mほどの距離に来たとき再び声を出した。
「お前の父のせいで俺の人生が狂った」
青年は蛍の問に答えず、ただ感情のままに喋った。
「私もです。」
青年は沈着冷静に反応する蛍を無言で見つめる。 青年はナイフを握り直し、なにかに駆り立てられるかのような表情で少女の首を刺した。
to be contined