異世界召喚されて億万長者になるまで
異世界召喚された私が億万長者になるまで。
私は異世界転生をした。
しかし、よくある夢見た世界ではなく、奴隷用によばれた。
しかも、何がどうなったのか、性転換して男になっていた。
ついでに何がどうなったのか、年齢も若返っていた。
共に召喚されたのは何人もいて、その中には既に事切れていた人もいたから、召喚に関する負荷を分散するために体が生命維持した可能性はある。
その上、言葉がわからなかった。
今ならわかるが、当時は召喚された人を見て、混乱しているうちに抑えろ、とか言っていたようだ。
対話による解決を求めた人もいたが、言葉がどの国とも似ていなかったようで、諦めていた。
捕縛に関しては抵抗した人もいたが、あっさりと殺されたため、すぐに鳴りを潜めた。
相手の世界は、言葉もわからない人間を従わせる技術は高く、こういったことが一度や二度ではないことを物語っていた。
そうして奴隷になり楽な死に方をしなかった私(といってもこの世界では男だが)は、ろくな死に方をせず人生を終えた。
そして転生…というか死に戻り?をした。
よりによって、召喚された日の召喚された後に。
召喚される前なら回避の方法もあった。
これでは召喚を回避できない。
また同じ死ぬ運命か、と思ったが、一つだけ改善されていたことがあった。
言葉がわかる。
前回、奴隷といえど命令が通じなければ意味がないと言わんばかりに、指示語だけ覚えさせられた。
それ以外は会話から学んだが、なんとなく聞き取れる。
2度目の隷属契約を結ばれそうになった。
少しなら言葉を話せる。
交渉しようと辿々しく話しかけた。
そして、舌を切られ、喉を潰された。
舌を切ると死ぬと思っていたが、必ずしもそうではないらしい。処置の仕方なのかもしれない。
得たくない体験をした。
後から気付いたのだが、相手からしたら瞬時に言葉を理解して、周りに隷属しようとしているのを伝えられては邪魔になると判断されたのだろう。
しくじった。
この状態では元の世界に戻れたとしても今までの生活とはいかない。
呼吸が辛い。
死にたいと思うことは、ほぼ毎日。
前回より地獄だった。
そうして死んだ後、また回帰した。
前回と同じく召喚後すぐだ。
くそが。
今度は無言を貫き、隙を見て逃げ出そうとして、すぐに殺された。
そして、戻る。
死んで生き返って前回の反省から行動を変える。
俺は死んで終わらないことを理解し始めて、ようやく、死ぬことへの恐怖が麻痺してきた。
それまでは、どうしても一歩、あと少しのためらいがあった。
何万回も繰り返したところで、ようやく召喚したやつらから逃げられた。
初めて人を殺した。
色々麻痺し始めていた。
それでも再度繰り返すことを考えると逃げることを諦めきれなかった。
逃げれた後どうするか決めてなかったため、彷徨った。
そして、道中、人に騙されて売られた。
別の道で奴隷になった。
くそが。
また同じだ。
すぐしななきゃ…すぐしななきゃ。
でなければ、隷属契約の制限で自殺どころか、少しの傷もすぐ治るため、簡単には死ななくなる。
よくみるファンタジーでは奴隷になれば使い古されて、痩せ細り短い命で死ぬ、というイメージがあるだろうが、この世界はとんでもない。
奴隷、隷属に関しての技術力が高く、特殊な技術によって、どんなに傷つけてもすぐ回復するし、病気もすぐ治る。死ぬような目に遭っても、体の一部が3割繋がってれば治る。
どんな原理だ。
クソ仕様だ。
しかし、これは誰にでも作用するものではないらしい。
なんとなく理解し始めていた原理としては、従わせられてるという枷が、回復に反映されているようだ。
現にお金がありそうなやつらにそのような魔法がかけられている様子はなかった。
たまたまだが、何万回も繰り返すと、主人となるやつらの死に目にもあったが、大怪我、病気で、全回復する技術はないと言っていた。
代償が高ければ、本人の意思がいやと思えば思うほど、プラス効果があるのだろう。
つまり隷属契約後は、ほぼ寿命で死ぬまで待つこととなる。
本当にクソな技術しか生み出してねぇ世界だな。
そんな中でまた何千、何万もの失敗を繰り返した。
そして、とうとうやり遂げた。
召喚された瞬間に戻ってすぐ、元の世界に戻る技術を発動した。
魔法、と言わなかったのはあえてだ。
その方法も内緒だ。
無事に戻った俺は、また召喚されないことを確認し、もう一つ重要なことを確認した。
こちらからあの世界へ行けるかどうか、だ。
力を行使できることを確認したのち、街へ繰り出した。
そして探した。
「召喚されそうな人」を。
とある偶然にて見つけたこの力を使い、この世界で召喚されそうな人に、とある文が目に入るように細工する。
「もし異世界に召喚されたら元の世界に戻るようとりはかってあげます。」
もちろん詐欺としか思われない。
しかし、一度召喚されたら?
私のように繰り返したら?
あの絶望を忘れない。
そして、その文にはもう少し続きがある。
「元の世界に戻るためには、元の世界の財産の6割を代金として支払うこと。」
無論、ただのわけない。
6割が60円のものもいるが、億のものもいる。
そして助かりたいと早々に根を上げるのは後者が多かった。
豊かな暮らししていられたのに、食うのも何も自由にならないなんて、雲泥の差だからな。
そして、そういう人は身なりや所作でわかる。
もちろん裏切られないよう、助けり前に支払いが終わるまでの隷属契約を結ばせた。
全く持ってとんでもない力だが、便利な技術だ。
この技術はだれにも明かすつもりはない。
年にかなりの数の奴隷を求めるかの世界のおかげで、ほぼ毎日生活に困らない金が入る。
こうして私は億万長者になった。
ありがとうございます。