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第一章 第四話 sudden disaster

フェルドラに急かされたスペトスは、落ち込みながらも見つけた書架まで案内した。


「ここだよここ、なんか異様な雰囲気醸してるから気になって開けたんよ」


「…?こんなとこあったっけ…?」


怪しげな顔をするフェルドラを前に、スペトスはどうしたのかと首を傾げていた。


フェルドラによると、この古書は本来、表の世界にあるはずのものではないらしい。


というのも、裏世界における物理法則や言い伝えなどが記されていて、

よほど高度な上位概念でも連れてこない限りは手に入らないらしい。


「ていうか、そもそも上位概念って言語持ってたっけ?」


「そうなんだよね。ふつうにこの古書を読めるほどの知能を持った

 上位概念なんて聞いたことないし、もし居たとしてもそいつを

 呼び出すような事態なんて少なくともここ100年は起きてないしなあ…」


「そんな奴来たら誰もが気づくよねえ〜」


そのとき、警報が鳴り響いた。

同時に、幹部全員が身につけている腕時計も反応した。

ここに侵入する強者でも現れない限り、こんな事は起きないので、

一気に緊張感が走った。


「緊急速報、緊急速報。これはSランク要件です。

 ただいま独立統治機関本部上空500メートルで時空の歪み、

 並びに超高エネルギー反応を確認。

 幹部クラス以上の者の出動を要請します。」


(…!!??どういうことだ?)


二人が困惑していると、さっきまでの古書からいきなり赤紫色の炎が舞い上がり、

その炎は壁を擦り抜けていった。


「この本と関係が?…結構まずいことになったっぽいな。」


原因を探ろうとするフェルドラだったが、とりあえずは状況を見に、

二人は屋上へと向かうことにした。


ー独立統治機関本部 屋上ー


屋上に着くと、とんでもない光景が広がっていた。

空に巨大な漆黒の裂け目が現れたのだ。


「な、何だこりゃあ!ってか、誰かいるぞ!」


上空にただ一人、とてつもない気を放って佇むものがいた。

そいつはこの上ないほど高揚した様子で、顔には数字のようなものが刻まれていた。


「あはははは!素晴らしい!なんと美しいことか!

 一瞬でもこの世に来れたことに感謝するとしよう。さて…」


「ひいっ、なんかこっち見てきたよお」


「…なんだ、やつではないのか。…全く興ざめだな。

 おい、そこの小僧ども、鷹司(タカツカサ)

 …いや、今はガルドニフと言ったか…

 奴に楽しみにしているぞと伝えておけ。

 まあ、これで帰るのもつまらんな。

 小僧、この俺と勝負しようではないか。

 貴様が勝ったら、この俺の力を分け与えてやろう。」


終わった。そう思った。二人は絶望し、完全に青ざめていた。

それほどまでに力の差がやる前からひしひしと伝わってくるのだ。


「お、おい。あ、あんなの聞いてないぞ。何だよあいつは。」


「しらないよお。僕だってあんなの見たことも聞いたこともない。

 伝説にあった正体不明の覆面とか?いや外見が全然…」


「来ないならこちらから行くとしよう。」


そういったのもつかの間、彼の姿は消え、フェルドラは屋上から弾き飛ばされた。


「フェルドラ!だいじょ…」


心配する間もなく、スペトスも場外ホームランを食らった。

流石に悔しいと思った二人だったが、反撃しようにも

彼の動きが速すぎて目で追うことができなかった。


「どうした、幹部はこんなものか?

 俺が前に来たときより更に弱くなっているではないか」


「まあ良い。それでは五番勝負と行こう。…『花鳥風月』」


彼がひし形のような板を取り出すと、周りは一面、

日本庭園のような景色が広がった。


吹き飛ばされた二人も、気づいたら彼の前に倒れていた。


「この空間では、風流な遊戯で決着がつく。

 審判はここの主がやってくれよう。

 ああ、外は裏世界だから、決して逃げ出そうとは考えぬことだな。

 逃げたら二度と帰れなくなるぞ。まあそれもまた一興というもの…」


「おいおいまじかよ。俺こういうの一切やったことないんだけど…」


「じゃあ僕が出ることにしよう。少しは分かるんでね。」


「ほう、いいだろう。では、最初は俳句と行こう。」


こうして、奴との五番勝負が始まった。

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