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六等星の憂うつ  作者: そで


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第5話 面会人

「先生!」


面会人がいるというので刑事たちに連れられて一室へとおもむいた和十を待っていたのは、家並舎六の着物姿であった。舎六は片手をあげてのほほんと


「やあ、和十くん。元気だったかい?」


「元気じゃないですよ!疲れましたよもう」


「そかそか、うんうん」


ニコニコしながら頷く。


「こんな機会はめったにないからね~、楽しむと良いよ~。かつ丼頼んだ?」


「…先生、話聞いてました?」


和十は今日なん度目かのため息をついた…。


「さて、と。和十くん、詳しいことを聞かせてもらえるかい?」


「いやちょっと、あんた困るよ」


「あ、刑事さん。どうも」


「どうもじゃないよ、困りますよ勝手に」


「まあまあ。…和十くん、佐賀野さんのお宅に入った時のこと思い出せる?」


「入った時のことですか? うーん、例えばどんなことですか?」


「玄関の鍵は開いていたの?」


「あ、はい、開いていました」


和十は舎六の質問に記憶をたどりながら答えた。


「玄関は散らかっていた?」


「いえ、綺麗なものでしたね。普通に観葉植物が置いてあったり靴が出てたり…」


「靴が?」


「もう良いだろう、そろそろ帰ってくださいよ」


たまりかねて西宮刑事が割って入る。


「刑事さん」


「西宮だよ」


「西宮さん、どうやら犯人は他にいるようですね」


「この子をかばいたいのはわかるけどね…」


「佐賀野さんの玄関に靴があるのはおかしいんですよ」


「え?」


これには和十が声をあげた。


「どうしてですか?」


舎六は和十の方を向いて


「佐賀野さんはかなりのキレイ好きというか、神経質なところがあってね。靴は必ず靴箱にしまっておくんだよ」


「それじゃああの靴は…」


「出しっぱなしだったということは、来客があったということだろうね」


「まてまてまて、それはない。この子以外に誰もあの家にはおらんかったよ。踏み込んでから全部の部屋は立ち入り禁止だし、クローゼットまで全て調べたよ。それに」


西宮刑事は続けて


「玄関に靴なぞなかったぞ。あんたの思い違いじゃないのかね?」


「ええ!?」


「その靴は男物だったかね?それとも女物?」


西宮に聞かれて和十は記憶をたどってみたが、


「靴があったことはなんとなく憶えてるんですけど…どっちかまでは見てなかったです」


西宮はそら見ろと言わんばかりな顔をして


「他に犯人がいるようなことを思わせて逃げ切ろうってのかい? ダメだよダメ」


「違いますよ!」


「和十くんの言ってることは本当だと思いますよ」


それまで黙っていた舎六が声を挟んだ。


「東側の窓がひとつだけ鍵が開いてましたから。犯人はそこから靴なしで出て、和十くんがリビングに行っている間に玄関に回って靴を履いて出ていったんでしょうね」


「先生!」


和十は目を輝かせた。


「東側の窓? あんたなんでそんなこと知ってんの?」


西宮は刑事らしい猜疑の眼差しになって舎六に問いかけた。


「佐賀野さんの家に行ってきたからですよ」


舎六は平然と答えたのだった。



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