第3話 殺人よ、こんにちは
「さて、と」
舎六の声が続ける。
「生きてる?」
「はい、なんとか!」
「えーと、君ではなく、佐賀野さんなんだけど」
「え…」
今まで和十は佐賀野が具合が悪いか怪我をして倒れているものだとばかり思っていたが、既に亡くなっている可能性もあるわけだ…。
「確かめてもらえるかな?」
「ど、どうやって?」
「そうだねぇ…声をかけてみてください」
「は、はい。佐賀野さん~?」
うつ伏せに倒れている佐賀野の肩を軽く叩きながら声をかける。
「佐賀…わ!?」
「どうしました?」
スマホの向こうからのんびりとした声が聞こえた。
「めめめめめめめめ」
「めめめめめめめめ?」
「目が開いてます!」
「あらら」
佐賀野は目をカッと開いたまま横たわっていたのだ。これは…
「先生、これは…生きてない…ですね」
「あー…それはあれかもしれないねぇ。とりあえず何も触らないで…」
「あれ?これトロフィーだ」
和十が床に落ちていたトロフィーを手にしたその時、玄関から数人どやどやとが入ってくる音がした。彼らはリビングの扉をを開け放つと
「おやおや。ご丁寧に凶器まで持ったままで。あんたを殺人容疑で現行犯逮捕する」
と言ったのだった。