第14話 色んな人
なかなか派手な感じの女性だった。化粧も香水も少ししっかり目にしていて、服装も華やかだ。
「ところで…」
恵は舎六に流し目をくれながら
「あなたなかなか素敵じゃない?」
「はい?」
「和服に長めの髪の人って好みなのよね」
(佐賀野さんはツルッツルのスキンヘッドにロックテイストでしたけどね!)
「ねえ…今夜空いてる?」
(展開早!)
「はあ、といいますと?」
「もう、とぼけないで。アタシと…今夜どう?」
その瞬間、ガタッと音がして和十が立ち上がり
「先生、締め切り過ぎてますよ! 原稿早く書きましょう!」
舎六の和服のたもとを掴んで部屋から出てしまった。取り残された恵はポカンとして
「何よあれ…」
「やあ、和十くん、助かったよ」
「なんなんですかあの人は!恋人が一昨日亡くなったばかりじゃないですか!」
「あはは、色んな人がいるねぇ」
「色々過ぎます!あれじゃ何も聞き出せませんよ。次いきましょう次!」
「そうだね~」
和十と舎六は近藤恵の部屋を後にして、次の長田邸へと向かった。
「長田さんのアリバイを確認しに行くんですか?」
和十の質問に舎六は頷いて
「うん、それもあるね。他に確認したいこともあるし」




