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腐ったお姉ちゃん、【ヤンデレBLゲームの世界】で本気を出すことにした!  作者: 月白ヤトヒコ


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は? え? なんかいきなり話が壮大になってね?


「ふむ……これ、もしかしてビンゴだったりするのかしら?」

「あん? 当たり(ビンゴ)って、なにが?」

『隣国の国王ルートに入ると、この国が属国になるって話がチラッと出るのよ』


 ぼそりと日本語で返す。


『は?』

『それで、ふと思ったの。アストレイヤ様やライカを遠回りに害そうとしている輩って、実は裏でこっそり隣国と繋がってたりするんじゃないかしら? って』

『は? え? なんかいきなり話が壮大になってね?』

『えっとね、約十年後。シエロたん十八歳でゲームスタート。そのときに隣国国王ルートでゲームエンディングを迎えると、数年後にはこの国、属国になっているらしいの。でも、たったの数年程で属国にできると思う?』

『は? え? 属国? マジで? え? 戦、争……とか?』


 サッと蒼の顔が青ざめる。


『ん~と、その辺りの描写は数行だけだったから不明。でも、単純に考えて、よ? 戦争を仕掛けて開戦するのは、ハッキリ言って悪手でしょ』

『お、おう』

『領土拡大を狙うなら、その地を無傷で手に入れる方が絶対的に好ましい。戦火で被害を受けた土地を貰ったところで、なんのうま味も無いし、なんだったら治める前に復興が必要だし。その為に年単位で手間と時間とお金を取られちゃう。最悪、その間に他の国に攻め入られてしまうことだってあり得るもの』


 昔のスペインなんかがそうだ。他のヨーロッパの国々とイタリアの領土権を巡って争い、それに勝利してイタリアの領土を手に入れたはいいものの、戦争で被害を受けたイタリア南部の復興に手間とお金を掛け過ぎて自国が衰退して行った。そのあと、スペイン自体も戦争で負けたりして色々と負債を背負っちゃったのよねー。


 しかも、敗戦国がどうにか復興したところで、一度悪くなった治安が回復するとも限らない。イタリア南部はマフィアの特産地として有名だもの。反社会勢力の根城になることも珍しくないし。治めるにしたって、デメリットの方が多くなる。


『ああ』

『狙っている国が勝手にごたごたしてくれた方が国力が低下して楽に介入できるじゃない。侵略や敵対行動ではなく、助けてやると言って恩を着せるという方向で属国にする、だとかね? というワケで、おそらくは数十年単位で仕込み……というか、隣国がこっちの国に軽いちょっかいを出し続けていると思うのよねー?』

『マジかっ!?』

『ま、あたしの推察だけどね? ほら、今まではその掛けられるちょっかいも、大した効果が無かった……というか、被害が甚大になる前に国政の中心人物の誰かが気付いて処理していたから大事にはならなかったんでしょうね。でも、国王がクソ親父になってからは? アストレイヤ様がどうにか頑張っていたとして。国の顔である国王はクソ親父だもの。そりゃ、舐められもするでしょ。ちょろいと思われても仕方ないって言うか?』


 普通に国力は低下しているだろう。


『・・・あくまでもねーちゃんの推察、なんだよな?』

『まあね。でも、この町に来ているどこぞのお偉いさんが、隣国関係者であることが濃厚になったわ。潜んでいる人達に、隣国の言葉訛りがあるそうだし?』

『ぅっわ……マジか……それで、どうすんだよ?』


 不安そうに揺れる水色の瞳に、


『ま、ある程度予測はしていたから、することは大して変わらないわ。怪しい奴、不正をしている奴を炙り出すのよ』


 ふふんと胸を張って応える。


「というワケで、現状としては疑わしいという程度ではあるけど。主観ではなく、判っている事実のみを書き出して、アストレイヤ様(お義母様)に連絡を取ってちょうだい。後手に回る前に、大至急ね?」

「かしこまりました」


 と、おじさま執事の言葉で護衛の人が二人程離れて行った。おそらく、これから王都に直行するのだろう。


「安全を祈っています」

「ありがとうございます」

「さあ、レストランへレッツゴー♪」

「飯は食いに行くのかよ?」

「勿論♪」

「え? シエ……じゃなくて、シェン? レイシー? あの、なにを?」

「ふふっ、グレインお兄ちゃんは気にしなくていいの♪さあ、美味しいごはんが待ってるわ!」


 な~んて、ひそひそ話している間にアーリーはどこかへ行ってしまった。


 かなり残念だけど、これでも一応ネロたん(あたし)シエロたん()は王族。


 アーリーを尾行させるにしても理由が必要だし、いきなり「あの美少年を保護しなさい!」なんて命令ができる筈もない。護衛が減ったのに、余計な人員を動かせるワケもなし。泣く泣く……断腸の思いで、見掛けた神々しい美少年なアーリーの保護を断念した。


 後で絶対保護したげるから待っててねっ!!


 安全面に配慮したのか、着いた先はホテルだった。なんかこう、星がいっぱい付いていそうな高級感漂うホテルだ。


 防犯やプライバシー的なことを考ると、やっぱりある程度はお高い店になっちゃうのよねー? ごはんは美味しいかしら?


「宿泊客じゃなくても、レストランを使用できるの?」

「いえ。本日はこちらへお泊りする予定となっております」


 ふむふむ……今日はもう出歩くな、ということかしらねー?


 ま、いいでしょう。護衛が減った分、配置やシフトの組み換えの方にも問題が出るだろうし、今日のところは、外歩きを控えてあげようじゃないの。


「部屋は、皆様ご一緒に過ごせるよう、ファミリールームを取ってあります。ごゆっくりお過ごしくださいませ」

「マジか……」


 おじさま執事の言葉に、嫌そうな顔であたしを見やる蒼。


 護衛対象を分散させるより、一ヵ所に集めた方がいいということだろう。


 むふふっ……シエロたんと同じ部屋っ!! きゃっふー♪


 読んでくださり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] アーリーたん逃げ切ったか……。 でも神々しいとまで描写されるくらい美形だと、処刑された連中以外も危険だよなー。 姉が保護しないとと考えるのもしょうがない
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