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幼児が浮かべちゃマズい、捕食者だとか狂気的な高笑いだと思うんだがな？

　アストレイヤ様が、クソ親父陣営領主からの食料献上……という名のぼったくり＆嫌がらせを蹴り、新たにライカ農園(仮)から食料品のお取り寄せを始めた。

　無論、非難轟々だったそうだ。長年の取引先を変えるのは双方が最初から合意尽くだったり、やむにやまれぬ事情あったりだとか、明確に契約違反をしたとかじゃない限りは、お互いが納得なんてするワケない。でも、「母として、我が息子であるライカの事業を応援をする」と、「王都の食料自給率を上げる」というので押し通したみたいだ。

　案の定、贔屓だなんだという声が上がったらしいけど。アストレイヤ様が、『四人いる子供の一人だけを贔屓し捲っているどこぞの誰かよりマシだ。文句を言うなら、当然他にも色々と贔屓をしている誰ぞにも言うよな？』意訳、レーゲンよりマシ。わたしへ文句を言うのなら、当然レーゲンにも言うよな？　という風なことを言ったところ、表立っての文句は出なくなったそうだ。

　まあ、当然というか……それに加え、クソ親父ことレーゲンの食料に関しては、「そのまま取引を続ければいい」と明言したせいか、取引の縮小という風に取られて。遺恨は残しつつも、一旦は退いたというところかしら？

　遺恨どころか、向こうから吹っ掛けて来た喧嘩なんだけどね！　そしてこっちは、それを存分に買い叩いて……叩き潰してやる所存だがなっ!!

　アナログなのがちょっと大変ではあるけど。こちとら、元銀行員。ときに数千億、極偶～に兆単位の金(他人や企業の)を動かしてたのよ！　たかが一領地、約数億(円換算)程度の金の流れ予測なんざ、軽いもの！　まぁ、複数の領地分ではあるけど。

　ついでに、妨害工作も予測済み！

「ほい、ネロ。これ報告書な」

　ぽんと蒼に手渡された、喫緊の嫌がらせ内容がまとめられた報告書を見やる。

　なんだこの、アホみたいに幼稚なクレームと無理な注文。そして、輸送中の襲撃とか。予想通り過ぎてつまらんわ！　もっとバラエティーに富んだ面白い嫌がらせ考えて来いやっ!!　

「フハハハハハっ!!　この程度の浅知恵でこのあたしに喧嘩を売るとは片腹痛いっ!!」

　幼稚なクレームは、「王子殿下の携わっている事業に、よくそのようなことが言えますね？」と、アストレイヤ様寄りの中立貴族に言わせて様子見。もっとなんか言って来るようなら、クレームを直にこちらに回してくれてもいい。第三王子としてクレームに対応してやろうじゃないの。真向から正論で叩き潰してくれるわ！　しかも、見た目美幼児なショタ(中身アラサーだけど)がなっ!!

　無理な注文は普通にお断りだ。王城に商品を卸すので、そちらにはお届けできません的な？　そして、しつこい注文主には、受注契約書を税理士立ち合いの下でよければ承るって言ったら、すごすごと引き揚げて行ったそうだ。ふっ、他愛もない。

　三回あった輸送中の襲撃は、全て屈強な元軍人さん達に一蹴されたようだ。生憎、襲撃犯には逃げられた……というか、輸送班に見習い中の子達がいたので深追いせずに、わざと逃がしたらしいけど。証拠回収はバッチリやってくれたようで、どこの手の者かは判明している。

　ほうほう、やはりクソ親父シンパの貴族……しかも、複数の合同か。野盗の類だと言い張るにしても、装備品が上等過ぎる。中には連中んとこの領軍で使用されている物まであったとか。身元に繋がる物使うとか、マジで馬鹿じゃね？　それとも、そんなに舐められてんのかしら？

　ま、年単位で相手方の権勢を削って行くつもりだったけど、これなら数ヶ月以内で楽々決着が付きそうね！

　愚か者共に、確りこの付け払わせてやらぁ！　と、高笑いしながら妨害対策の指示を出していたら・・・

「え？　ネロ？　ネレイシア？」

　いつの間にやら近くに来ていたライカにドン引かれてしまった。

『あらヤだ。見られちゃった☆』

　思わず呟くと、

『ねーちゃん、昔からテンション上がると高笑いする癖抜けてねーのな。直した方がいいんじゃね？　ネロリン信者とか、見たら普通にドン引きされね？』

　ぼそりと横から蒼が返す。

『それについては大丈夫。ネロリン信者には、猛々しい戦天使のようですね！　って言われて、割と好評だから』