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むしろ、密会はシュアンの護身術がある程度仕上がるまで待っていた感じね。

 視点変更。


「ネロ様ネロ様、最近ウェイバー様がやる気を出しているみたいです。以前は嫌々やっていた走り込みも、今は無理のない範囲内で多く走ろうとしてくれるようになりました。どのような心境の変化があったのでしょうか? とは言え、ウェイバー様がまだひょろひょろのもやしなのは変わりありませんけど」


 と、護身術講座を開始した当日からミリーシャが毎日報告して来る。


「そうですか」

「はい。そして、ウェイバー様とは打って変わって、アーリー君はなかなか筋がいいですね。もっとがっつり鍛えたら、もしかすると本職の護衛になれる程強くなるかもしれません」


 ほうほう、やっぱりアーリーたんは隠しキャラだけあって、かなりハイスペックのようね!


「とは言え、あの美貌ですからね。隠さないと目立ってしょうがないので、やっぱり護衛にはあまり向いていないかもしれませんが。とりあえず、男性に襲われた場合には情け容赦無く、無慈悲に股間を蹴り潰すようにと教えておきました!」


 誉めて誉めて! というのが書いてある顔であたしを見下ろすミリーシャ。


「最初は顔を青くして反対していたウェイバー様と若干引き気味だったアーリー君も、わたくしの説得により、見事意見を翻して賛同してくださいました!」

「シュアンが意見を翻したのですか。それはすごいですね」

「はい! 『もし、取り逃がしたらどうなると思いますか?』という質問をして、懇々と丁寧に、性犯罪者は再犯率が高いこと。これ以上の被害者を出さないようにする為には、性欲の源を断ち切ることこそが肝要だと説明を致しました!」


 まあ、ある意味間違っちゃいないわね。


 よし、適当に目の前のお菓子を手渡しておこう。


「はい、ミリーシャ。どうぞ」

「ありがとうございます♪」

「わたくしやミリーシャのように、抵抗できる術のある女性や子供の方が世の中では圧倒的に少ないですからね」


 そうねー。狙われるのが女性ばかりとは限らないもの。


「最終的に、ウェイバー様も納得して……『犯罪を犯した小児性愛者の去勢を求める、という法案を提出しましょう』と大賛成してくださいました!」

「シュアンにしてはなかなか過激な法案ですねぇ。まあ、わたしも賛成ですが」


 ホント、一体どういう心境の変化かしら? シュアンなら、犯罪者にも人権が~どうこうで……非道な真似はするものではありません、とか言いそうなのに。


「素晴らしい法案ですね。是非とも議会に提出してもらい、必ずや通ってほしいものです。追加で、婦女子へ暴行を働いた性犯罪者全般に、という条件も加えて頂きたく思いますわ」


 にこりと微笑む侍女長。うんうんとイイ笑顔で頷く女性使用人達とは対照的に、段々と男性使用人達の顔色が悪くなって行く。


「ああ、そうです。お二人へ、護身用の薬品類の使用方法もレクチャーを終了致しました」

「そうですか」

「はい。お二人共、真剣に聞いてくださいました」


 まあ、危険物取り扱いの際に、真剣にやらない人には扱わせるのを見送るわよね。一応、人体に有毒で命を奪う可能性のある薬品だし。


 シュアンはかなりまともな人だし。アーリーたんも、現時点では心優しくも神々しい麗しの美少年。緊急事態以外で悪用する可能性は大分低いんじゃないかしら?


 まあ、緊急事態……誰ぞに襲撃されたり貞操の危機に際した場合には、それこそ一切の躊躇無く即座に使用をしてほしいところではあるけど。


 で、だ。シュアンが順調? に、へばりながら護身術講座を受けている間。こっちもこっちで書類の山脈を切り崩しながら、サファイラ(フィーラ)ちゃんパパとの交渉を重ねて――――


 とうとう実際に極秘会談こと、密会を取り付けることに成功したワケですよ。ま、パパ公爵は未だに交渉相手をアストレイヤ様だと思っているみたいだけどっ☆


 ミレンナ(ミリィちゃん)にお手紙を出して、明光風靡且つ、癒しを求める人がリフレッシュできそうな観光地を幾つかピックアップしてもらって、その中から更にアストレイヤ様に警護がし易い場所を絞ってもらい、更に更に候補地の中からパパ公爵に都合のいい密談場所を選んでもらった。


 準備万端! まあ、ミリィちゃんとのやり取りで『お前、仕事のし過ぎで疲れているんじゃないでしょうね? 子供は遊んだりすることも必要なのよ。いい場所を教えてあげるから、確り休みなさい』『わたくしが言えたことではないとはわかっているけど、あまり働き過ぎないように。いいように使われていないで、自分の身体を大事にしなさい』な~んて、めっちゃ心配の透けて見えるツンデレなお返事を頂いて、『お仕事仲間に神経質気味で胃が弱いお兄さんがいるので、そのお兄さんにリフレッシュしてほしいと思ったので、ミリィちゃんに聞いてみました。わたしは大丈夫っ☆』という感じの返事を出した。


 すると、『ならいいけど、無理はしないことね』というお返事とは別に、匿名で側妃宮宛にお菓子や疲労回復に効果のあるハーブティーが届いた。『お前達に恵んでやるから、有難く思うことね』というメッセージカード付きで。ミレンナってば、デレ捲りじゃない? 可愛らしいわ♡


 アストレイヤ様的にはもう、お前(あたし)の好きにしろって感じみたい。


 げっへっへ、なにをどうしてやろうかしら?


 シュアンも体力が付いて来たみたいだし。万が一、パパ公爵側がなにやらよからぬことを企んでいたとしても、ある程度自衛ができるようにはなっているでしょう。


 つか、あちらさんの……パパ公爵とサファイラちゃん両方の顔見知りであるシュアンは、密会に連れて行くことが決定(多分そんなことはないだろうけど、シュアンが嫌がっても連れてく所存!)してるし。むしろ、密会はシュアンの護身術がある程度仕上がるまで待っていた感じね。


 パパ公爵がフィーラちゃんのことで隣国王家に激おこだとしても、隣国の利益になる為に私情を押し殺して、こっちを騙し討ちするとも限らないし。ま、純粋に隣国の利益追求の為に動くなら、現王家に苦情入れ捲って、正す方向で動くのが筋だとは思うけどさ?


 とりあえず……サファイラちゃんを保護するのが第一目的で、スカウトが可能ならスカウトしたいけど。まあ、普通に断られる可能性のが高いし。あたしの目の届かないとこでも可愛らしい女の子が元気にやってけるなら、それもそれで善し。

 

 そしてフィーラちゃんのことは兎も角。パパ公爵とは、こっちの有利になる条件で貿易を取り付けたいわよねー。


 さてさて、パパ公爵とはどういう風に交渉を進めて行こうかしら?


❅❆❅❆❅❆❅❆❅❆❅❆❅❆❅


 読んでくださり、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 自分の仕上がり待ちだったと知ったら、シュアン君の胃にダメージいきそうですね( *´艸`) そして、簡単な内容とはいえ、ネロ王子がミリィちゃんを頼ったという事実が尊いですね。デレが隠せなくなっ…
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