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フハハハハハハっ!! 名付けて、軒先借りて母屋を寂れさせよう作戦!


 サファイラちゃんパパとの貿易の許可をもらってから――――


 農場、牧場、果樹園、綿花、紅花などの増産を指示。ついでに、加工食品や保存食も研究と量産させたい。


 養蜂家の招聘(しょうへい)もしたいわよねー。蜂がいると農作物の受粉確率が上がるし、そうすれば当然収穫量も上がる。蜂蜜は勿論、花粉団子や蜜蝋(みつろう)、ローヤルゼリーなども薬扱いされていて高級品だ。


 元々神殿の経営していた孤児院、救貧院の救済案としての運営だったけど。ぶっちゃけ、孤児や困窮した人などはどこにでもいるし、退役軍人も殉職しちゃわない限りは増えて行く。どんどん受け入れて行って、自給自足みたいな感じにお腹一杯食べられるようになった彼らと、もう一度必要とされた彼らはよく働くようになった。


 そろそろ、本格的に木炭の製造にも力を入れたいわよねー。


 木炭は少し加工の手間は掛かるけど、同量の薪に比べると断然長く燃えるし温かい。生木や乾燥させただけの薪と違って、虫も生産過程の燻煙で死ぬので湧き難い。木炭は化石(宝石のジェットなど)として出土されることもあるくらいだから、当然長期保存も利く。


 量産できれば、森林資源の保護にも繋がるし。使用方法も燃料として使うだけじゃない。


 水の濾過装置にも使えて便利だ。清潔な水や飲料水が増えれば、衛生環境も向上する。置いとくだけで消臭効果や除湿効果もあるし、副産物の木酢液だっていろんな使い道がある。


 火鉢や七輪などの生産も合わせてやりたいわよねー。普及すれば凍死者が減ること間違い無し! 陶磁器の品質も向上するでしょうし。「暖炉や(かまど)より設置が簡単なのに、暖房だけなく調理器具としても使える」とか言って木炭と抱き合わせで売ればがっぽり儲けられること確実!


 木炭の生産はいいこと尽くめというワケだ。


 稲作もやりたい。お米が食べられるのは勿論。米油も採れるし、藁も飼料や肥料にもなる。(ぬか)からワックスも採れるし、蝋燭(ろうそく)だって作れちゃう。まあ、稲作は難しいから長期戦が予想されるけど。


 隣国は王位継承権争いで治安悪化するでしょうし、都市部の治安が悪化すれば検閲が厳しくなり、人流が制限される。それに伴い商人の行き交いが減り、物流や流通も滞って物価は上昇する。食糧の入手が困難になれば治安は更に悪化するという悪循環に陥る……と、言ったところで、手を差し伸べるように食糧や燃料を輸出すれば悔しがりながらも感謝されつつ、大儲け確実!


 困窮した頃に親切面してお金や物資を貸し付ければ、隣国の貴族領主を抱き込むことができる! それをじっくりと繰り返して勢力拡大して行けば、経済的にうちの国に依存せざるを得なくなるでしょうし。王家への求心力低下を招き、隣国を弱体化させて国力を削ることができるというものよ!


 向こうが年単位で破壊工作を仕掛けていたのなら、こっちだって年単位で国力を削ってやろうじゃないの! まあ? 向こうがしたように直接……というか迂遠にではあるけど、王族を害そうとしなくても、これくらいは余裕。


 ここでミソなのは、平民価格と貴族価格で輸出品の品質や値段を変えること。平民へはなるべく安く食糧や燃料を売ってもらい、貴族や富裕層にはそれなりの値段で売ってもらいたい。


 その為には、是非ともサファイラちゃんパパである隣国公爵の協力を仰ぎたい!


 ということを、シエロたんこと蒼も交えてアストレイヤ様へ熱くプレゼンした。


 蒼は若干呆れながらも、うんうんと理解を示してわかり難い部分へ質問とツッコミを入れながら話を進めて――――


「フハハハハハハっ!! 名付けて、軒先借りて母屋を寂れさせよう作戦! 経済的に痛い目を見せて国力を下げるという程々の報復ですが、いいと思いません? まあ、これくらいやれば他国にちょっかい掛ける余裕も無くなるでしょう」



 (「まあ、うん。) (乗っ取りまでは) (しないってことだな」)


 ぼそりと呟く蒼。


「……わ、わたしはどうやらネロ様とシエロ王子のことを大変見縊(みくび)っていたようですね」


 なにやら戦慄したような顔でシュアンが顔を青くさせていた。


「こ、これがまだたった七つのお子様の考える、『友好国の振りをした、水面下での敵対国への程々(・・)の報復』ですか……為政者としての格が違い過ぎます。これでは、クラウディオ殿下がまるで相手にならなかったのも、無理はありません」

「ああ。本当に、相変わらず……これがまだ七つの子供の考えることだとは思えんな」


 と、アストレイヤ様も呆れなのか悟りなのか、微妙に遠くを見るような表情であたしと蒼を見やる。


「とは言え、わたしとシエロ兄上は実際に子供ですし。大した権限があるワケでもないので、皆さんの手を貸して頂けなけばなにもできません。なので、どうかわたし達へ手を貸して頂けませんか? シュアンの力も、是非役立ててください」

「……っ!? ああもうっ、ネロ様は本当に人をその気にさせるのがお上手ですね! いいでしょう、不肖シュアン・ウェイバー。全力を尽くすことをお約束致します! ということですので、王妃殿下。至急父と連絡を取りたいのですが、宜しいでしょうか?」


 シュアンはヤケクソのように宣言すると、キリっとした顔でアストレイヤ様へ向き直る。


「場合によっては、父だけでも入国を早めて頂けると色々と捗ります」

「ああ、そう言えば、シュアンの親父さんって文官だっけ?」

「……親父さん、とは……相変わらず、シエロ王子は口がお悪いことで。もっと口調を改めた方が宜しいのでは?」

「俺の口のことは気にするな。つか、慣れろ」

「ふふっ、シエロ兄上の口が悪いのは今に始まったことではありませんからね」

「シエロ王子の影響で、ネロ様のお口が悪くなっては困るのですが?」


 嫌そうに蒼を見下ろすシュアン。


「ああ? 俺の影響以前の問題だろ。つか、実際はネロの方がもっと汚い言葉知ってると思うぜ? そういうの使ってねぇだけだろ。なあ? ネロ」

「そうなのですか? ネロ様」


 無論。伊達に洗濯場や騎士団、厩舎裏を彷徨いてないわ。


「ふふっ、シエロ兄上がなにを言っているのか、わかりませんね」


 でもここは、にこりと首を傾げておく。


「そんな些細なことより、これからやることが山積みですよ?」

「だなー。農場関係は、留守にしてた俺らよかライカ兄上のが詳しいだろ。あれこれ情報共有して頼まなきゃだし」

「まさか、ライカ王子もお二人のように非凡な方なのでしょうか?」


 恐る恐るという風な質問に、


「いや……ライカは年相応の、子供らしい優秀さと言ったところだ。しかし、山積みの仕事量にライカが泣き言を零すのが目に見えるな。君達は、それぞれ自分が普通の子供ではないことを自覚するように。付いて行く方は大変だぞ? 少々手加減してやりなさい」


 やれやれと溜め息を吐くアストレイヤ様。


「はーい」


 まあ、あたし達と違ってライカは正真正銘のお子様だものね。


「コイツ、返事はいいんだよなぁ……多分、わかってねぇだろうけどさ?」


 と、なぜか蒼にまで呆れたような溜め息を零された。


 うん? なぜかしら? あたし、ちゃんと手加減するわよ?


✐~✐~✐~✐~✐~✐~✐~✐


 読んでくださり、ありがとうございました。


 ネロ(茜)「フハハハハハハっ!! 名付けて、軒先借りて母屋を寂れさせよう作戦!」Ψ(`∀´)Ψフハハハハ!


 「程々の報復ですが、いいと思いません?」(੭ ᐕ))?


 蒼「まあ、うん。乗っ取りまではしないってことだな」( -`ω-)


 シュアン「……わ、わたしはどうやらネロ様とシエロ王子のことを大変見縊(みくび)っていたようですね」( º言º; )"

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