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ネロ様……また女装ですか。そのようなお姿で、本日は一体なにをされるおつもりで?


 執事さんと侍女長に相談すると・・・


 実物のアーリーたんを見ているだけに、二人共あたしの懸念をよ~くわかってくれましたよ! なんでも、アーリーたんのご尊顔にぽーっとなっちゃって使いものにならなくなる人がいたそうな。


 わかるわかるー。麗し過ぎるあのお顔は、最早ある種の凶器と言っても過言じゃないくらい美しいものねっ!!


 そして、どうせならアーリーたんが自分で自衛ができるように鍛えてあげようという話になった。そしたらなぜか、シュアンは身体が弱いので一緒に護身術を教えがてらに鍛えようということが決定。


 二人への護身術講座は、ミリーシャにさせるそうです。


 なんでも、下手な男に任せるとアーリーたんが襲われちゃう(多分貞操的な意味で!)可能性があるから! だそうです。シュアンも襲われちゃうかも(こっちはネロ様のお気に入りで気に食わん奴を物理的に甚振れるぜ! 的な?)らしいけど。


 もう、虐めちゃ駄目だって釘刺したのにー。まあ? そういう輩というのは、どこでも湧いて出るものよね。仕方ないわ。


 その点、ミリーシャは偶~にシュアンを物凄い目付きで睨んでいることはあるらしいけど、ネロ様(あたし)の命令に逆らうことが無いので安心ですと言われたんだけど……それって、大丈夫なのかしら?


 それとも、シュアンがミリーシャになんかした……? ってのは、考え難いか。もしかしたら、ミレンナんとこに連れてったことに怒ってたりするのかしら?


 ミレンナの他人には見せられないアレな姿に、なにげにシュアンはダメージを負ってたっぽいんだけどねー。


 体調を崩したのは、いろんな要因重なったからだと思うけど。でもやっぱ、ちょっと悪いことしたわね。


 とは言え、アーリーたんやシュアンが自衛できるようになるのは歓迎すべきこと!


 とりあえず、薬師家系の出身で毒薬……じゃなかった、調薬を得意としている侍女長お手製の麻痺毒を、用法容量、使用方法のレクチャー付きで持たせることにも異議は無いわ。


 以前、どこぞのド変態外道神官にお代わり付きでプシュっと振り掛けてやった麻痺毒は、侍女長お手製だし。香水瓶風の麻痺毒の他にも、クロロホルム系もあるし。針や扇子など護身用に仕込んだりしてるし。


 あ、そっか。もしかして、だから騎士達プラスミリーシャは侍女長を恐れてるのかしら?


 侍女長は伊達に侍女長をしてない。薬学の知識に長けた侍女長は長年ミレンナの、そしてネロたんの身の安全に気を配って来た人だ。場合によっては騎士達に危険を教えたり、命令を下して指示に従わせたり、解毒薬を配ったりすることもあるものね。そして、なんでかしら? にこにこと笑顔で、プスリと怪しい針を誰ぞに刺す姿が容易に想像できちゃうわねー。


 まあ、治ったらガンバ♪という労いの意を籠めて、シュアンのお見舞いに向かうとしますか。


 お見舞いの定番は果物やお菓子にお花よねー? プリンは外せないわね♪


 というワケで、お菓子やお花を用意してシュアンの部屋(仮)に突撃! ちなみに、なぜ(仮)なのかというと、側近就任ということで、もっといいお部屋へ引っ越しする予定だからなのだそうだ。その前に倒れちゃったから、今はまだ客間にいるのよねー。


 ノックをするとどうぞと返事があった。どうやら起きているらしい。失礼します、と部屋に入るなり……


「ネロ様……また女装ですか。そのようなお姿で、本日は一体なにをされるおつもりで?」


 パジャマ姿のシュアンに微妙に嫌そうな、呆れたようなしら~っとした顔をされた。


 んもうっ、ネロたんのかわゆい女装(ネリーちゃん)姿になんて失礼な視線を向けるのかしら! でもでも、起きて座っていられるくらいには回復したようね。よかったよかった♪


「ネリー様に失礼ですよ!」


 ぷんすか声を上げるのはミリーシャ。


「っ!? ね、ネレイシア姫様でしたか、これは大変失礼を致しました。わたしは、この度ネロ様の側近に加えて頂きましたシュアン・ウェイバーと申します」


 慌てて謝るシュアン。まあ、ネリーちゃんもあたしなんだけどねー?


「ふふっ、お静かに。ネレイシアと申します。初めまして、ウェイバー様」


 しーっと唇に人差し指を当てて、にこりと微笑む。


「シュアンで結構ですよ、ネレイシア姫様。それにしても……姫様は本当に、ネロ様とよく似ていらっしゃいますね」


 ネロたんのときと比べると、柔らかめな口調と表情。それとは別に、まじまじと観察するような視線。実はまだネロたんじゃないかと疑ってんのかしら?


 さあ、存分に見詰めるがいいわ!


「双子ですからね、よく言われます。お見舞いをどうぞ。こちらへ置いておきますね」


 と、お菓子を詰めた籠をテーブルに置く。


「ありがとうございます」

「今日は、ネロお兄様には内緒で来たのです。もうネロお兄様ったら、側近の方をお決めになったというのに。わたくしがご挨拶をしたいと言ったらダメだって仰るんですよ? なので、こっそりお顔を見に来ちゃいました」

「それは……後でネロ様にお叱りを受けてしまったりはしませんか?」

「あら、ネロお兄様に内緒にしてはくれませんの?」

「申し訳ございませんが、わたしはネロ様へお仕えしておりますので。今度からは内緒で来るのではなく、ちゃんとネロ様の許可をお取りください」


 ある意味、シュアンらしい返答ね。


「そう、ですか……」


 しょんぼりした顔をすれば、


「ですが、今回はわたしの方からネロ様へネレイシア姫様をあまりお叱りになられないようにと、お伝えしておきます」


 キリッとした顔で即行デレた! ナイスツンデレ!


「ありがとうございます、シュアンさん。ネロお兄様のお傍にいるのは大変かもしれませんが、兄を宜しくお願いしますね」

「承知致しました」

「では、わたくしも失礼します。籠にプリンが入っているので、食べられるようでしたら早めに食べてくださいね?」


 と、手を振ってシュアンの部屋(仮)から出る。


 ふぅ……とりあえず、お見舞いにかこつけたネロたんとネリーちゃんは別人なのよ? という姑息な時間稼ぎ作戦は無事終了。


 いつ気付くかしら? ライカではできなかった、自分から気付くまで楽しみに待つということをシュアンでやってみよう! な感じね。


 後で気付かれたときに怒られそうだけど、それもそれで面白いわよね♪


 さてさて、シュアンはアーリーたんと一緒に護身術講座を受ける予定だから、シュアンが回復してもその間はフィーラちゃんのことでこっそり動く時間は確保できるわね!


✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰⋆。:゜・*☽:゜・⋆。✰


 読んでくださり、ありがとうございました。


 シュアン「ネロ様……また女装ですか。そのようなお姿で、本日は一体なにをされるおつもりで?」(꒪꒫꒪)


 戦闘侍女「ネリー様に失礼ですよ!」(*`Д´)ノ


 シュアン「っ!?」( ̄□ ̄;)!!

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[一言] 侍女たちに護身術教えさせて大丈夫? アーリーたん、「我が拳に砕けなものなし!」とか言い出さない?
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