第三話
異世界へGO
「なんだ? 地震か?」
初めは少しの揺れだったが、徐々に揺れが大きくなると体育館はパニックになっていた。
「外に出ろ!」
と何人かの人達が体育館から出ていくが、逃げ遅れたメンバーは余りの揺れにしゃがみ込む。
「ゔゔっ」
可愛い声をあげる事も出来ずにうずくまると
「花菜ちゃん!」
と雪城が手を引き、花菜を上からの落下物から庇うように抱きしめた。
すると―
床に足が着いているはずなのに一瞬浮遊感があった。
そしてそのまま猛スピードで落下していく感覚に陥った。
「うわぁ! 気持ち悪っ! なんだコレ!!」
「うわあああぁあ、なんか変! 怖い! 怖い!」
「俺、落ちるのとか無理なんだって! 無理無理無理ぃー!!」
体育館の所々で悲鳴があがった。
脳の処理が追いつかない。
足は床に付いているし、地響きも無かったから体育館が落下してる訳でもない。
感覚だけがおかしい。
そして一瞬、晴れた空が見える体育館が真っ暗になったと思ったら地震がおさまった。
「大丈夫だった? 花菜ちゃん?」
「は、はい! ありがとうございます」
近くにいた風間がキョロキョロと辺りを見渡し
「何だったんだろうねー今の、なんか落ちてなかった俺たち?」
と周りの無事を確認する。
「オイ! こっち見てみろよ!」
と海南高校の生徒が体育館の扉の近くで叫ぶと、みんなは扉付近へ走り出した。
扉の外は―
全く見た事のない景色が広がっていた。