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第2話 芸術は物理に動け!

翌日、土曜日の出勤だ。

今回は、私と冬馬君で綾瀬警察署圏内、城川先輩とベベロちゃんは築地警察署圏内を担当する事になった。


▪▪▪


綾瀬警察署の方に挨拶を済ませ、外へ出る。


「よろしくお願いしますね、弐崎さん」

私はそう言う。


「あの、何て言うか。僕たち同級生ですし、名前で呼びませんか?」

冬馬が言う。

……確かに言う通りかもしれない。


「じゃあ、冬馬君って呼ばせていただきます」

そう言うと、冬馬は笑顔を見せた。


「僕は翠子さんって、呼びますね」


そして、街中へ繰り出した。


▪▪▪


同じ刻、もう一方のコンビも警察署に挨拶を済ませていた。


「よろしくなぁ、兄ちゃん」

ベベロが言う。


「そうか、飛び級っても9歳だからな。兄ちゃんの呼び方、分かるな」

ネオンはベベロの頭を撫でる。


「……なっ、なで、撫でなんで……!」

顔が真っ赤になり、煙が頭から出る。


「あっち!『熱化(ねっか)』の力、凄いな」

(熱化(ねっか)とは、ベベロの力の一つ)


「に、兄ちゃんがそう言うから……」


「それじゃあ、行こうか。ベベ」

ネオンが言うと、ベベロは頷く。


▪▪▪


見回り開始をしてから、一時間経過。


「……何にも無いな」

ネオンが言う。


「そうな。中央区って結構、突然変異(アンバランス)保持者の逮捕率が高いっちゅう話を聞いたけんな……」

ベベロがそう返す。


「まあ、何事もなければそれで良いんだけどな」


その時、大きな物音が鳴り響いた。

旧築地市場の方面からだ。


二人がそっちに目を向くと、大きな煙が見える。


「……行くぞ、ベベ!」

「あいよ!」


約5分後、現場の近くに着いた。


(……くそ、あの物音はなんだ?)

ネオンは警戒する。


「兄ちゃん、あれ!」

ベベロが指す方を向く。


対向側にパステルカラーの大きな動物が見え、その近くにキャンバスを片手に男性の姿が居る。

その男性が何かを呟いたかと思うと、動物が動き始め建物を破壊し始めた。


「『発見器(チェッカー)』反応したで」

ベベロが『発見器(チェッカー)』を光らせて言う。


「そうか。厄介だが、捕まえるぞ!」

ネオンが言うと、ベベロは頷く。


「憑依!」

熱化(ねっか)!」


二人はそう言うと、その人に向かって走り出した。


▫▫▫


その頃、私と冬馬は公園で小休憩を挟んでいた。


「さて、そろそろ行きましょうか」

冬馬が言った瞬間、『通信機(インカム)』が鳴る。


『翠子さん、冬馬君、聞こえるか』

雷都の声だ。


「はい、どうしましたか?」


『ベベロさんとネオン君が、築地警察署圏内で『突然変異(アンバランス)』保持者と戦闘中との報告があった。二人では捕獲困難と申し立てがあり、至急応援求む』


私と冬馬は、頷いた。


「「了解!」」


▪▪▪


戦闘から、30分以上は過ぎたであろうか。


「俺の芸術に、手出しするなぁ!」

男性がキャンバスに筆を走らせると、そこから鳥が現れた。


「おりゃぁぁ!」

ベベロが走り出し、飛び上がって鳥の足を掴む。

そして、そのまま地面へ叩き込むとその鳥は消滅した。


(……ちくしょう、キリがねえ!)

ネオンはそう思う。


(えが)いては倒しての、エンドレスだ。

二人では動物を対処するのに手一杯だ。

本部に応援要請はしたが、いつ来るか分からない。


「……くっ」

さっきの対処で、ベベロの息遣いが更に荒くなる。


(流石に、ベベの体力ではそろそろ限界か……)


「これでお前ら、チェックメイトだ!」

描くと巨大ゴリラが現れ、二人に向かって拳を振り上げる。


(……ここは、ベベを守る方向へ!)

防護に入ろうとした瞬間だ。


「『ウォーター・ウォール』!」

目の前に水の壁が現れ、拳を防いだ。


(この声は、塩小路だ)

ネオンは悟る。


「お二人!お待たせしました!」

冬馬の声もする。


「先輩、ベベロちゃん、お助けします!」

私が言うと、二人は頷いた。


▪▪▪


「……目的対象(ロックオン)完了、初回制限(ファースト)は2分半。初回制限(ファースト)で決着を付けましょう!」

眼帯を外した冬馬が言う。


「はい!」

私は手に力を入れる。


「何人も何人も……!邪魔をするんじゃねぇ!」

男性が筆を走らせ、虎を出す。

その虎は私の方へ走り出す。


「『ジェット・ウォーター』!」


水は虎を避けるかのように、放物線を描いて男性に直撃する。

男性とキャンバスがずぶ濡れになったかと思うと、襲いかかろうとした虎は消え去った。


「……確保!」

私は男性に駆け込み、捕らえた。


▪▪▪


「……クソッ、どうして俺の芸術の邪魔なんか……」

警察官に明け渡す為、待っている途中男性がそう呟く。

その時、冬馬が血相を変えて彼の胸ぐらを掴む。


「人に迷惑かけて、まだそんな事言うんですか!!」


「ちょっと、ちょっと。落ち着いて、冬馬君!」

私が間を取ると、冬馬は離れた。


「……すいません、取り乱しました」

こんな表情を見せるのは意外だと思った。


その時、目の前にパトカーが止まった。


「捕獲、お疲れ様です」

身柄を渡した。


「……それじゃあもう昼だし、一回引き上げるか」

ネオンが言うと、皆は頷いた。


▫▫▫


午後の見回りは、何事も無く終わった。

本部への帰り道、私は気になったことを冬馬に聞いてみた。


「あの、前に何かあったんですか?さっきの身柄を明け渡す時に、凄い剣幕で言っていたが気になって」


そう言うと、冬馬は物悲しそうな表情を見せる。


「……まあ、色々と……」


「あ、ごめんね。無理に話さなくてもいいよ?気が向いたらでいいから」

慌てて私は言うと、冬馬は頷いた。


(……これも、また追々分かるのかな)

そう思いながら、帰路へついていた。

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[良い点] すみません、もう一個 >>水は虎を避けるかのように、放物線を描いて男性に直撃する。 男性とキャンバスがずぶ濡れになったかと思うと、襲いかかろうとした虎は消え去った。 このシーンほん…
[良い点] 目的対象ロックオン完了 目的対象ロックオン完了 カコエエから二回言うてもうた
[良い点] かーっっっっっっっっっっっっっっ はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ かっこいいいいいいいっっ ウオーターウォール! と一人でやってみる私がいます いい年してはずいけどこうゆ…
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