第14.5話 お礼とそれから
私と先輩は、シラガヤ鍵屋へ向かっていた。
昼間のお礼がしたかったからだ。
名刺に書かれている住所へ向かうと、ビルの中にある一室みたいだ。
該当の階へ向かい、その部屋に向かう。
▪▪▪
「……ここ、か」
『シラガヤ鍵屋』の看板がある部屋の前で、ネオンが呟く。
私がチャイムを鳴らすと、中から人が出てきた。
「ああ、昼間のお二人さん」
そう白賀谷が言う。
「その、割って入ってくれたお礼がしたくて」
私が紙袋を持ち上げながら、返す。
「とりあえず、中どーぞ」
二人は中へ招かれた。
道具がたくさんあるが、整理整頓されている。
「学校近くのお店で買った、クッキーです」
そう私が言う。
「ざっす、いただきます」
白賀谷が、受け取りながら言う。
「あの、白賀谷さん」
ネオンが口を挟む。
「どうしたんす?」
「その……どういった経緯で、警察や《メージェント》と関わりを持ったんです?」
白賀谷は、口元に指を持っていく。
「それは企業秘密っすよ、申し訳ないっすけど」
「そう簡単に、教えて貰えないですよね……」
ネオンがそう呟く。
「まあ、あれっすよ?敵では無いっすから、そこは心配しなくてもと」
それは白賀谷の言う通りかもしれない。
「……と、そろそろ出勤の時間ではないっすか?」
「そう、ですね。では今日はありがとうございました」
二人は、外へ出た。
▫▫▫
「先輩」
ビルを出たあと、私はネオンに話しかける。
「何だ?塩小路」
「なんか、気になりませんか?あの態度……」
警察との関わりを、秘密として流した事だ。
「まあ、今考えても仕方がないんじゃないか?二人の事は知っているだろうし、敵だったら不意に近付きすぎだろう?」
ネオンは、そう返す。
それもそうだ。
私の気にすぎ、なのだろうか。
「とりあえず、今は仕事に集中しないか」
「……そう、ですね。先輩」
▫▫▫
二人が外へ出たのを見届けると、白賀谷は携帯を取り出す。
着信がある。
その電話に、白賀谷はもう一度掛け直す。
『やあやあ、タマキ君。1回で出ないなんて、どうしたんだい?』
電話に出たかと思うと、英語でそう言ってくる。
「済まないね、急な来客が来ましてな」
白賀谷も、英語でそう返す。
『ま、それなら仕方がないね。……そうそう、〈ウェイト〉の件はどうなったかい。上の人間が、報告を早くしろと煩くてね』
「汐莉さんが、ヤツラに捕まえられた。《メージェント》の人達が探しているが……」
昼間の事を、話す。
『そうかい。それは厄介な事になってきたね、タマキ君。シノさんも、大変じゃないかい?』
「もしかしたら、全責任を詩乃さんが負うかもしれません。それは避けないといけないと思いますが」
電話の向こうで、ため息がこぼれる。
『キミには、これからも無理して活動して欲しい。また、報告を貰いに電話するよ』
「わかりました」
そこで、電話が切れた。
「……僕っちが向こうさんに頼まれてから、本当に厄介な事になったっすねぇ。向こうの人間も大慌てだろーな」
白賀谷は机に頬杖を付きながら、そう呟いた。




