第13.5話 めいの苦悩と、周りの心配
(……朝、か)
そう思いつつ、めいは目覚まし時計を止める。
部屋のリビングに出ると、まいの姿が居る。
「おはよう、めい」
まいが気が付いて、言う。
「おはよ、まい姉」
「今日は、大丈夫?」
そうまいが聞いてくる。
「……あ、う。うん」
めいはそう返す。
まいは、じっとめいの顔を見る。
少し考えて、めいに近付く。
「今日、休んで。出られそうに、ないから」
肩を叩いて、まいが言う。
「詩乃隊長には、私から、話すから。1日ぐらい、休んでもいいよ」
そう、付け加える。
「……まい姉には、逆らえないね」
めいが言うと、まいは頷く。
「野々羽君のこと、あったから。私は、めいの、気持ちが心配なの」
その言葉で、めいの抑えていた気持ちが溢れた。
涙が目に溜まるのが分かる。
「まい姉、私……」
まいは、めいを優しく抱きしめる。
「気持ち、抑えてたから、今日ぐらいはいいよ」
▪▪▪
めいは朝ごはんを食べた後、自室へ戻る。
ベットに横たわり目を閉じると、丹緒の事を思い出す。
(何でまた、アイツが死ななきゃいけなかったのよ)
《反組織部隊》に居る事を確認してから、不安だった。
どうして、彼処へ一人で入ろうと思ったのか。
どうして、無茶な事をしたのか。
そして、下手をすれば死に近かった事。
そして、彼は彼奴らに殺された。
詩乃隊長からは、私達の事を想って行動したと聞いたのだが……
それでも、正直納得はいかない部分がある。
(だめだめ、今日は……)
手で顔を覆った。
今日ぐらいは、何も考えないでおこう。
▫▫▫
「おはようございます」
まいはそのまま、出勤をする。
「あら?めいはどうしたの」
詩乃が聞く。
「実は……」
まいは、事情を話す。
「そう。まいがそう感じるなら、仕方がないわね。今日は智利君と動いてくれるかしら」
詩乃が言うと、まいは頷いた。
▪▪▪
「しかしまあ、めい殿は大丈夫でしょうかね」
仕事中、智利が言う。
「私以上に、野々羽君の事を思っていたから。亡くなったと聞いたとき……めいも、後を追ってしまいそうで、心配だった」
「物騒な事を言わないでください、まい殿」
そう智利が返すと、まいは苦笑いをする。
「ごめん。でも、めいの顔を見ていると、私の学生時代と、重なるの」
学生時代、まいはクラスに馴染めなくて辛かった時代。
その時の表情に、今のめいと重なったのだ。
「そこら辺、僕から言える事は無いですね。でも、僕も心配している事……それは、めい殿に伝えてくれますか?」
智利が言うと、まいは頷いた。
▫▫▫
「めい、居るかしら」
部屋の扉の向こうから、詩乃の声がする。
「……隊長?」
めいは扉を開ける。
そこには、手荷物を持った詩乃が居た。
「まいから話を聞いてね。今、良いかしら」
詩乃が言うと、めいは頷く。
リビングに招き入れる。
「あの、どうかしましたか……?」
そう、めいは聞く。
「まずはね、これ。紅茶の茶葉セット。気持ちを落ち着かせるには、良いと思ってね」
紙袋から、缶を取り出す。
「……あ、ありがとうございます」
「それと、改めて」
詩乃はめいの方を、見る。
「野々羽君の事、本当に申し訳無かったわ。私が、もう少し早く動いていたら……」
そう言って、詩乃は頭を下げる。
「そんな、隊長が言うことじゃ」
めいが言うと、詩乃は首を横に振る。
「皆の安全を守るべきだったはずなのに、こうなってしまって。隊長失格よ」
「隊長……」
「そして事が終わったら、私が責任を取るつもりだわ」
詩乃は顔を上げて、そう呟く。
「隊長が居なくなったら、私達はどうすれば良いんですか!?こうなったのは、あの時捕まえられなかった、私にも責任があります!」
めいは声を荒らげる。
「これはね、めい。貴女が思っている以上に、深刻な話なのよ。この事を部下の責任にはしたくない……分かってくれるかしら」
詩乃の手が、強く握りしめるのを見た。
私よりも、相当責任を感じているのかもしれない。
「隊長」
めいは、静かに言い出す。
「なに?」
「絶対に、《反組織部隊》を潰しましょう」
その言葉に、詩乃は頷いた。




