独りのタタカイ 4話 丹緒、ついに狙われる
それから、数日経った頃。
「……テイト様、お呼びでございますか」
テルガが、テイトの部屋に来た。
「新しく入った、ニオラの事についてだがな」
そう、テイトが口を開く。
「そう言えば、他の幹部から『なぜ彼を入れたのか』と話しておりますが……」
そうテルガが言うと、テイトは腕を組む。
「アイツ、《メージェント》と絡んでいる」
「……!?ど、どうしてそんな人を幹部に!」
テイトがそう返すと、テルガは笑う。
「我輩が何も考えていない、そう思うのかね……テイト」
「それは、どういう」
テルガはパソコンのメールボックスを開く。
1つのメールを開くと、そこに写真がある。
「……これは、ニオラ?」
写真を見たテイトがそう言うと、テルガは頷く。
「今、拘置所にいる『No.8』からの提供だ。最初に会った時、察したのだよ。うちの情報を《メージェント》に流すってな」
『No.8』は、『都市伝説に化ける術』を持っている[名前なき部下]だ。
この写真は、隠しカメラから捕まった時に撮ったものとの事だ。
「でも、ここまで流してよろしいのですか?」
テイトが聞く。
「これも『No.8』からの提供だが、ニオラは二期生と繋がっている。二期生の隊長は、お前も分かるだろう」
「八ヶ家詩乃、でしたな……もしかして」
「そう、ニオラが流している情報は、いずれ水嶌汐莉にも話がいく……アヤツを抹消すれば、いてもたっても居られんだろう。その時が狙い目さ」
▫▫▫
丹緒は、パソコンを打っている手が震えているのが分かる。
自分が探索している事が、バレている。
そして、今の行為が一期生の隊長に危害を加えるかもしれない。
(さっき聞いた音声は、詩乃隊長に送らねば)
そう思い、震える手を頑張って動かす。
『本日の、午後7時半。虹の橋が見える所で、お会いしたい』
万が一の為、バックアップは既に『外部観察』時に隠してある。
その鍵は、見つかったとしても彼らには『ただの鍵』だろう。
(……あとは、こっそり抜けるだけだ)
▫▫▫
その頃、詩乃のメールボックスにメールが届く。
また『あの匿名メール』だが、中身を開いた時に違和感を感じた。
「午後の7時半、虹の橋が見える所で会いたい……」
『虹の橋』は、多分レインボーブリッジの事を指している。
……なのだが、今までとは違って『情報』を載っけていない。
「まさか、まさかじゃ」
時計を見ると、7時になろうとしている。
「急がなきゃ……!」
詩乃はジャケットを取ると、急いで部屋を出た。
▪▪▪
丹緒は、お台場海浜公園に来た。
時計を見ると、もうそろそろ7時半。
「詩乃隊長、来るかな」
そう、呟いた瞬間だ。
「あんたァ、ここに居ったんね」
聞いたことのある、女性の声が聞こえた。
(!?)
丹緒は辺りを見渡す。
「……ここヨォ」
真後ろに、ジレラが居るのが分かる。
(ここは、一旦離れないと)
近くにあった木の方に飛び移ろうとした時、目の前にジレラの姿が現れる。
「ウチの変異を甘く見るな!」
そうジレラが言った瞬間、分身が一気に増える。
(マズイ……!)
そう思うのも束の間、分身に捕まえられる。
「チェイ、今よォ!」
そうジレラが言うと、四方八方から針が飛んでくる。
丹緒は逃げることも出来ず、針の洗礼を受ける。
(……全身が、い、痛い……俺、は……ここ、で、死ぬ、のか)
至る所から血が流れるのが分かり、意識が朦朧とする。
「野々羽君を離しなさいっ!」
その時、詩乃の声が聞こえた。
「チッ、ここは一旦離れるよ。チェイ」
分身が消え、一人の姿になったジレラが言う。
「アイツなら、アタイらで殺れるでしょ?」
何処からか現れた、チェイが言う。
「ニオラは、もう死ぬわ。……これ以上、無駄な事はしちゃいけない」
そうジレラが言うと、二人は闇夜へ消え去った。
▫▫▫
詩乃は、急いで救急車を呼んだ。
「野々羽君、しっかりしなさい」
対応出来るだけ出血を止めながら、詩乃は丹緒に話しかける。
丹緒は、ポケットの中から鍵を出して渡す。
「この鍵の所に、何かあるのね?」
詩乃が言うと、丹緒は小さく頷く。
その時、丹緒は意識を失った。
▪▪▪
近くの大学病院に、丹緒は運ばれた。
詩乃は、緊急手術室の前で待っていた。
『手術中』のライトが消えて、医者が出てきた。
「先生、野々羽君は!?」
そう聞くと、医者は首を横に振った。
「頑張ったのですが、過剰出血でもう……」
詩乃は、目に涙が滲むのが分かった。
「詩乃隊長!」
その時、二期生のみんなが集まった。
「大丈夫ですか、詩乃殿」
智利が聞く。
「……野々羽君、助からなかったって」
詩乃がそう静かに言うと、皆は言葉が出なかった。
「……嘘、嘘でしょ?」
めいはそう口を開くが、詩乃は首を横に振る。
それを見ためいは、倒れこむ。
「めい、大丈夫?」
まいが心配そうに、抱え込む。
……が、めいはショックで気絶したみたいだ。
「大丈夫ですか?」
看護師の一人が、話しかけた。
「すいません、休めるとこ、ありますか」
まいが言うと、看護師は頷く。
「……まいと智利君は、めいの事いいかしら。私は施設へ戻るわ」
詩乃が言うと、二人は頷いた。




