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この世界はアンバランスで出来ている  作者: 桜橋あかね


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31/42

独りのタタカイ 3話 丹緒、幹部に面会され、それから

幹部試練(ヴェルベイト)』が終わった。

翌日、改めて『幹部の一員』として紹介されるらしい。


▪▪▪


丹緒はあの『試練』があった部屋に、また招かれた。

幹部が全員、集まっている。


「お待たせしました」

丹緒が言うと、奥の玉座に座っていたテイトが頷く。


「改めて、ニオラには《反組織部隊(ノーウェイト)》の、幹部勢に加わることになった。皆、よろしくな」

テイトが言う。


「……これが、幹部の一覧表です。目を通してください」


テルガが一枚の紙を渡し、丹緒は目を通す。


▫▫▫


テイト


突然変異(アンバランス):身体強化の術

突然変異(アンバランス)『変化』:コピー能力


テルガ


突然変異(アンバランス):相手の意を自分の意に簡単に変える術


ジレラ


突然変異(アンバランス):多重分身を操る術


チェイ


突然変異(アンバランス):針を自在に操る術


ベータ


突然変異(アンバランス)突然変異(アンバランス)以外の情報を無かったことにする術



▫▫▫


と、書かれている。


(『変化』?聞き慣れない言葉、だな)

そう、丹緒は思う。


「……聞きたいことが、あるようだな」

テルガがそう言う。


「『変化』の事、じゃんね?ウチかて、気になってたし」

幹部の一人、ジレラが言う。


「はい、『変化』は何かと思っていまして」

丹緒はそう返す。


「それは我輩から説明致そう。『変化』は突然変異(アンバランス)の中でも、一部の人間に開花された『もう一つの技』さ」

テイトがそう挟む。


(身体強化に、コピー能力の『変化』か。なかなか厄介そうだな)

その話を聞きながら、丹緒はそう思う。


「テイト様、ニオラ殿はこれからどうされるのです」

ベータが口を開く。


「外部観察側として、活動と思っているのだよ。『重力無視』は、その方が良いと考えてな」

そう、テイトが返す。


(おいおい、マジかよ)


冷や汗をかくのが分かった。

……まいとめいに、目が触れる可能性が高くなる。


(まあ、仕方がねぇな)


下手に反抗すると、その時だ。

言葉に従う事にしよう。


「それでは、今日の活動を行うとします」

テルガが言うと、皆は頷いた。


▫▫▫


「アンタ、何か背負ってんの?表情が少し暗いけど」


外へ出る準備をしている途中、チェイに話しかけられる。

その言葉に、少し動揺する。


「……いや、何でもねぇよ」

声を少し震わせながら、返す。


「まァ、アタイが知ったこっちゃあない事ね。済まないね、聞かなかった事にして」

手を横に振りながら、チェイはその場を去った。


(……イチイチ、おっかねえな)

苦笑いしつつ、丹緒は外へ出た。


▫▫▫


「テルガ様、本当にアイツを幹部にして良かったの」

丹緒が外へ出る姿を見つつ、チェイはテルガに聞く。


「テイト様が言った事だ。それに反するのはナンセンスだろう?」

テルガはそう返す。


「……ま、それもそーね」


▪▪▪


『外部観察』は、突然変異(アンバランス)の所持者を探すのが主な事らしい。

反抗心を持っているような所持者に、《反組織部隊(ノーウェイト)》の存在を教えるのが役目とも言っていた。


(まぁ、程々にやるか)


これがしたくて、あそこに入った訳ではない。

だが、外の空気が吸える良い機会だ。


しばらくは、適当にそこら辺を散策するか。


「そういや、彼奴らも『発見器(チェッカー)』を持っているんだな」

片眼鏡式の機械を触りながら、丹緒はそう呟く。


中身は違うだろうが、型式はどうも《メージェント》と一緒の物だ。

まあ考えてみて、テイトは元《メージェント》だからと言えば、道理だ。


(……っ!?)


何か気配がする。

丹緒は立ち止まり、周りを見渡す。


人混みの中に、まいとめいの姿が見えた。

彼女らも、こちらに気が付いたみたいだ。


(……クソッ、こんなときに限って!一旦ここは、離れよう!)


そう思うと、丹緒は反対方向に走り出した。


▫▫▫


「めい、あれ……野々羽君、じゃない?」

まいは、そう言う。


人混みの中、丹緒の姿がある。


「《反組織部隊(ノーウェイト)》の服を着ているけど、間違いないわ!」


めいが返した瞬間、丹緒が走り出した。


「あいつ!」


まいとめいは、丹緒を追いかける。

……が、丹緒との距離はどんどん離れていく。


(……こうなったら、私の術で!)

めいは、袖からナイロンロープを出す。


「まい姉!ここは私が追いかける!」

街灯へロープを引っ掛ける。


「めい、気を付けて」

後ろから、まいの声が聞こえる。


「分かってる!」

身体にロープが戻る反動で、めいの身体が飛び上がる。


(……間に合って)


術を使って空を飛びながら、めいはそう思う。

丹緒は後ろを追ってる自分を見ながら、壁を走っていく。


(もうすぐ!)


近くまで寄った時だ。

丹緒が、こちらに向かって飛んだ。


「……ひっ!?」


避けようと思ったが、遅かった。

自分の鳩尾に、丹緒の蹴りが入った。


丹緒に抱きかかえながら、めいは地上へ降りる。

めいは、意識が少しずつ遠退くのが分かる。


「ねえ、なんで?」

力を振り絞って、めいは丹緒に聞く。


「許してくれ」

そう丹緒は呟き、その場を去っていく。


「……野々羽、君……」

そこで、めいは力尽きた。


▫▫▫


めいが再び目を覚ますと、見慣れた天井が見えた。

《メージェント》の部屋だ。


「めい?」

横たわっている隣に、まいが居る。


「まい姉……」

目に涙が滲むのが分かった。


「……大丈夫、大丈夫」

まいは、めいの頭を撫でる。


「まい、めいの状態は?」

その時、詩乃が部屋に入る。


「目を覚ましました」

まいが言うと、詩乃は安堵の表情を見せた。


それから、詩乃にさっきの事情を話した。

詩乃の表情が、曇る。


「隊長?」

まいがその表情を汲み取って、聞く。


「……二期生と、汐莉を呼んできてちょうだい。話があるわ」


▪▪▪


二期生と、汐莉が部屋に集められた。


「話って何なのよ、詩乃」

汐莉が聞く。


「野々羽君が、《メージェント》の外部組織から離れた話は知っているわよね」

詩乃が言うと、皆は頷く。


「実は黙っていたのだけれど、その頃から私に『匿名のメール』が来るようになったの」


部屋が少し暗くなり、プロジェクターから画像が写し出される。

そこには、《反組織部隊(ノーウェイト)》の情報が載っている。


「……もしかして、それ野々羽君が送っているってこと?」

めいが言うと、詩乃は頷く。


「時期が重なっていたから、もしかしてって思ってたけど……確信が無かった。でも、まいとめいが彼らの服を着た野々羽君を見かけたって話をきいて、ね」


「野々羽殿も、無茶な事をしますよね」

智利が口を挟む。


「汐莉、この事は上の人間に話す?」


詩乃が聞くと、汐莉は考え込む。


「……いや、これはうちらの情報だけにしておきましょう。下手に言ったら、私と詩乃の責任じゃ済まされないわ」


汐莉は、静かに言う。


「でも、このままじゃ野々羽君は彼らに()られるかも……」

めいが口を挟む。


「分かっている。分かっているけど、それは彼が一番よく理解している。だからこそ、無茶な事をしていると思うのよ」

汐莉はそう返す。


「とりあえず、私たちは彼を見守るしかないわね」

詩乃が言うと、皆は頷いた。


▪▪▪


「めいには、本当に申し訳ねぇな」

丹緒はそう呟く。


(……でも、これしか無いんだ)


俺に出来る事は、これしかない。

反組織部隊(ノーウェイト)》を潰すなら、生命に換えてまでもやる。


そう思いつつ、丹緒は帰路へ歩いていった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] いやいやいや 見守るとかアカンアカンアカン 辞めさせてぇぇエェェェェエェェェェ! 危なすぎるっっっ [気になる点] ま、まあ、外の活動やから いざって時は逃げやすいですが [一言] 針使い…
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