独りのタタカイ 1話 丹緒、独りで潜入する
(……《反組織部隊》、か。俺に出来ることはねぇのか)
自室で、丹緒は考えていた。
《メージェント》が、《反組織部隊》に狙われていると聞いた。
少しでも、その組織に関して情報を得たい所だが……
(俺に、出来ることは)
一つ、思い付いた。
―――俺が、そこに潜入することだ。
わずかな情報でも《メージェント》に送ることが出来たら、対策が出来るかもしれない。
『犯罪者』であった俺だったら、ちっとは怪しまれずに居られるだろう。
ただ、秘密裏に動いていた事がバレたら……
その時が最期になるだろうな。
「……まいとめいには、申し訳ねぇけどな」
そう呟きながら、苦笑いをする。
「そうと決まれば、やるしかねぇ」
パソコンを開き、キーボードを打ち始めた。
▪▪▪
ここ最近、丹緒の姿が見えない事にめいは不信感を覚えていた。
「何か、おかしいのよね」
そう言いつつ、丹緒が住んでいるアパートの部屋に向かう。
部屋に着き、インターホンを鳴らす。
「野々羽くーん、居るのー?」
部屋からは返事が無い。
それに、郵便受けにハガキ等が溜まっている。
(……もしかして)
部屋に戻っていないのを確信しためいは、管理人さんに頼んで部屋を開けさせて貰った。
部屋に入っていく。
中は、綺麗にしてある。
そして、部屋の机に封筒を見つけた。
『《メージェント》の皆様へ』と、封筒へ書かれていた。
「……っ!」
めいは急いで、封筒を開封する。
一枚手紙が入っており、めいはその手紙を読み始めた。
▫▫▫
《メージェント》の皆様へ
誠に申し訳ないのですが、野々羽丹緒はこの度《メージェント》の外部組織から外させていただきます。
数日間でありましたが、俺を仲間として認めていただいてありがとうございました。
この恩は、一生忘れません。
野々羽丹緒
▫▫▫
「……アイツ!」
手紙を持って、めいは彼の部屋を出た。
▪▪▪
「隊長!」
めいは施設へ戻り、Ver.205の部屋へ入る。
「どうしたのよ、めい。そんなに慌てて……」
そう、詩乃が返す。
「これ、見てください」
手紙を渡す。
詩乃の表情が曇る。
「……厄介な事になったわね」
手紙を読み終わった詩乃が、そう呟く。
「どうしたらいいです?」
めいが、そう聞く。
「そうね。とりあえず、普段の見回りに加えて、彼を探してちょうだい。抜けた理由や、どうしているかとか把握したいから」
詩乃がそう言うと、めいは頷いた。
▫▫▫
めいが部屋を出た後、詩乃はパソコンのメールボックスを開く。
ついさっき、匿名でメールが来ていたが……
そこに、《反組織部隊》の部屋と思わしき写真が載ってある。
(まさか、ね)
この匿名メールは、彼からなのだろうか。
(……確証が持てるまでは、私だけの秘密にしよう)
▫▫▫
丹緒は、ある部屋に通された。
「……キミが、野々羽丹緒だな。事情は、テルガから聞いている」
薄いカーテンの向こうから、男性の声が聞こえる。
なんとも、裏社会のトップみたいな……
そんな、威厳のある声だ。
「キミには『ニオラ』の名を授けよう。……これから《反組織部隊》の一員として、活躍を期待しているぞ」
「はい、テイト様の仰せのままに」
▪▪▪
ここから先は、『独りのタタカイ』。
……出来るだけ、情報を得たい所だ。
それまでは、ぜってぇ死なねえからな。




