《メージェント》の日常:汐莉の一日
朝6時。
「……ふわぁ」
汐莉は目を覚まし、部屋のリビングへ出る。
朝イチ、テレビを付ける。
『本日の天気をお伝えします』
「……晴れ、時々曇り」
テレビを見ながら、汐莉はそう呟く。
パソコンを開き、日報を開く。
今日の日付を入れ、天気を入れ込む。
「汐莉ー?邪魔するわよぉ」
詩乃が部屋に入る。
「これ、いつものよ」
サンドイッチを置く。
「……いつも、ありがとう。詩乃」
「良いわよ、汐莉。貴女には世話になっているし」
二人は見つめ、笑う。
「それじゃあ、先に行くわよ」
詩乃が言うと、汐莉は頷く。
詩乃から貰ったサンドイッチを食べながら、一通りの日報を仕上げる。
「……ひとまず、これでよし」
日報を保存し、身だしなみを整える。
「行ってくるわ、お母さんにお父さん」
仏壇に手を添えて、汐莉は部屋を出た。
▪▪▪
「おっはよぉ」
汐莉がVer.305の部屋へ入る。
「おはようございます、隊長」
雷都がそう返す。
「机に、本日の見回り箇所についての紙が置いてあります」
資料をまとめながら、雷都が言う。
「ありがとう」
席に着き、紙を見る。
「今日は湾岸と碑文谷ね、了解」
またパソコンを開き、日報に見回り箇所を打ち込む。
「お疲れ様です」
樹也巡査が入ってきた。
「昨日の取り調べ報告書です」
汐莉の机に置く。
「ありがとう。……っと、それと」
汐莉はカバンからファイルを取り出す。
「昨日の日報よ」
「……ありがとうございます。それでは」
樹也巡査は、そのまま部屋を出た。
「そう言えば、隊長」
雷都が言い出す。
「どうかした?」
「……ボタン、外れかけていますよ」
上着のボタンを指差しながら、言う。
「いけない、昨日やるって思ってたけどすっかり忘れていたわ」
昨日は会議資料をまとめていたから、それで忘れていた。
「少しは休んだらどうです?最近、気を張りすぎているような感じに見えます」
雷都は苦笑いしながら、そう言う。
「……そう見える?」
汐莉が言うと、雷都は頷く。
「いつもの私だと思うけどな」
そう言いつつ、汐莉はふと笑う。
「どうかしましたか、隊長」
「ううん、気にしないで。……そうね、雷都くんがそう言うなら今日はちょっと早めにあがっていいかしら」
「分かりました。見回りの報告書に関しては、俺が一通り見ますから」
「ありがと、雷都くん」
「いいえ、お互い様です」
そう雷都が言うと、再び資料をまとめる。
(……私、みんなに助けられているわね)
そう思いながら、汐莉は仕事に入った。
▪▪▪
その日の昼。
12時を知らせるチャイムが鳴る。
「……うーんしょ。お昼にしますか」
そう呟くと、汐莉は部屋を出て食堂へ向かう。
「汐莉さん!お疲れ様でーす」
めいが話しかける。
「お疲れ様、です。汐莉さん」
まいも言う。
「……あの、汐莉さん。一緒に、ご飯どうですか?」
まいがそう誘う。
「良いわよ」
断る理由も無いし、承諾しよう。
「あ、汐莉さん。今日は私の奢り!」
めいが食券機にお金を通す。
「悪いわよ」
制止しようとしたが、めいは手を振る。
「汐莉さん、いつも、お世話になってる……めいの言う通り、です」
まいが言う。
「……ふふ、ありがとう」
食事が運ばれ、3人でご飯を食べる。
「汐莉さん、最近顔色良くないような気がします」
ふと、めいが言う。
「そう?」
汐莉が言うと、二人は頷く。
「……そう言えば」
汐莉は、雷都が同じような事を言っていた事を話した。
「雷都さんが言うなら、休んだ方が良いのかも……」
まいが心配そうに言う。
「だからね、今日は早めに休もうと思っているのよ」
汐莉がそう言う。
「……汐莉さんが倒れたら、私たちが困りますから」
めいが口を挟む。
「色々とありがとうね、二人共。」
汐莉が返すと、二人は頷いた。
▪▪▪
午後になって、三期生が出勤してくる。
「皆、集まったわね。それじゃあ、今日の出動場所は……」
説明を終え、皆は部屋を出る。
「隊長、もう休まれてはいかがです?後は俺がやっておきます」
雷都が言う。
「……分かったわ。よろしくね、雷都くん」
そう返すと、雷都は頷いた。
荷物を持ち、寮へ戻る。
「……よいしょ」
ベットに横たわる。
(ほんと、仲間って良いわね)
いい後輩に恵まれたのは、本当に良かったって思う。
……そこら辺、《メージェント》を辞めなくて良かった。
(……ふう、ちょっと寝ようかしら)
そのまま、眠りに入った。
▫▫▫
「……汐莉ー?起きて」
誰かに揺さぶられる。
「……はっ!?」
汐莉は飛び起きる。
仮眠のつもりだったが、外は真っ暗になっていた。
そして、ベットの横には詩乃が居た。
「雷都君からの資料渡そうと思ったら、普通に寝ちゃってるし」
詩乃は少し呆れたように、言う。
「……あはは」
汐莉は苦笑いをする。
「まあ、話は雷都君から聞いたわよ。汐莉は一人じゃないし、少しは頼りなさいよ」
詩乃が言う。
「……分かっているわ」
そう汐莉が返すと、詩乃は笑顔を見せた。
「資料はリビングに、置いてあるからね。それじゃあ」
「ありがとう、詩乃」
詩乃は部屋から出た。
こうして、汐莉の一日が終わった。




