《メージェント》の日常:翠子と雷都の術の掛け合わせ、それから
ある休日の事。
「翠子さん」
雷都に話しかけられた。
「副隊長、どうかしましたか?」
「隊長から明日、二人一組で出動してくれと話していてな」
どうやら、水と電気の関係性を二人の能力で試してみたいとの事らしい。
「それでだ。お互いの能力でどうなるか、出動前に試してみたくてな。今、時間があるならでいいが」
今日は特に用事とか無いし、試してみたい気もある。
その旨を伝えると、雷都は頷く。
「それじゃあ、準備が出来たら声をかけてくれ。安全な場所で行うぞ」
▫▫▫
15分後、都内某所の海が見える公園。
そこで、試してみる事になった。
「翠子さん、一つ聞きたいことがあるのだが」
「何でしょう?」
「水をミストに近い状態に出せるか?その状態で、一度試してみたい」
『ミストに近い状態』、そう言われ私は少し考える。
意識をすれば、出来ると思うが――
「一回、やってみても良いですか?」
私がそう言うと、雷都は頷く。
腕を真横に伸ばす。
そして手を開き、手先に意識をする。
(ミスト状態……ミスト状態……)
そうしているうちに、手先に水の感覚が宿る。
(……今!)
その瞬間、辺り一帯にみるみる『もや』がかかる。
「この状態で、副隊長の術を発動出来ますか?」
雷都は頷く。
「自流放電……!」
その時、近くに居た鳥が痺れたような姿を見せた。
「……成功のよう、だな」
雷都の言葉に、私は頷いた。
▫▫▫
私の術は、『ウォーター・ミスト』と名付けた。
「そう言えば、さっきの副隊長の術……私も感電するはずだったのに、どうしてしなかったのでしょう?」
私の言葉に、雷都は少し考える。
「一種の、守りじゃないか?」
「守り?」
「水を操る身として、電気は一番の大敵だ。その術を手に入れた際に、その大敵から身を守る事も同時に備わったと思う」
確かに、雷都の言う通りなのかもしれない。
水を操る術を手に入れてから、『感電する』という感覚はあまり無かったと思う。
「……まあそれが本当なのかは分からんが、少なくとも感電の心配は無いのは確かだ」
その言葉に、私は頷いた。
▪▪▪
一通り確認を終えた所で、雷都に誘われて一緒にお昼を食べる事になり、施設へ戻ることになった。
「……あの、副隊長」
その道中、雷都に話しかける。
「ん、何だ?」
「その、私たちの副隊長として話が来たとき、どう思いましたか?」
なかなか話をする事が無かったから、聞いてみようと思ったのだ。
「俺がやれるなら、やるしかない……そう思ったさ。それと、詩乃さんの後押しもあったから」
「詩乃隊長の事、信用していたんですね」
私の言葉に、雷都は頭を掻く。
「まあ、な」
そう呟くと、雷都は頬を赤らめる。
「もしかして副隊長、詩乃隊長の事……」
「……ほ、ほら。行くぞ」
頬を赤らめたまま、雷都はそそくさと歩いていく。
(本当は、詩乃隊長の事……気になっているのかもね)
私はそう思いつつ、後をついていった。




