《メージェント》の日常:月イチの女子会
《メージェント》に所属している女性陣が集まる、『月イチ女子会』と言うものがある。
三期生の女子陣も類いに漏れず、参加する事になった。
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日曜日、食堂の一角。
私とベベロは、先輩方を待っていた。
「……何でまた、女子会に参加なんかね」
ふと、ベベロが言った。
「まあ、親交を深める為らしいし、素顔が見れるかもしれないよ?」
私はそう返す。
「んまあ、姉ちゃんの言う通りやな……」
「おっまたせー」
まいとめいが入ってきた。
確か、今日は出勤の日だっけ。
「よいしょ」
まいが袋を机に置いた。
「それ、何ですか?」
私が聞くと、まいは苦笑いする。
「これ、汐莉さんと、詩乃隊長……飲むから」
中から缶のノンアルコール飲料を出す。
「なんでまた、ノンアルの缶ビールなんか。まだ午後の4時過ぎやで」
思わず、ベベロが言う。
「そうですし、私たちはまだ未成年……」
「大丈夫、大丈夫。二人にはジュースを、買ってあるから」
めいか言うと、まいが缶ジュースを出す。
(……あはは、そういう事じゃないと思うけどな……)
そう、私は内心で思った。
▫▫▫
汐莉と詩乃が、ようやく合流したのは6時を過ぎた位だ。
「ごめん、ごめん。仕事が長引いちゃって」
汐莉がそう言う。
「隊長も大変なんですね」
私が言うと、二人は苦笑いをする。
「まあね。でも、これが『隊長』の役目、よ」
詩乃が言う。
「それじゃあ、『月イチ女子会』を始めるわよ!」
皆は一斉に缶を持つ。
「「かんぱーい」」
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「ねー、詩乃。スマホってやっぱり割高よねぇ」
「そう言えば、前のスマホ……雷都君が壊したって話していたわよね」
二人はそう会話している。
「……あの、お二人は知り合いなんですか?」
私は小声で、めいに聞く。
「大学の同級生って聞いているよ」
めいはそう返す。
「名瀬嶋大学出身って、聞いたこと、ある」
まいが言う。
名瀬嶋大学は、東京でも授業の自由度が高いと聞いている。
内容のレベルもそこそこ高く、政治家とか学会に所属している人も何人か出している。
「あんな、二期生の隊長さん……うちの高校にある、武術会館の所に名前が刻まれているんよ」
ベベロが横から言う。
「……そういや、ベベロちゃんって登美女学園だったわね。私もそこの出身でね、武術の大会に優勝した人の名前を刻んであるのよね」
詩乃が言う。
「大会のタイトル総なめだって、当時の話題ひっきりなしだったわ。他高校だった私でさえ知っていたし……まあ、同じ大学に進んで、《メージェント》に配属されるのは、当時じゃ思いもよらずだったけれどね」
汐莉も言うと、笑う。
(二人って仲が良い感じがする……)
汐莉と詩乃の表情を見て、私はそう感じる。
同じ大学出身だから、と言えばそうかもしれない。
ただ、それ以上な物を感じる。
なんか、こう……お互いを信じている、そんな感じにも―――
「……あら?私たちの顔に、何か付いているかしら?」
私に、詩乃がそう言う。
「あ、いや……その、お二人は仲がいいなって」
汐莉と詩乃は、顔を合わせて笑った。
「まあね、お互い様なのよ……これでも」
「そうね」
「……そろそろ夕飯の時間だが、何か食べていくかい?」
料理長が、話しかけてきた。
「そうね。皆、何か好きな物を頼んで良いわ。今日は私の奢りよ」
汐莉が言う。
「やったぁー!じゃあ、私は唐揚げ定食!」
「めい、ダイエットしてた、じゃないの?……あ、私は、おにぎりとサラダの、セットで」
まいとめいが頼む。
「私は回鍋肉定食」
詩乃がそう言う。
「私も詩乃と一緒で」
汐莉が言う。
「二人は?」
めいが聞く。
私とベベロは、ミートスパゲティーを頼む。
「分かりました。少々お待ちを」
そう料理長が言って、立ち去った。
「それじゃあ、料理が出てくるまで色んな事……話しましょ?」
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女子会が終わった。
……普段の隊長達の表情が、垣間見れた感じがした。
(……でも、ノンアルのビールはちょっと驚いた、かも)
と思いつつ、私は寮の部屋へ戻っていった。




