《メージェント》の日常:雷都の能力の活用法
Ver.305の副隊長である、東雲雷都。
『電気・電圧を操る術』と言う、突然変異を持っている彼……なのだが、攻撃以外にも活用法がある。
▪▪▪
とある日の昼下がり。
雷都は、汐莉に任されていた資料の整理をしていた。
……が、急に停電になり、辺りか少し薄暗くなる。
「たく、また停電か」
そう、雷都は呟く。
なぜか知らないが、特別施設の電気系統は貧弱で、昼間はよく停電が起きていた。
「雷都君、またちょーっと良いかしら?電気屋、15分後に来るって」
詩乃が声をかける。
「はいはい」
そのまま、電気室へと向かう。
やることは、一つ。
電気屋が来るまで、雷都自身が発電機になるのだ。
(雷都用に作られた特殊な変電型手袋があり、手袋に繋がれた線の先に緊急用の配電盤がある)
―――少し時間がかかって、約25分後。
「……いやはや、お待たせいたしました」
贔屓にしている、電気屋の店主が言う。
「大丈夫ですが、何かあったのです?」
雷都が聞く。
「代々木公園で大規模な火災があったみたいで、それで少し遠回りを強いられたのです」
店主がそう返す。
(……まいとめいが、無線機で言っていたあれか。まあ、仕方ないな)
そう、雷都は思った。
ちなみに、配電盤がもう壊れかけで、今度中規模な工事が入るらしい。
何でもう少し早く対処をしなかったのか……。
▪▪▪
そして、別の日。
「ねえ、雷都くん」
汐莉が話しかける。
「何でしょう、隊長」
「あのね……貴方の能力で、スマホの充電って出来るかしら。よく配電盤のやっているけれど」
汐莉はそう返す。
「……ああ、一応それ系統に機材を作ったのですが、どうしますか」
机の引き出しから、雷都の能力専用の充電器を取り出した。
スマホなどに合わせ、過小電力を供給できるようになっている。
「じゃあ、お願いできるかしら。モバイルバッテリーを忘れちゃってね、会議後まで充電して貰いたいの」
会議は約1時間で、汐莉のスマホのバッテリーは35パーセント。
70パーセントぐらいは充電出来ると話した。
「それぐらいなら、十分ね。それじゃあ、行ってきます」
汐莉は、部屋を出た。
(……さてと、片手で出来るパソコン作業でも)
そう、雷都は別の仕事に入った。
▫▫▫
会議が終わる頃、翠子とベベロが出動から戻ってきた。
「……副隊長さんの手元、なんかあるなぁ」
ベベロがそう呟く。
「確か聞いたことあるよ、あれ。副隊長の能力に合わせた、充電器とかなんとか……」
「へえ」
そんな会話をしつつ、雷都に近付く。
「副隊長ー」
ベベロが話しかけた時だ。
「うぉ!?」
雷都はびっくりした表情を見せた。
「何でびっくりするんやて、副隊長。普通に話しかけただけ、やのに」
ベベロが呆れたように言う。
「あの、それよりも……充電器、煙出ていないですか?」
翠子の言うことに、雷都は充電器を見る。
……確かに、煙が出ている。
驚いた拍子に過剰電圧が入ったと、咄嗟に考えた。
「……マズイな、これ隊長の携帯なんだ」
雷都はそう呟く。
「マズイなぁ……」
「マズイですね……」
二人がそう言った時、だ。
「お疲れ様、翠子さんとベベロちゃんも戻ったのね」
汐莉の声が聞こえた。
……会議が終わったのだ。
「……ねえ、何か焦げ臭いような気がするけど、気のせい?」
鼻をすすりながら、汐莉は言う。
「き、気のせいですよ!ベベロちゃん、飲み物買いに行こうか!」
「……あ、あい!」
二人はそそくさと、部屋を出る。
(……あの二人!!)
「何よぉ、あの態度。……そう言えば、スマホの充電は?」
その時、汐莉は焦げた充電器を見た。
雷都は、確実に『雷』が落ちると確信した。
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その後の話だが、スマホの機種変更を考えていたらしく、『雷』は落ちなかった。
……が、この日以降、あの充電器が使われる事が無かったらしい。




