《メージェント》の日常:まいとめい、同級生に面会する
東京の某所にある、突然変異特別拘置所。
そこにある面会室の一室に、まいとめいの姿があった。
高校の同級生で三期生に逮捕された、野々羽丹緒の面会をする事になっていた。
▪▪▪
「アイツ、前に逮捕された時……『絶対に更正する』って言ってたのに」
ふと、めいが言う。
あれは、1年半前。
二人で出動しているときに、彼に再び会ったのだが―――
それは、突然変異を悪用したところの最中だった。
いくら同級生と言えど、悪用する事を見逃す訳にはいかない。
高校時代は仲良くしていた事から、複雑な思いを抱きながらも逮捕に至ったのだ。
(なお、初犯だった為刑期は短かったと聞いていた)
「……めい、野々羽君の事、大切にしていたもんね。『更正する』って言葉も、信じていた」
まいがそう言う。
「だから、一言言ってやりたい」
めいのその言葉に、まいは頷く。
拘置所側の扉が空いた。
野々羽が入る。
「……げ、面会ってあんたらか」
最初の一言が、それだった。
その時、めいの中で何かが弾けとんだ。
「あんた!何でまた同じことしたの!」
いきなり怒鳴るように、めいが言い出す。
「めい、落ち着いて!ここは、大声、出しちゃダメでしょ!」
「ご、ごめん」
姉の言葉で、少し冷静になる。
「……たく、いきなり大声出すもんだから、心臓が止まるかと思ったぜ」
野々羽が呆れたように言う。
「野々羽君、何でまた、同じことしたの?」
まいが改めて、めいが聞こうとしたことを言う。
「まあ、魔が差したんだよ」
野々羽は目を反らし、そう返す。
「……めい、野々羽君はこう言ってるけど、気持ちは変わってない?」
まいの言葉に、めいは頷く。
「あんた、今度の刑期が終わったら……私達の手助けをして欲しいの」
その言葉に、野々羽は目を見開く。
「手助けを、するだぁ?」
《メージェント》には、逮捕歴が無い人しか入れない規約がある。
……が、外部の有志として彼と共に活動したいと思ったのだ。
それを言うと、野々羽は俯く。
「あんたは、私にとって大切な人。だから、一緒に活動したいと考えているの」
追加で、めいは言う。
「それ、上司に言ったのか?犯罪者を、取り締まる側にするんだぞ?」
そう野々羽は返す。
「詩乃隊長には、気持ちを言った。『厳しい』と最初は言ってたけど、懇願して……なんとか、理解をして貰えたわ」
野々羽は顔を上げて、「そうか」と呟く。
(目の色、変わったわ)
と、めいは思う。
決意に満ちた、そんな感じに見える。
「俺、罪をちゃんと償って更正する。今度こそ、絶対に」
▪▪▪
面会が終わり、まいとめいは施設の方へ戻る。
「野々羽君、決意したね」
帰り際、まいはそう呟く。
「まい姉も分かったのね」
「うん。顔付き、変わったよ」
めいは、まいの目の前に立つ。
「詩乃隊長に、話を通してくれてありがとう。まい姉には、本当に感謝してる」
めいは頭を下げる。
実のところ、話を通してくれたのはまいの方だった。
外部の仲間にしたい、と話した時から『自分らにとって、野々羽君は大切な友の一人だから』と頭を下げ続けていたのだ。
その懇願に、詩乃は折れたのだ。
「……いいよ。私も、めいと同じ気持ちだった、から。野々羽君が復帰したら、頑張ろうね」
「うん!」




