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巻き込まれたんだけど、お呼びでない?  作者: ももがぶ
第六章 いざ、王都へ
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第5話 厄介だな

「聞きたくなかった……」

「まあ、確かにな」


 野盗達の自白を聞いた結果、ソルトはもちろんのことだがゴルドも苦虫を噛み潰したような顔になってしまう。


「ゴルドさん、コイツらをこのまま楽にさせたくないよ」

「俺も同じ意見だが、今は依頼中だぞ」

「だからさ。……ってのはどう?」

「お前……いや、それしかないか。ちょっと待ってろ。領主代行殿に許可をもらってくるからよ」

「頼むね」


 ゴルドとソルトが何やら話し込んだ後にゴルドは領主代行の馬車へと向かったのでエリス達はどうしたのかとソルトに質問する。


「ねえ、ソルト。結局コイツらはどうやって始末するの? それとアジトにも行くんでしょ? どうも捕まっている人達もいるみたいだしさ」

「まあまあ、今から説明するからちゃんと聞いてね。レイもほら」

「何よ。私は手は出さないわよ!」

「あ~違うから。ちゃんと話を聞けよ」

「……分かったわよ。で、何?」

「疲れるなぁ~いいか。今、ゴルドさんには許可をもらいに行っている。なんの許可かと言うとだな……」


 ソルトはゴルドと相談した内容をエリス、レイ、シーナの三人に説明する。


「う~ん、確かにソルトの言う通りだね。アジトの探索と人質の救出に領主代行の護衛に野盗を詰所に搬送ってなると人手が足りないわね」

「そうですね。確かに単に始末するよりは生きて償って欲しいですね。まあ、結果として罪状で処刑されるにしても楽にはして欲しくないですね」

「シーナ、それ本気で言っているの?」


 シーナの発言にレイはギョッとする。あの可愛らしいシーナが両手を胸の前に持ってきて憤慨していたのだ。しかも楽には殺したくないとまで言う。


「そうですよ。レイもさっきの自白した内容を聞いていましたよね?」

「……聞いたけどさ」

「レイ、いい加減に慣れなさい。いつまでも童貞ではダメよ」

「一応、私は女なんだけど?」

「もう、話の腰を折らないでよ。この場合の童貞は人を殺めることに対してのことよ。分かるでしょ」


 やはりここでも例え自分の身を守る為とは言え、人を殺めることにはまだまだ抵抗があるレイだった。


「……どうしてもやらなきゃダメ?」

「ダメね」

「なんで?」

「実際に襲われたらどうするの?」

「そうはならないし」

「なんでそんなことが言えるの?」

「だってソルトが守ってくれるし」

「いつでも?」

「いつでも」

「どんな時も?」

「どんな時も」

「ソルトが一人でどこかに行っても?」

「行かないもん!」

「……ハァ~これは重傷ですね」

「そうね。これも甘やかしたソルトの責任でもあるけどね」


 レイの頑なな態度にエリスとシーナは閉口してしまう。だが、レイは構わずに自分の心情を吐露する。


「だって、ソルトはいつか帰してくれるって言ったもん!」

「そうかもしれないけど、その前に死ぬようなことになった身も蓋もないでしょうが!」

「だから、それはソルトが……」

「だから、そのソルトが手に負えない時だってあるでしょ!」

「そうですよ。その時にちゃんと対応出来ないと悲惨な目にあいますよ」

「悲惨な目って?」

「それは……もう、私からは言えません! でも、野盗相手に女性ならどんな辱めにあうか分かりますよね」

「それは……分かる」

「なら、エリスさんが言いたいことも分かりますよね」

「それも分かる」

「なら「でも、出来ないよ」……ふぅ~どうします?」

「どうしますって聞かれてもね~」


 エリスとシーナは困った顔をしてソルトを見るがソルトはバツが悪そうに後ろ手に頭を掻いて誤魔化すしかなかった。


「まあ、そういう訳で今から、屋敷に戻って待機組を呼んでくるから、エリスはアジトに行って残っている連中の後始末と人質の救出をお願いね」

「いいわよ。それで誰を連れて行けばいいの?」

「残っているのは十人には満たないって言っていたから、俺とコスモとショコラにノアで対応出来ると思うんだけど、いいかな?」

「そうね。ブランカ達だとやり過ぎちゃう心配があるから、この辺が妥当かな」

「了解。じゃあ、呼んで来るね。『転移』」


 ソルトはエリス達に一度、屋敷に帰ることを説明し転移したと思ったら、すぐにブランカとシルヴァ、コスモにショコラ、リリスにカスミ、サクラとノアと一緒に転移してきた。


「じゃあ、早速で悪いんだけど説明するね。ブランカとシルヴァは……」


 転移で屋敷から戻ってきたソルトは今からすることを皆に説明する。ソルトはレイ、エリス、コスモ、ショコラ、ノアと一緒にアジトまで行って残っている野盗の捕縛と人質の救出にあったらお宝を捕獲する。残ったブランカ達は捕縛済みの野盗の監視と領主代行の警護を頼んだ。


「俺もそっちの方がいいんだけど、娘よ。代わってもらえないだろうか?」

「イヤよ!」

「シルヴァ、頼むからここで大人しくしていてくれな」

「でもな~退屈で何かしてしまうかもしれないな」


 シルヴァはそう言ってソルトの方をチラリと見る。そして、ソルトはシルヴァが言いたいことを理解出来たようで少し嘆息した後にシルヴァに言う。


「分かったよシルヴァ。後で交代してもらうから。だから、今は大人しくしといてくれな」

「おう、約束だぞ。絶対だからな!」

「はいはい、いいから大人しくしといてくれよ」

「ああ、分かったから、さっさと済ませてこい!」

「ハァ~心配だな~」


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