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目覚めるとそこは……

「イッタ」

「きゃっ」

女子高校生に腕を掴まれたまま、光に包まれてなにも見えなくなったと思ったら、不意に足元にあったベンチが消える感覚がした。

そして、メタボなおっさんと女子高校生が地面にお尻から落ちる。

「イタタタタ……どこだここ?」

「もう、最悪……って、あんた誰?」

「誰ってなんだよ。そっちがしがみついてきたんだろ?」

「え? だって、私がしがみついたのはメタボのおっさんだし……そうよ、あのおっさんはどこなの? まさか、一人だけ逃げたの? こんなかよわい女子高校生を置いてきぼりにして!」


メタボなおっさんと言われ多少傷つくが、事実だし怒ることではないと自分にそう言い聞かせ佐藤俊夫は女子高校生に話しかける。

「ああ、いいから落ち着け。なにを勘違いしているのかは分からないが、そのメタボのおっさんは俺だぞ? 本当に大丈夫か?」

「はあ? そっちこそなに言ってんの! あんたはどう見たって私とタメドシくらいでしょうが! そっちこそ大丈夫なの?」

「へ?」

そう言われ、佐藤俊夫は自分の腹回りがぺったんこになっていることに気づく。

「まさか!」

そう思いその場で立ち上がると、ズボンだけでなく下着までもが下に落ちる。

「ぎゃーなに考えてんのよ! あんたは! 早くしまいなさいよ!」

女子高校生はそういうと顔を両手で覆うが、顔を隠している手の指の隙間からしっかりと見ている。


「おっと、こりゃすまん」

パンツとズボンを引き上げ、ベルトをきつく縛り上げると、どういうことだと佐藤俊夫は考えてみるが、急激なダイエットに成功したとも思えない。

その前にここはどこなんだろうと周りを見回しても鬱蒼と茂る草木で周りの様子は分からない。

「本当にここはどこなんだ?」

『地図スキルを取得しました』

「ん?」

不思議な声が聞こえたと思ったら、視界の隅に地図らしきものが表示される。

「もしかして、これは地図なのか? でも、自分達がどこにいるのかが分からないと意味がないじゃん」

『了解しました。地図スキルをバージョンアップしました』

「へ?」

視界の隅の地図に白点が表示される。どうやら自分達の位置を示すらしいと佐藤俊夫は考える。


「ねえ」

「ん?」

「さっきから、なにを一人で喋っているの? それにその格好は、あのメタボのおっさんの着てたやつじゃん。なんであんたが着ているの?」

「ああ、そのことなんだけどな。多分、さっきからお前が言っているメタボのおっさんは俺のことだぞ」

「ウソ! だって、あんたはどう見たって十代じゃない」

「まあ、その辺は俺に聞かれても説明は出来ないが、お前が公園で会ったメタボのおっさんは俺だな。っていうか、もうおっさん呼びはやめてくれ」

「う~信じられないけど、確かにそのスーツはおっさんのだし。分かったよ。で、なんて呼べばいい?」

「そうだな、ソルトってことで」

佐藤俊夫はゲームで使っていたアバターの名前で呼んで欲しいと頼む。

「そう、ソルトね。分かったわ。でもなんでなの?」

「多分だが、ここは地球じゃないよな。さっきのも魔法陣みたいだったしさ。なら、苗字で呼ぶのはなんとなく不味いきがしてな」

「そういうことなのね。貴族しか苗字は許されないとかそういう世界かもしれないってことね」

「そうだ。意外だな」

「そう? こう見えても本はよく読むのよ。ラノベ限定だけどね」

「そうか、なら話は早いな。で、そっちはなんて呼べばいいんだ?」

「私? 私か~う~よし! 決めた! 『レイ』よ。私のことはレイって呼んで」

「レイ? あまり変わり映えしないな」

「なに? 私の名前も知らないくせに!」

「いや、鑑定スキルで丸見えだぞ」

「なに、おっさんはそんな便利なものを持ってるの?」

「だから、おっさん言うなって。お前もスキルを持っているんじゃないのか?」

ソルトがレイに尋ねるが、レイは分からないと言う。

「なら、ステータスって唱えてみろよ。そうすりゃわかるだろ」

「そっか、ステータスっと……わあ、丸裸じゃん。こんなの勝手に見たんだエッチ!」

「エッチってお前、なにも透視した訳でもないのに」

『透視スキルを取得しました』

「ほえ?」

「なに? どうしたの?」

レイがこちらに向き直ると透視スキルのおかげなのか服一枚が透けて下着姿でレイが立っているように見える。

「ばか、お前服くらい着ろよ!」

「なに言ってんの? ちゃんと、着てるじゃないの。はっまさか……」

レイが両手で大事なところを隠し、ソルトを睨みつける。

「いや、誤解だ。俺はなにも見てないぞ。そんなリボンがついたパンツとか……あっ」

「エッチ!」

そう言って、レイに頬を平手打ちされるソルトだった。

『痛覚耐性を取得しました」

「もう、なんでもいいよ」


ソルトが平手打ちされ頬をさすりながら、そういえば俺もステータスを見てなかったなと。

「よし、ステータス!」

~~~~~

名前;ソルト 十六歳(佐藤俊夫 三十五歳)

性別:男(童貞)

職業:#%$&

体力:F

魔力:F

知力:A

筋力:F

俊敏:F

幸運:EX

スキル:

全言語理解

スキル創造

地図Ver2:lv1

鑑定:lv1

透視:lv1

痛覚耐性:lv1

~~~~~


「ねえ、それで鑑定スキルってどこにあるのよ? 私を鑑定したのなら分かるんじゃないの?」

「ないのか?」

「ないわよ!」

「じゃあ、もう一度見てもいいか?」

「……いいわよ」

レイが顔を赤らめるが、別に体を見る訳でもないのだから照れる必要があるのかと思いながら、ソルトはレイを鑑定する。


~~~~~

名前;レイ 十六歳(相良麗子 一六歳)

性別:女(処女)

職業:聖女

体力:B

魔力:A

知力:B

筋力:C

俊敏:C

幸運:C

スキル:

言語理解

聖魔法:lv1

~~~~~


「ないな」

「でしょ? なら、なんでソルトにはあるのよ! おかしいじゃない!」

「俺に聞かれてもな~でも、聖魔法があるじゃん」

「それって、怪我以外には役に立たないじゃん」

「だから、それを俺に言われても困るんだが……」


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