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旅路のなかのグレイコーデ  作者: 紅葉
第一章 大聖堂の聖女
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第一回 登場人物紹介

 〜伝説の勇者パーティ〜


『【暗灰】グレイコーデ』男 勇者

 本編主人公の一人。

 本編開始時、八十四歳。


 過去編では、主にグレイコーデが十四歳から八年の間を描いている。

 灰色の髪と青い瞳を持つ。体躯はあまり良くはなく、仲間内では中ほどの身長。

 十四歳の誕生日、「俺は魔王を倒す勇者になるんだ!」と言いながら住んでいた村を飛び出し、王都まで一直線に向かった考えなし。

 戦いにおける才能は皆無であり、魔力量も平凡より下だった。聖地で真の勇者を待つと云われている『勇者の剣』を抜けず、さらには勇者の剣の代わりとして心象武器を取り出す技術──『聖剣』すら顕現させられない。勇者の資格の一つが『聖剣を抜ける』ことなのでグレイコーデは偽勇者ということになる。これをシルヴィアに指摘された時には、一週間寝込んだ。

 その代わり、勇者に関係のない才能ばかりが中途半端に開花し、料理、洗濯、掃除、商売、鍛冶──などどれも人並み以上にこなせるようになった。グレイコーデのパーティ仲間に言わせれば、グレイコーデがいなければ生きていけない身体にされたとの談が飛び出す。

 魔王討伐の旅路のなかで様々な出来事を経験し、修業と鍛錬と実戦を重ねてついに魔王すら討ち果たした。

 魔王との戦闘で百通り以上の呪いをかけられており、凱旋の時点では戦うどころか生きていることが不思議なほどの身体となっていたが、仲間たちの尽力のおかげで生還した。

 魔王を倒した後に、シルヴィアと結婚。そのままシルヴィアが老衰するまで付き添った。

 ──百通りの呪詛は絡み合い、一つの性質を持つ。

【不老】。

 グレイコーデだけは魔王を討伐した時のまま老いることはなくなった。かつての仲間が老いて死んでいくのを見ているうちに、もう一度旅路を歩み直すことにする。

 それは、魔王にかけられた呪詛を解く旅であり、妻の願いを叶える旅であり、そして、死ぬための旅路である。

 老いたことで力は落ちて、さらに魔王の呪詛によって縛られているため一切の戦闘行動ができない──はずなのだが、割と頻繁に戦闘行動を起こす。

 それは今まで温存していたものを捧げる行為であり、過度に逆らえば記憶や人格、魂が砕けることになるはずだが……。

 主武器は片手剣。なお、これは一番握ったことの多い武器であり、実際のところ何でも人並み以上は使える。

 得意魔法は、付与魔法──だったのだが、魔王の呪詛によって呪文詠唱が禁じられているため、本編では指を組んで簡易的な魔法陣を作る『指印』を頻繁に使用している。

 愛用している指印は【風舞(アリシア)】。風を操る最も基本的な指印。これを用いて洗濯物を乾かしたり、矢の軌道を逸らしたり、拷問に使ったりなど色々している。



『シルヴィア』女 一般人

 本編開始時にはすでに死亡している。

 享年八十四歳。

 過去編の準主人公。


 艶やかな黒髪を眉のあたりで切りそろえた髪型。深く濡れた紫色の瞳を持つ。体躯は小さく、グレイコーデの胸のあたりにシルヴィアの頭がくる。胸は絶無。

 戦争孤児であり、彷徨っていたところを幼いグレイコーデに発見され、以後ともに暮らしている。

 十六歳のある日、グレイコーデが村から飛び出したとの報を聞いて一切の躊躇なくグレイコーデを追いかけた。

 その後、グレイコーデとシルヴィアは卓越した技を持つ仲間たちの弟子にも近しい関係になる。

 グレイコーデが兄弟子で、シルヴィアが妹弟子。

 シルヴィアのほうが才能にめぐまれていたため、ついに一度もグレイコーデはシルヴィアに敵うことが出来なかった。

 模擬戦の結果はシルヴィアの全勝。

 勇者より強い幼なじみの存在に、グレイコーデは一層の奮起と努力を重ね、だがシルヴィアはそれらを全て飛び越えていく。二人は互いを追いかけて追いかけられてを繰り返すうちに魔王すら倒してしまった。

 戦いにおける才能は文字通りの『最強』。圧倒的な魔力量と戦闘センスを併せ持っている。勇者技能として多数の絶技をも修めており、未来視すら出来た。

 旅路の終盤では、相対的な最強ではなく、絶対的な最強としてグレイコーデを陰から支えていた。

 グレイコーデが一週間かかった竜との死闘も、その気になればシルヴィアは数瞬もかからずに殺していたという。

『聖剣』は抜けなかった。これは教会から勇者としての基礎教育を受けていないためであり、『抜けなかった』というよりも『抜く方法を知らなかった』に近い。

 真の勇者にしか扱えないと云われている『勇者の剣』。シルヴィアは抜くことはできなかった。

 主武器は片手剣だが、何でも使える。グレイコーデと同じ。

 愛用していた魔法は、【編み繋ぐ希望(モンタリ・ハイラ) 早々なる奇跡の伴い(ラウトロ・カル・ナ) 導く黎明(ノーデアト)シュナイナルタ(シュテイタル)】。超克系魔法の一種であり、対象に『絶対切断』の概念を叩きつける。なお、この魔法を戦いに用いたことはなく、主にハサミの代わりとしてバンバン詠唱していた。

 なお、彼女には秘密があるようで……。



『シンメリー・サリエル・アトリーナ』女 聖女

 本編開始時、八十八歳。


 若い頃の姿は、地面につくほどの長さの流れるような金髪、緑色に濡れた瞳を持つ。老いた後は、白金色の短髪に皺だらけの威厳のある姿を保つ。体躯は仲間内でも高身長を誇り、胸などのスタイルも良い。

 聖堂街にて、神官をしていたところをグレイコーデたちに目をつけられ、ヒーラーとしてパーティーに加わった。その実、アトリーナは枢機卿に昇進が決まっていたが、それを蹴っての同行だった。

 薬水の聖女アトリーナ。

 最高峰の治癒師であり、薬師であり、医者でもある。彼女は、グレイコーデとシルヴィアに治癒術と算術や文字の読み書きなどの基礎教育を施した。

 アトリーナの治癒術は、折れた腕すら一瞬で治し、肉体に欠損がでても直ぐに生やし、骨を抜かれても再生できるなど万能だった。また薬師として生物、化学方面にも見識が深く、統合学術会の生化学分野における博士号すら有している。

 戦場で独自開発をした致死術を用いる。アトリーナに触れられれば、体内をぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、強制的に生命活動を停止される。それを用いて、戦場における『病巣』を排除してきた。

 これだけ聞けば完璧超人に思えるが、性格は非常に残念。グレイコーデやシルヴィアに対して、頻繁に性的な悪戯を繰り返すため、要注意人物としてグレイコーデに警戒されていた。脳内ピンク。例を挙げれば、数え切れないほどの軽犯罪を繰り返している。【沈黙(カロス)】と【透明化(ウルバノ)】を自身に付与して男風呂に潜り込む、男部屋に裸でダイブするなどやりたい放題。

 なお、意外と思考は乙女寄りだったりもする。

 魔法媒介は髪の毛。得意魔法は【響け嘆けアルターク(アイシア・アルテク) 流水の紡ぎ手よ(サンクタ・ド) 彼の者(サルド)今も呼吸をしている(ラシ・ヤ―クルド)】。治癒系魔法そのなかの最上位に位置し、部位欠損すら一瞬で治す神のごとき御技。なお、この魔法を健康体にかけると生命力を増進させる効果がある。アトリーナはこれを用いて、男風呂のなかで水中呼吸をしたり、精力増強魔法としても利用していた。



『名乗らぬエルフ』無性 魔法使い

 年齢不明。


 うなじほどに伸ばしたきらめく銀髪。つり目の鏡面の瞳。体躯はシルヴィアと同じ程度。胸はない。当然だが。

 旅路のなかで一度も名乗らなかったことから、『名乗らぬエルフ』と世間一般では呼ばれている。グレイコーデからは『銀髪エルフ』、シルヴィアからは『エルフちゃん』、アトリーナからは『変人エルフ』、ライゼンタークからは『上のエルフ』と呼ばれていた。

 その正体は、エルフに似ているがまったく別の存在としてこの星に設置された神の被造物──ハイエルフ。不滅であるため、生殖の概念は必要なく、食事や呼吸も必要ないため、もはや生物ですらない。

 魔力量は『無限』。正確には太陽とのパスを繋いでいるため常に魔力が補給され続けている。

 原初にあった属性魔法はすべて習得しているため、文字通り人外の魔法戦を繰り広げることができる。

 性格は無関心を具現化したようなもの。過去に自分が弟子に取っていた人間を物忘れ感覚で忘れて、邪魔になれば始末することも躊躇わない。感情らしきものがあるが、それは人間を模倣した結果である。総じて人を道端の石ころも同じような扱いをしている──が、グレイコーデたちに出会ってから少しずつ変わり始め、最終的に生意気な子どもへと変貌を遂げた。

 旅の目的は、魔王を見学することと人間が生み出した魔法の収集。

 魔法媒介は、指揮棒。気に入っている魔法は、やまびこを起こす娯楽系魔法の亜種『曇りの日に太陽に向かって叫ぶと音が返ってくる魔法』。特に実用性の欠片もない魔法を集めて、ニマニマと悦に浸るのが好き。

 食事も呼吸も模倣はしており、緑色の野菜と魚が嫌い。理由は青臭いのと小骨が多いから。

 ──ハイエルフは十三人いて、名乗らぬエルフはその内の『一番目』だという。

 グレイコーデにかけられた魔王の呪いを解けるかもしれない唯一の人物。名乗らぬエルフを探すことも旅路の目的の一つ。

 しかし、旅路の先々からは不穏な噂が聞こえてくる……。



『ドランド・ライゼンターク』男 傭兵 実質パーティーリーダー

 生死不明。


 禿頭に焦げた煉瓦色の肌を持つ偉丈夫。つぶらな赤い瞳を持つ。筋骨隆々であり、パーティーのなかでは最も体躯が大きい。グレイコーデたちの保護者役。

 元々は西方大陸の砂漠にあるエディンバラという国の傭兵。グレイコーデたちと出会う時には、賢人高塔と呼ばれる学術機関の門番をやっていた。

 圧倒的な戦闘技能を持つ傭兵として、グレイコーデとシルヴィアに戦い方を教えた。魔力量は多いが、体質として遠距離で魔力を操る魔法が使えない。

 様々な武器を臨機応変に操る傭兵流の戦い方を用いる。グレイコーデとシルヴィアが一通りの武器を使えるのは、ライゼンタークからの訓練の影響が大きい。また、付与魔法を得意としており、武器に属性の魔力をまとわせ魔法剣としたり、身体に魔力を循環させて身体強化をしたりといったことが得意。総じてグレイコーデの戦い方の基礎となった人物である。

 性格は傭兵に似合わず懇切丁寧。誰に対しても敬語で話しかける紳士であり、ナイスガイ。時たま傭兵時代の名残りとして粗暴な罵倒が聞こえてくるが、目をつぶろう。

 六十年後の時代では、行方不明となっている。グレイコーデたちパーティーが解散した後にも残った魔族を殲滅していたようだった。




 〜六十年後の人々〜


『ユーリ』■■■ 勇者の弟子

 本編主人公の一人。

 十歳前後。


 耳が隠れるほどの綺麗な黒髪。冷たい光を反射する紫色の瞳を持つ。元はアトリーナに師事していたが、グレイコーデに受け継がれた。

 聖堂街近くの村の出身。突然変異として人の両親から魔族の身体を持って生まれ落ちた。

 それが原因の迫害によって、幼い頃に両親を亡くして自分も深い傷を負う。その出来事は心の傷として深く印象づけられ、人間嫌いな側面を見せるようになった。(アトリーナがいたから何とかこのレベルまでですんだ)

 旅の目的は、グレイコーデの死を見届けることと勇者になること。

 武器は片手剣、グレイコーデから習った剣技を振るい、魔法は主に教導魔法と呼ばれる教会の専有魔法を勝手に使っている。

 その才能はシルヴィアよりは数段劣るものの、上の上と判断して良いもの。というか比較対象のシルヴィアが異常。しかしながら、まだ子どものために足運びや呼吸の仕方が未発達のため一般冒険者に何とか競り合える程度。

 魔族の角は一本は折れて、もう一本はやすりで削られている。ユーリは角に意識を集中させることで、自分の中にいる『誰か』に呼びかけて魔族の力を解放することができる。その際には魔力と筋力は大幅に上昇し、痛みを感じなくなるが代償として人であった部分が削れていく。

 なお、角には触覚が存在し、折られると激痛が走り、撫でられるとくすぐったく、優しく削られると恍惚に身体が支配される。

 好きではない食べ物を食べ続けられるだけの胆力はある。



『謎の少女』女? 不明


 蠱惑的な少女の声。

 グレイコーデたち勇者パーティーを心酔しているようだが……。魔族と何らかの関わりを持っており、魔物を生み出す能力を有している。

 

ちなみにシルヴィアが作中最強です。これは覆りません。

覆った時は、「あ、ついにインフレを始めやがったな、こいつ」と思ってください。

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